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霧の中へ

今回は少し短めです

「またここに来たのか」



 民家から歩くこと2時間弱、俺達は以前車で来た登山道に来ていた。



「ここにエルフの町があるのか?」


「ここは‥‥‥」



 桜が見上げる視線の先、そこは俺達が食料調達で来ていたあの山だ。



「ここでは色々とあったな」



 何匹ものウォールベアーと戦い、杉田達は怪我をした。

 それにライトとムーンの子熊達と、ここで出会ったのだ。



「そうですね。懐かしいです」


「懐かしいっていっても、つい最近の事なんだけどな」



 ほんの1週間ぐらい前といった所か。

 桜の言う通り、既に体感では数ヶ月経っているようにも思える。



「それより先輩、あれを見てくれ」


「あれ?」


「山頂のことだ。まだ深い霧が山頂を覆っている」


「そうだな」



 相変わらず山頂は深い霧に包まれて何も見えない。

 フランシスは城に帰ると言っていた。もしかしたら、あの霧の中にあいつの城があるのかもな



「あの霧の中には何があるんだろうな」


「それは私達の町よ」


「えっ!?」


「あの霧の中には私達の町があるのよ」


「何だって!?」



 つまりあの霧を作り出したのはティナ達エルフ族だっていうのか?

 そう思った瞬間、俺の中で怒りがふつふつと湧き上がってきて気づけばティナの胸倉をつかんでいた。



「ティナ、お前自分が何をしたのかわかってるのか!!」


「ちょっ、ちょっとどうしたのよ!? そんなに怒って!?」



 これが怒らないわけには行かないだろ? だってあの霧を作り出したのはエルフ達だぞ。

 そのせいで、俺達とウォールベアーがどれだけ無駄な戦いをしたと思ってるんだ。



「空さん、一旦落ち着きましょう」


「そうだ。もしかすると何かの誤解なのかもしれない」


「クマ!」


「グマ!」


「わかった」



 ティナの胸倉を離し、距離を取った。

 ティナは自分の服を直していた。



「悪い、ちょっと熱くなった」


「本当よ。一体どうしたの? 急にそんなに怒って。 短い付き合いだけど、空らしくないわ」


「ティナさん、実はこういう事がありまして‥‥‥」



 それから桜がティナにこの山であったことを説明した。

 あの霧が作られてからウォールベアーが麓に出現し始めたこと。

 そしてそれによって、俺達はライトとムーンの親を倒してしまったこと。

 またその中に赤い石を埋め込まれた個体がいたこと。全て話したのだった。



「なるほど、そうだったのね」


「あぁ」


「まぁ、そうね。確かにあの霧は私達が人間や魔族が勝手に中に入ってこれないようにしている結界みたいなものよ」


「結界か」



 その名前を聞くと、三葉校長のことを思い浮かべてしまう。

 あの人も同じようなスキルを持っていたはずだ。



「確かにあの結界内には人やモンスター避けがされていたわ。もしかするとウォールベアーが麓にいったのは私達にも責任があるかもしれない」


「別にティナさんが反省することはないんですよ」


「まぁね。確かに空が怒る理由もわかるけど、この世界は弱肉強食なの。大事なものを守るなら、戦わないといけないわ」



 ティナがそのように話す理由わかる。弱肉強食。自分の大切なものを守りたいなら、敵対するものは絶対に倒さないといけないからだ。



「クマ!」


「グマ!」


「どうしたんですか? クマちゃん達?」


「クマクマ!!」


「グマグマ!!」


「どうやらこの子達も気にしていないみたいね」



 ライトとムーンの2匹も特に気にしていないようだった。



「それになぜかお礼を言っているようにも見えるわね」


「ティナさんは何を言っているかわからないんですか?」


「私も2匹の言葉はわからないわ」



 わからないのに、よくコミュニケーションが取れていると思う。



「唯一気になっていることもあるけど、そのことはいいわ」


「それは何だ?」


「後で話しましょう。今は私達の町に行くことが先決よ」



 そう言うと、ティナは歩いていく。その後に俺達もついていく。



「そういえばこの子熊達の名前は誰がつけたんだ?」


「私よ」


「ティナさんがつけたんですか!?」


「そうよ。最初は妹がつけたんだけど、あまりにもへんてこだったから私が無理やり変えたわ」


「なんて名前なのだ? その名前とは?」


「ベア男とベア子よ」


「中々なネーミングセンスだな」



 熊の雄と雌だからベア男とベア子か。中々にいけてない名前だ。

 ライトとムーンでよかったな。子熊達。



「クマ!!」


「グマ!!」


「このクマちゃん達も今の名前を気に入っているようですね」



 呼ぶのはいいが、やっぱりこの熊達の名前がダサくないか?

 名づけた人のネーミングセンスを疑うな。



「それじゃあ、行くわよ。私についてきて」


「クマ!」


「グマ!」



 ティナを先頭に俺達は登山道に向かって歩いていく。

 この世界の真実を知るために、俺達が追い出された霧の前へと向かうのだった。


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