VS 甲冑騎士
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
甲冑騎士の懐に飛び込んだ日向は、そのまま甲冑騎士めがけて剣を振るう。
「新手か!?」
驚きながらも冷静に剣で受ける甲冑騎士。
その攻撃は防がれてしまうが、そのまま甲冑騎士と鍔迫り合いをしていた。
「お前は僕が倒す!!」
「仲間を殺された敵討ちってところか。悪くはないな」
そのまま日向と甲冑騎士は力比べとばかりにぶつかり合う。
どうやら今の甲冑騎士には日向しか見えていないようだ。
「空さん、あたし達はどうしますか?」
「桜と由姫は倒れている人の中から生存者がいないか確認してくれ」
「はい」
「わかった」
もしかすると、あの中にまだ息がある人がいるかもしれない。
それなら悠里や良子さんに見せれば、治せる可能性がある。
「空先輩はどうするんですか?」
「俺は日向のフォローへ向かう」
いくら日向でもあの甲冑騎士と1人で戦うのは荷が重すぎる。
俺では大した戦力にはならないが、いないよりはましだろう。
「無茶だ!! 1人で援護に向かうなんて!!」
「大丈夫だ。俺に任せろ」
あいつを倒すことはできなくても時間稼ぎぐらいならできる。
その間に生存者を探し出して、悠里達の元へ届ける。その後で俺達と合流すればいい。
「本当に2人でなんとかできるのか?」
「時間稼ぎ程度なら、俺達2人何とかするさ」
あの甲冑騎士相手なら、時間稼ぎ程度なら俺達2人で十分だ。
まずは怪我人を手当することが優先である。
「空さん、信じてますからね」
「あぁ、大船に乗ったつもりでいてくれ」
俺は桜と由姫とは別の方向にいる甲冑騎士に向かって突撃していく。
既に甲冑騎士は日向と交戦している。今は鍔迫り合いをしてお互い力比べをしている最中だ。
「日向!! 右にずれろ!!」
「空!」
構えたハンドガンを甲冑騎士の左胸に狙いを定め、トリガーを引く。
ハンドガンから打ち出された全ての弾が、甲冑騎士の方へと向かっていく。
「むっ!!」
銃弾に気づいた甲冑騎士がその攻撃を避けた。
「まだ援軍がいたか」
甲冑騎士は地面を転がるような体勢で避けた。避けるにしてはいささか大げさな避け方である。
「何だ? この違和感?」
まるであの甲冑騎士は俺の銃での攻撃を恐れているようである。
「空!! ありがとう」
「ちっ、あと少しで命中したのに」
今はそんなことを考えている余裕はない。取り合えず日向を落ち着かせよう。
だがそんな心配もいらないようだ。
俺の方にかけよって来る日向は、先程とは違い落ち着きを取り戻したかのように思えた。
「日向、仲間がやられて憤る気持ちはわかるけど少し落ち着け」
「ごめん」
「怒りだけであの甲冑騎士を倒せると思ったら大間違いだぞ」
頭に血が上った状態で戦っても勝てるわけがない。
まして相手は数々の戦場を駆け抜けてきたと思われる甲冑騎士が相手なんだ。
こっちも万全な状態で迎え撃たないと、すぐに死んでしまうだろう。
「これからどうしよう」
「まずは時間を稼ごう。今は桜と由姫が生きている人を探してくれている」
「本当!?」
「あぁ、本当だ」
正直望みは薄いが、可能性は0じゃない。
一縷の望みをかけて探してみる価値はある。
「桜と由姫が加勢に入ってからが本番だ。それまではあいつの注意をこちらに引き付けるんだ」
「わかった」
「俺が正面から攻撃して囮になる。だから日向は隙を見て攻撃してくれ」
ここからは俺と日向のコンビネーション攻撃だ。
そう簡単に倒せると思うなよ、甲冑騎士。
「行くぞ!!」
「うん!!」
ハンドガンを撃ちながら、甲冑騎士に近づいていく。
甲冑騎士はというと、剣を構え左右動き弾を避け続ける。
「らぁぁぁぁぁぁ!!」
「くっ!! また面倒なものを使って!!」
剣ではじくことはせず、体の動きだけで銃弾を避けているようだった。
そこで違和感の正体に気づく。甲冑騎士が恐れているものに。
「やっぱりそうか」
なぜかわからないが、あの甲冑騎士はハンドガンの攻撃をひどく怖がっている。
まるでその攻撃が自分の弱点だと言っているかのように、甲冑騎士は戦っているように見えた。
「調子に乗るな!!」
「くっ!?」
目の前に突き出された剣をハンドガンで受けた。攻撃を受けてみてわかったが、剣での攻撃自体はそんなに重くない。
「あの剣のスピードが出せるのはその剣にあったのか」
甲冑騎士が持っている剣は細くて軽い。あの衝撃破でごまかしてはいたが、攻撃自体は比較的簡単に受けることができる。
「我の細剣を愚弄するのか?」
「愚弄なんてしてないぞ。むしろ褒めている」
途中大人達を吹き飛ばした攻撃なんて、甲冑騎士の元の腕力と剣の強度があったからこそできた芸当だろう。
そうでなければ、先に細剣の方が折れている。
「お主、我の攻撃のからくりを見抜いたな?」
「どうだかね。それよりいいのか? 俺ばかりに集中していて」
「むっ!!」
「俺より注意しないといけない奴がいるんじゃないか?」
「やぁぁぁ!!」
日向の攻撃をかろうじて細剣で甲冑騎士は受け止める。
その体勢には余裕がない。日向をはじき飛ばし、そのまま後ろに下がって避けるのだった。
「先程の奴等よりも少々できるようだな」
「ありがとよ」
「褒美に我も少しだけ本気を出そう」
甲冑騎士がレイピアを構えた。後ろで細剣を引く構えはまさか‥‥‥。
「この構えは‥‥‥日向、距離を取れ」
「えっ!?」
「くらえ!!」
甲冑騎士の高速乱れ突き。さっき、ここの人達全員を倒した技だ。
「くっ!!」
「日向!!」
甲冑騎士の高速乱れ突きを正面から受ける日向。その顔は苦渋に満ちていた。
「貴方は勘違いしているよ」
「何!?」
「その攻撃だけで、僕は倒せない」
「何を言っている!?」
そうかわかったぞ。攻撃を受けているように見えて、聖剣で全部捌いている。
甲冑騎士から幾分か距離を取っている影響もあるだろうが、一突き一突きがしっかり見えているようだった。
「くっ!! 小癪な!!」
「おい、甲冑騎士。厄介なのは日向だけじゃないぞ」
「何!?」
日向に注意が言っていることをいいことに、死角からからハンドガンを構え甲冑騎士を狙う。
今度の目標はそのひた隠しにしている頭だ。
「くっ!!」
俺の攻撃が視界に入ったからか、甲冑騎士は攻撃をやめて距離を取った。
「もう少しだったのに」
あのまま攻撃に集中してくれていれば、あいつの顔をみることができたのに。
いまはそのことを悔やんでいてもしょうがない。今は攻撃を受けた日向の心配が先だ。
「日向、大丈夫か?」
「なんとか」
「よく無事だったな」
「それほどでも」
あの高速の突きを避けられるのは日向だからだろう。
でも、日向ならあの突きを無効かできることがわかった。
「これで少しは勝機が見えてきたな」
「空さん」
「先輩」
「やっと戻ってきたか」
聞きなれた声が昇降口の方から聞こえてくる。
「遅いぞ」
「すいません、少し手間取りました」
やっと甲冑騎士を倒す為に必要な駒が揃った。
これであの甲冑騎士に一泡吹かせられるビジョンが見えて来たぞ。
「空さん、こっちは終わりました」
「こっちも終わったぞ」
「桜、由姫」
このタイミングで2人が戻ってきてくれたのはありがたい。
後は立てた作戦で甲冑騎士を倒すのみだ。
「それで、生存者はいたのか?」
「殆どの人がダメでした」
「やっぱりそうか」
「だけど、1人だけ息があるものがいた。その人は今悠里先輩に預けて、治療をしてもらっている」
「そうか」
1人だけでも生存者がいたならよかった。
桜と由姫に任せて正解だった。
「よし!! ここから反撃だ。桜と由姫も頼むぞ」
「わかった!」
「任せてください!」
ただで済むと思うなよ。甲冑騎士。
この学校に乗り込んだことを、絶対後悔させてやるからな。
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