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VS 甲冑騎士 空の意地

「くそ!!」



 急いでハンドガンを構え、甲冑騎士に向かってトリガーを引く。

 銃弾が来たことを察知した甲冑騎士がかわす為に、乱れ突きをやめ後ろに下がった。



「今だ!!」



 その隙に俺は日向の元へと向かう。



「日向!! 大丈夫か!!」



 抱きかかえた目をつむりぐったりとしていて、顔色も悪い。

 俺の呼びかけに反応がない。



「日向!! 頼むから聞こえてるなら返事をしてくれ!!」


「うっ」


「しっかりしろ!! まだ助かるぞ!! 気を保て」



 日向のお腹から服越しでもわかるくらい大量の血があふれ出ている。

 けがの様態を確認しないといけない為、急いで日向の服をめくった。



「酷い」



 お腹には無数の刺し傷があり、そこからとめどなく血が出続けている。

 急いでアイテムボックスからタオルを出し、必死に止血を開始した。



「くそ!! 血が止まらない!!」



 何枚ものタオルで止血をするが、一向に止まる気配が無い。

 真っ白のタオルがすぐに赤く染まってしまう。



「空さん!!」


「桜、甲冑騎士はどうしてる?」


「由姫ちゃんが相手をしています」


「由姫が!?」



 遠くを見ると桜の言う通り、由姫と甲冑騎士が戦いをしていた。



「お前の実力はその程度か!!」


「くっ!!」



 戦況は防戦一方で甲冑騎士の攻撃を由姫が受け続けている。



「まずいな、このままじゃ由姫も甲冑騎士にやられる」



 地力が違いすぎる。いかに由姫の剣術がすごくても、圧倒的に甲冑騎士の方が強い。



「どうする? なんかいい方法はないのか?」



 甲冑騎士を倒す方法が見つからない。

 日向も治療しないといけないし、本当に俺達だけで甲冑騎士に勝つことなんてできるのか?



「空さん」


「一体どうすれば‥‥‥」


「空さん!! 空さん!!


「桜、どうした?」


「どうしたじゃないですよ!! まずは日向先輩を何とかしないと」


「そうだな」



 由姫のことも心配だけど、まずは瀕死の日向を何とかしないと。

 せっかく由姫が時間を稼いでくれているんだ。この隙に日向を治療できるところに避難させよう。



「幸いまだ日向に息はある」



 顔色が悪いが息はしている。今ならまだ間に合う。



「この状態なら、悠里や良子さんに見せれば何とかなるかもしれない」


「それじゃあ早くお母さん達の所まで連れて行きましょう」


「桜、悪いが日向を連れて悠里達のところへ行ってくれ」


「私がですか!?」


「そうだ」



 桜なら悠里とも面識があるし、なにより俺が安心して日向を任せられる。



「先輩はどうするつもりですか?」


「俺はここで由姫と一緒に甲冑騎士を倒す」



 ただでさえ由姫は防戦一方の状態なんだ。いつやられてもおかしくはない。



「無茶ですよ!! 先輩と由姫ちゃんで甲冑騎士を倒すなんて」


「無茶でもなんでもやるしかないんだよ!!」



 日向が戦線を離脱した以上、俺が甲冑騎士をなんとかするしかない。

 勝てる見込みは0に限りなく近いが0ではない。どこかで必ずチャンスはある。



「だったらあたしも‥‥‥」


「それはだめだ」


「何でですか!?」


「桜なら悠里達や良子さんと面識があるだろう」


「それだけですか?」


「後はこの戦いに参加していたから、今の状況も把握しているはずだ。そのことを春斗さん達にも伝えてほしい」



 中にいる春斗さん達は真近で戦いを見ていないので、正しく状況を把握していない可能性が高い。

 桜なら良子さんや春斗さん、三葉校長に対しても面識はある。だからスムーズに話が通るはずだ。



「でも、それでは先輩が‥‥‥」


「今は一刻の猶予もない。これは桜だから頼んでいるんだ」


「あたしだからですか?」


「そうだ。これは桜にしかお願いなんだ」



 1番信頼している桜だからこそできる話だ。

 こういう役は俺よりも桜の方が適役だから



「わかりました」


「頼むぞ。桜だけが頼りだ」



 日向がここまで踏ん張ってくれたんだ。それを無駄にするわけにはいかない。



「絶対にあいつを倒す」



 ここまで甲冑騎士を弱らせてくれた日向のためにも、俺は絶対にあいつを倒す。



「1つだけ約束をしてくれませんか?」


「何だ?


「空さん、絶対に死なないで下さいね」


「当たり前だ」



 俺にはまだやり残したことがたくさん残っているんだ。

 こんな所で死んでたまるか。



「後はよろしくお願いします」


「あぁ、桜も気を付けてくれ」



 桜を見送り、俺はハンドガンを剣に持ち替え甲冑騎士へと向かう。



「あぁぁぁぁぁぁぁ!!」



 叫び声で甲冑騎士も俺の存在に気づいたようだ。

 由姫を引きはがすと、冷静に俺の剣を捌いた。



「さっきの剣といい、飛び道具といい、一体お前はいくつ武器を持ってるんだ!?」


「そんなこと、お前の知ったことじゃない!!」



 本当によくしゃべる甲冑騎士だ。まるでテレビに出ている芸人みたいにしゃべり倒している。



「なるほど、貴様の実力はこの程度か」


「何!?」


「さっきの少年と少女だったらまずかったが、お前達2人ぐらいなら余裕で殺せるる」


「そんな減らず口を聞けないようにしてやるよ「!!」



 全く舐められたものだ。ゴブリンソードやゴブリンキングといい、俺のことなんてごみ同然と思ってるんだろう。

 だからこそチャンスがある。敵が慢心しているなら、その隙をついて倒せばいい。



「油断してると足元をすくわれるぞ」


「やれるものなら、やってみるといい」



 剣がはじかれ、校舎の方まで吹き飛ばされてしまう。

 剣を受けた感じは重くないのに、校舎まで吹き飛ばされてしまうこのパワー。



「あいつはまだ何か隠し持ってるな」



 それが何かはわからない。何かはわからないけど‥‥‥。



「わからないなら、その正体を暴くだけだ」



 そうすれば、俺達にも勝機が見えてくるはずだ。

 いつもやっていることだ。難しいことなんて何もない。



「先輩!!」


「由姫!! 怪我はないか?」


「私は大丈夫だ」



 どうやら怪我はなさそうだな。

 それならここから反撃に出よう。



「由姫は隙を見て甲冑騎士に攻撃してくれ」


「先輩はどうするつもりなんだ?」


「あの甲冑騎士は俺がひきつける」


「無茶だ!! まだ私が相手をした方がまともに戦える」


「ここは俺に任せてくれ。それに由姫にはあいつにとどめを刺すっていう重要な役割が待ってるだろ?」



 俺の技量や火力じゃあいつにとどめを刺すことができない。

 ゴブリンキングとの闘いとはわけが違う。今の俺に威力のある攻撃ができる手段がない。



「先輩」


「これは由姫にしか頼めないことなんだ。頼む」



 俺にとどめを刺す力がない以上、由姫に頼むしかない。

 神妙な顔をしながらも由姫はうなずいてくれた。



「ありがとな」


「その代わり、危ないと思ったらすぐ引くのだぞ」


「もちろんだ」


「では行こう」


「作戦開始だ」



 俺は片手で剣を持ち、甲冑騎士に切りかかる。

 その攻撃はあっさりと細剣(レイピア)で受け止められた。



「あんな大振りの剣、目を瞑っていても避けられる」


「俺の武器は剣だけじゃないぞ」


「何!?」



 左手にハンドガンを出し、甲冑騎士を狙う。

 トリガーを引くと、甲冑に銃弾がめり込んだ。



「俺のメイン武器は剣じゃない。この銃だ」


「くっ!!」



 銃撃をしている内にわかったことだが、どうやらあいつの甲冑は銃弾に強くないらしい。

 至近距離からだった影響もあるだろうが、簡単にひびがはいった。


「この!!」



 力任せで俺から距離を取ろうとする甲冑騎士。鎧で隠れているその目からは焦りの色がはっきりわかった。



「油断したな!!」


「くっ!!」


「やぁ!!」



 その隙に由姫が刀で甲冑騎士に襲い掛かる。

 それを間一髪でかわし、地面にごろごろと転がった。



「ええい!! ちょこまかと!!」



 俺達の攻撃は甲冑騎士をいらだたせているようだ。

 いら立たせているということは、余裕がない証拠。俺達は甲冑騎士を追い込んでいる。



「由姫、挟撃するぞ」


「わかった」



 由姫と甲冑騎士を挟んで攻撃する。

 1歩後ろに下がって攻撃を避けられる。



「由姫、もう1回だ」


「わかった」



 それから何度も攻撃をする。甲冑騎士に致命傷を与えられないが、相手も決定的な攻撃をすることができない。



「絶対あいつに構えさせるな」


「わかった」



 構えた瞬間、あの乱れ突きが飛んでくる。

 あの乱れ突きさえやらせなければ、あいつはたいしたことがない。



「いける!!」



 少しずつだが、完璧に甲冑騎士を追い込むことに成功している。

 持久戦にはなるが、この調子ならあいつを倒すことができるだろう。



「お前達は何か勘違いをしているな」


「何!?」


「私は別に、いつでもお前達を倒すことが出来るんだぞ」


「まさか‥‥」



 甲冑騎士は剣を引く。その構えは通常の甲冑騎士の構えに似ていた、



「何だ!? この感じ?」



 全身を駆け巡る悪寒。まるでこの場所からいなくなった方がいいと本能が訴えかけているようだ。



「この感じ、さっきの日向の時と同じだ」



 きっとこの後、俺が予想だにしないことが起こる。

 それは間違いない。少しでもここから離れないと。



「はぁぁぁぁ!!」


「由姫!!」



 甲冑騎士に切りかかろうとする由姫の首根っこ掴み、後ろに投げ飛ばす。

 投げ飛ばされた由姫は目を丸くして驚いているように見えた。



「先輩、何を‥‥‥」


「よかった、間に合った」



 日向の時と違い、間一髪の所で由姫を助けることができた。

 俺の前にたたずむ甲冑騎士、兜のせいで顔は見えないが一瞬笑ったような気がした。



「自分を犠牲にして仲間を逃がすとは殊勝な心がけだ」


「それはどうも」


「その度胸に免じて苦しまないように殺してやろう」


「先輩!? 何を‥‥‥」



 その瞬間、無数の細剣(レイピア)が俺めがけて飛んでくる

 防御する時間など与えてくれるはずもなく、体中の至る所に甲冑騎士の攻撃が突き刺さる。



「先輩!!」



 あまりの突きの威力に押されて吹き飛ばされ、そのまま校舎の壁に激突するのだった。

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