霧の中
お待たせしました。本日より投稿を再開します
霧の中に入るが、濃霧のせいで何も見えない。
2人の息遣いだけが、霧の中で聞こえる。
「周りが何も見えないな」
「こんなに近くにいるのに、先輩の顔すら見えません」
俺の腕にしがみついてる桜が言うならそうなのだろう。
俺の方からも桜の顔は見えない。
「残念そうに聞こえたのは俺の気のせいだよな?」
「せっかくのデートなのに、これじゃあ台無しです」
「デートじゃないからな⁉︎」
俺達は偵察に来ているのであって、デートをする為にここに来たんじゃないぞ⁉︎
今日の桜は浮かれているせいか、何か勘違いしているように感じる。
「それよりもこんな状態じゃ、どこに向かっているのかわからないな」
「引き返すんですか?」
「引き返すにしても、元の道がわからないだろう」
今更引き返したとしても、どうやって戻るか俺にはわからない。
「由姫のスキルでも現在地はわからないか?」
「申し訳ないが、私のスキルでもわからない」
つまりこの霧の中は山の中ではあるが、山の中では無い空間。
敵が意図的に作り出した空間の可能性もある。
「桜、由姫、大丈夫か?」
「あたしは大丈夫です」
「私もだ」
腕と手にしっかりと2人の感触は伝わってくる。
周りが見えないので、今はその感触だけが頼りだ。
「2人共、絶対俺から離れるなよ」
「「はい」」
俺達は今敵陣の真っ只中にいる。そしてこの霧は確実に敵が作り出したものだ。
「まずいな」
「何がだ?」
「敵が俺達の存在に気付いている可能性がある」
「それは本当か⁉︎」
「可能性の話だけどな」
もしこの霧が三葉校長が持っているスキルの強化版だとしたら、俺達が霧の中に入っただけで気づいた可能性もある。
「俺1人ならいいけど」
両隣には桜と由姫の2人がいる。
俺はどうなってもいいが、この2人に危害が及ぶことだけは避けなくてはならない。
「先輩‼︎」
「由姫、どうしたんだ⁉︎」
「何でもない。何でもないんだが」
「えっ⁉︎」
先程迄由姫の手の感触のみだったが、いつの間にか腕を取られていた。
由姫の体の感触がダイレクトに俺の肌を伝ってくる。
「由姫⁉︎」
「何かに引っ張られる感覚があるんだ。先輩には申し訳ないが、少し我慢してくれ」
「我慢って言われても」
むしろご褒美に近いような。
見た目ではわからないが、由姫の大きくて柔らかい部分が俺の腕で潰される。
「粗末なものだが、我慢してほしい」
「粗末なものではないけど」
「先輩は私のような女の子でもいいと思う?」
「いいも何も由姫は由姫で充分魅力的な女性だとは思うぞ」
もちろん俺の1番は桜だけど。
「せっ、先輩⁉︎ その発言はセクハラに近いぞ⁉︎」
「元々由姫が言い始めたことだろ⁉︎」
由姫が何も言わなければこんな事にならなかったのに。
顔は見えないが、恥ずかしそうにしているように見えた。
「‥‥‥‥先輩、由姫ちゃんと楽しそうにお喋りしてますけど、何かありましたか?」
「いや、別に何でもない」
「もしかして、由姫ちゃんにセクハラでもしてるんですか? そうだとしたら許しませんけど?」
「誤解だ‼︎」
俺から由姫に対しては何もしていない。
ただぼうっと立っていただけだ。
「なんか怪しいですね」
「別に怪しくない」
「そうだ、桜。勘違いしないでくれ。別に私は先輩と何もしていない」
「由姫⁉︎」
それはむしろなんかしているって意味に捉えられるからやめてくれ。
桜が腕を掴む力が強くなった気がした。
「‥‥‥‥‥空先輩?」
「一向に霧が晴れないな」
「そうですね。霧が晴れれば空先輩達のお姿が見えるんですけど」
しまった⁉︎ 余計なことを言った。
桜のしがみつく力が更に強くなる。
「どこまで歩けば霧から出られるだろう」
「もう少しじゃないですか?」
「桜はそう思う?」
「えぇ、早く空先輩達の事が見たいです」
「ふふふふふ」と笑う桜が怖い。
この霧の主よりも先に、俺は桜に倒されるんじゃないか?
「この霧じゃ、どこを歩いてるのかすらわからないな」
「そうだな」
霧のせいでどこにいるのかわからない。
「完全に道に迷ったな」
「遭難ってやつですね」
まさに桜の言う通り。
こんなところで遭難なんてしたくないが、この霧だからしょうがないだろう。
「先輩、道が開けたぞ」
「本当だ」
「光が見えます」
光のある方へと俺達は歩いていく。
そして霧が晴れる。やっと霧の先が開けた、
「ここは‥‥‥」
「さっきと同じ場所?」
俺達は登っていたと思っていたが、いつの間にか下っていたらしい。
「確かに登っていたはずなんだが?」
「霧の主に元の場所に戻されたんだな」
そうとしか考えられない。きっと俺達は不要と思われて、外に戻したのだろう。
「やっぱりこの霧は誰かのスキルなのかもしれないな」
「誰かのスキルと言っても、誰のスキルなんだ?」
「それは俺にもわからない」
もしかしたら強大な敵かもしれないし、俺達を手助けしてくれる仲間かもしれない。
「とりあえず会ってみないことにはわからないな」
あの先にはどんな奴がいるかわからないが話してみる価値はあるだろう。
もしかすると俺達の知らない事を知っているかもしれない。
「今日は一旦引き返して、春斗さん達と合流しよう」
「そうだな」
何もなかった。それだけでも収穫だ。
きっと霧の主は今は俺達と敵対する必要がないように思えた。
「楽しそうな所すいませんが。ちょっと待って下さい、空先輩?」
「どうしたんだ、桜?」
「空先輩には色々聞きたいことがあります」
「聞きたいこと?」
「そうです」
ニコニコと笑う桜は掴んでいた手を離さない。
むしろ先程よりも力が強くなっている気がする。
「桜、そんなに力を入れると痛いから話してくれないか?」
「いやです。せっかく先輩といちゃいちゃできるチャンスですから、絶対に離しません」
いちゃいちゃと言うよりは、ギシギシと言う方があってるけど。
桜が掴むたびに俺の骨の軋む音が聞こえる。
「色々聞きたいことはありますけど、まずはなんで由姫ちゃんまで、空先輩の腕を掴んでるんですか?」
「「えっ?」」
確かに左腕には由姫がきっちりとくっついていた。
それはもう、俺の左腕を離さんとばかりにしがみついている。
「付き合って2日目で浮気ですか?」
「違う。これはしょうがないんだ」
「何がしょうがないんですかね?」
駄目だ、今の桜にどんなことを言っても聞く耳を持たない。
完全にバーサーカー状態だ。
「おい、由姫。ちゃんと桜に説明して‥‥‥こら‼︎ 逃げるな‼︎」
いつのまにか俺から由姫は距離を取っている。
まさかこのまま逃げる気じゃ。
「由姫‼︎」
「後は先輩に任せた」
「いや、任せるなよ‼︎」
事情を知ってるのは、由姫しかいないんだから。
ちゃんと桜に説明してくれ。
「空先輩」
「桜、これにはちゃんとした理由があって」
「それならちゃんと理由を説明してくれますよね? あたしにもわかるように」
桜の圧力に押されて、俺は押し黙ってしまう。
由姫はと言えば俺から距離を取っている。
「まずは何から聞きましょうか。とりあえず由姫ちゃんのセクシーダイナマイトな体の感触でもじっくり聞いていきましょうか」
「勘弁してくれ!!」
結局この日霧の謎は解明できなかった、
霧の謎が解明されない代わりに、残り時間俺と由姫の関係について、桜に根掘り葉掘り聞かれるのだった。
【御報告】
ここまでご覧頂きありがとうございます。
前書きでも書かせていただいた通り、本日より投稿を再開します。
パソコンの件ですが、結局修理出来ない状態らしく買い換えることになりました。
まだ家に届いておりませんが、本日の夜までには手元に届いていると思います。
最後になりますが、この作品を見てくれている皆様、ブックマーク登録や評価、感想等をくれた皆様本当にありがとうございます。
少しでも面白い作品が書けるようにこれからも頑張りますので、応援宜しくお願いします。




