リビングの不審者
あれから数時間が経っても、俺は眠れずいた。
昨日までは夢でうなされて眠らないことがあったが、それとは別の意味で全く眠れない。
「俺が全く眠れないのに、よく眠れるよな」」
隣で寝ている桜を見る。口をもごもごさせながら、気持ちよさそうに寝ているように見えた。
「う~~ん、もう食べれません」
「一体夢で何を食べているんだろうな」
きっと夢の中で何かおいしいものでも食べているのだろう。眠りながら楽しそうにニコニコと笑っている
「もう少し距離を空けて寝るべきだったな」
桜が意外に寝相が悪かった為、眠ってから数分後俺にしがみつき抱き枕状態になった。
その結果、桜の方から柑橘系の甘いいい匂いが漂ってきて眠れない。
それだけなら我慢できたが、桜のやわらかい感触が俺の体に伝わって来て、余計に眠れなくなるのだった。
「幸い今はこうして抱き枕状態は解除されたけど」
このままだと俺の理性が持たない。必死に自分の煩悩が頭をよぎる為、全く眠れない状態になっていた。
「水でももらいに行こう」
そうすれば少しはこの気持ちも落ち着くはずだ。
ティナも家にあるものを使っていいって言ってたし、水をもらうぐらいは別に構わないだろう。
「確かリビングに飲み水があったはずだ」
桜を起こさないようにベッドから出て部屋を出る。
廊下は電気がついていないからか薄暗い。
「確かリビングってこっちだったよな」
薄暗い廊下を記憶を頼りに歩いていく。
数分歩き続けリビングにつくと、すぐに異変に気付いた。
『ガサガサ』
「何だ!?」
台所の方で不審な物音が聞こえる。
何かをあさって探す音。この音はなんだろう。
「まさか‥‥‥物取り!?」
でも、物取りにしてはやけに犯人がのんきなように見える。
俺がこんなに迫っているのに気づかないなんて、まるで見つけてくださいって言っているようなものだ。
「マーー」
「グーー」
聞いたことがあるのんきな鳴き声。聞いたことある鳴き声が聞こえてきた。
「シッ!! お母さん達が起きちゃうから、静かにしてて」
「クマ!」
「グマ!」
台所をのぞいてみると子熊達がおいしそうに何かを食べている。
そして小さい少女が台所の棚をガサガサと探していた。
「もしかしてそこにいるのはムーンとライト?」
「クマ!」
「グマ!」
俺の予想通りだったみたいらしく2匹の子熊が、元気に俺の所へ向かってきた。
「クマ!」
「グマ!」
「こんな所で何してるんだよ?」
あんなに夕食を食べていたのに、まだ食べたりなかったのか?
2匹とも俺にじゃれつこうとしてくる。
「ちょっと待て!? べたべたな手で触ってくるな。せめて手を拭いてからじゃれついてくれ」
そんな手でじゃれつかれると、俺の服がべたべたになってしまう。
これからまた部屋に戻って寝るんだから、頼むから俺の服を汚さないでくれ。
「ライト、ムーンも? 一体どこに行くの?」
台所からひょんと顔を出した少女。その少女に俺は見とれてしまう。
「綺麗だ」
子熊よりも少しだけ大きい体に長い耳。肩口までしかないが、さらさらで綺麗な緑の髪。
そして可愛らしい顔をした幼児の顔。
「もしかして、君は‥‥‥クルル?」
こんなに小さなエルフで考えられるのは、今日1度も姿をいていないティナの妹のクルルだ。
「はっ!? 人間だ!! 襲われる!?」
「何で俺がお前を襲わないといけないんだよ!!」
俺はただ水を飲みに来ただけだぞ。
何で子供のエルフを襲わないといけないんだよ。
「悪人は皆そう言うんだよ!!」
「シッ! 静かに!! そんな騒いでるとみんな起きてくるぞ」
口を塞ぎ、慌ててライトとムーンの後ろに隠れるクルル。
それを見て、ライトとムーンがきょとんと俺のことを見ていた。
「クマ?」
「グマ?」
「ライトとムーンも、なんでそんなにきょとんとしてるの?」
「悪いが俺は敵じゃないぞ」
「嘘だよ!? だって人間は怖い種族だって本に書いてあった」
「なるほどな」
ティナが言っていた人間を憎んでいるというのはこういった人達なのか。
この子の場合は俺のことを怖がっているだけみたいだが、どうやらこういう人も中には多そうだ。
「人間が全員本の通りの人達なわけじゃないぞ」
「そんなことないはずだよ!!」
「一体どうすれば信じてもらえるんだ?」
こんなに疑心暗鬼になっている少女に対して、俺はどんな話を振ればいいんだよ?
正直ここでにらめっこしていても埒が明かないな。
「そういえば、なんでクルルはここにいるんだよ?」
『ぐーーー』
「あぁ、なるほどな。お腹が減ってるんだろう?」
図星を突かれて肩をビクッとさせるクルルだった。
続きは夜に投稿します。
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