霧の前
投稿が遅くなりすいません
数十分かけて山道を歩いていく。
その道は俺達が以前来たことがある場所でもある。
「先輩、ついに霧の中が見れるのだな」
「あぁ」
以前来た時は、霧の中に入ったのはいいものの元の場所へ戻ってしまった。
今度はそうならないように祈るばかりだ。
「この霧はティナ達が作り出したものなのか?」
「私というか、私のお父様達ね」
「父親達?」
「そうよ。私のお父様を含めて、町で魔力がある人達が外敵に襲われないように知恵を絞った結果できたのがあの結界なの」
「そんな大掛かりなことができるのか?」
「できるみたい。お父様曰く、あの結界を作成するのに数日かかったって言ってたわ」
どうやら俺が思っている以上に、結界を作るのは大変なようだ。
だからフランシスも三葉校長のスキルを危険視したのか。今ならその理由もよくわかる。
「ティナさん達の町はどんな所なんですか?」
「そうね。古くて趣のある素敵な町よ」
「ふむ、そんな素敵な町なら、ぜひ見てみたいな」
「そうだな」
ティナが紹介する町というのは、一体どういう町なのだろう。
なんだかんだ言って、俺もあの霧の向こう側の風景を楽しみにしていた。
「まさかこんな所でこの霧の正体がわかるとはな」
「私だって空達がこの山に頻繁に来ていたってことに驚きよ。よくニアミスしなかったわね」
「それはあたし達がずっと麓で活動していたからじゃないでしょうか?」
「なるほどね。確かに私も山の中腹で活動していたから、ニアミスしなかったのもそれが理由ね」
「中腹付近ではモンスターはいたの?」
「まぁね。ウォールベアーはいなかったけど、ダイアウルフはよく見かけたわ」
「そうか」
「どうしてそんなこと聞くの?」
「1つ不思議に思っていたことがあったんだ。それが解決した」
どうやら俺の予想通り、モンスターは山頂の結界のせいで中腹や麓に降りてきたのだろう。
ティナの話を聞いてると余計にそう思う。
「そういえば、霧の結界の中にどうやって入るんですか?」
「そうだ。普通に入っても、元の場所に戻されるだけじゃないか?」
「大丈夫。あたしの承認があればこの中に入れるから」
「承認?」
「そうよ。結界に入るには、結界を張った人の承認がいるんだけど特別に私も承認する権利を持ってるの」
だからか。ティナが確実に俺達を中に入れられると言っていたのは。
確かに自分が承認の権利があるなら、俺達を中に入れたりすることもできるだろうな。
「三葉校長が作った結界と同じか」
「同じ結界? 結界を作る魔法を使用できる人が空達の中にいたの?」
「魔法じゃなくてスキルだけどな」
「えっ!? すごい。それって超レアスキルじゃない!?」
ティナが驚くってことは三葉校長が持っていたスキルはよほどすごいものだったんだな。
「ティナでも驚くんだな」
「当然よ。だって私の世界でもそんなスキルを持つ人、歴史上で2人しか知らないし」
「歴史上で2人か」
それだけしかいないとなると、三葉校長がどれだけ凄いものを持っていたかわかる。
「おじいちゃん先生のスキルってすごかったんですね」
「そうだな」
いなくなって初めてわかるありがたい存在。願わくば、日向達と共に無事に生き延びていてくれ。
「ちなみに、ティナさんは承認できるって言ってましたけど、どうやって承認するつもりですか?
「確かに。私達全員を一辺に承認させることなんてできるのか?」
「そこは私に任せて」
ティナは自信満々に言っているが、本当に信じても大丈夫なのか?
うかつに俺達のいる街に降りたことといい、オークに襲われたことといい、何か不足な事態が起こりそうでそこはかとなく不安だ。
「まずは全員で手をつなぎましょう」
「手を!? 何で!?」
「今は私の言うことを聞いて」
「わかった」
俺がティナの手を握る。そうするともう反対の手を桜が握った。
「桜?」
「ティナさんだけずるいです。あたしも空さんの手をつなぎたいです」
こんな所で変な独占欲を出さなくてもいいだろう。
ティナや由姫の生暖かい視線が痛い。
「なるほどなるほど。2人はそういう関係だったのね」
「やけに楽しそうだな」
「別に。ただ桜には悪いことをしたなと思っただけよ」
悪いと思ってるなら、そのにやけ顔はやめてくれ。
ただ俺と桜のことを見て、楽しんでるだけだろう。
「先輩、桜とイチャイチャするのは構わないが今はティナの説明を聞こう」
「別にイチャイチャしているわけじゃない!!」
由姫、何か勘違いしているようだがこの状況で俺はそんなことをしようとは微塵も思っていないぞ。
「えぇ~~、あたしはイチャイチャしたいです!」
「クマ!」
「桜とムーンは頼むから静かにしてくれ」
話が進まない。今はティナの説明を聞くのが先だ。
「桜はティナと手をつないでないが、大丈夫なのか?」
「大丈夫よ。私と手をつないでいる人と手をつないでさえいれば大丈夫」
てことはこの状態でも大丈夫ってことか。
桜も俺と手を離さなくていいことがうれしいのか、にこにこと笑っていた。
「それでは私もティナと手をつなごう」
「グマ!」
由姫もティナの空いている手を握る。
桜と由姫の脇には子熊達が抱えられていた。
「準備はできたわね? それじゃあ行くわよ」
ティナに続き、俺達も霧の中へと入る。
視界の見えない霧の中を俺達は静かに進んでいくのだった。
続きは明日の朝投稿します
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