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偵察

本日の朝1度更新しております。

見られていない方は前話からご覧ください。

「桜、そっちに行ったぞ」


「わかりました。 ‥‥‥やぁ!!」



 春斗さん達と別れて2時間、俺達は順調に狩りを続けていた。

 先程からダイアウルフが俺達の近くを通り過ぎるのでせわしなく動き回っている。



「先輩、ダイアウルフを倒しました!」


「わかった。桜はそこでドロップアイテムが落ちてないか確認してくれ」


「はい」


「モンスターは確かに多いけど、ウォールベアーみたいなモンスターはいないようだな」



 もちろん狩りをしている間も敵探知と危険感知のスキルは発動させたままだ。

 少しでもリスクを背負わないように慎重に行動する。



「先輩、そっちにモンスターが1体行ったぞ」


「了解。こっちは俺が対応するから、由姫はもう1匹のダイアウルフを頼む」


「わかった。先輩も無理はしないでくれ」



 逃げ惑うダイアウルフ1体1体を俺達は確実に仕留めていく。

 気付くと午前中だけで20体以上のダイアウルフを倒していた。



「どうやら一区切りついたようだな」


 モンスターの反応がなくなり、やっと一息つけた。



「お疲れ様です。それより、今日はダイアウルフが大量発生していますね」


「そうだな」



 登山道に入った途端、ダイアウルフが見つかること見つかること。

 遭遇したダイアウルフの中には群れになって行動しているものもいたぐらいだ。



「これもウォールベアーが少なくなった影響かな」


「そうだと思います。なんか今日はダイアウルフが縦横無尽に動いている気がします」


「だよな。もしかすると今まで隠れていたのかもしれないな」



 そうとしか考えられないぐらい、ダイアウルフが麓をうろうろしている。

 昨日ウォールベアーの親玉らしきモンスターを倒したからか、今日はダイアウルフの姿をよく見かけた。



「先輩、そろそろ休憩にしないか? 私はもうクタクタだ」


「そうだな」


「あたしも疲れました」


「それじゃあ一旦ここで休憩にしよう」



 幸いこの近くにモンスターの反応もない。休憩するにはもってこいの場所だろう。



「そしたらあそこの木陰に行こう。そこで一旦休憩だ」


「わかりました」


「わかった」



 桜達と共に木陰に移動して、そこに座る。

 この2時間動きっぱなしで疲れているのか、2人が疲弊しているように見えた。



「今日もモンスターがいっぱい出てきますね」


「だな」


「だが、この近くにいるのはダイアウルフだけだ。そんなに危険はないだろう」



 由姫の言う通りだ。今日俺達が見つけたモンスターはダイアウルフだけだ。

 ウォールベアーみたいな危険なモンスターもいないので、いつもより安全に狩りができる。



「この調子なら、日向先輩達のグループに勝てそうですね」


「日向を甘く見ない方がいいぞ。あいつの運は人並みはずれているからな」



 あれから毎日のように日向達のグループも食糧調達に出ているが、日が経つごとに持って帰ってくる食糧は多くなっている。

 それこそ俺達の何倍の量の物を持って帰ってくるんだ。

 


「一体どうしたら、あんなに物資を見つけてこれるんだろうな」


「そこは日向先輩だから持って帰ってこれるんですよ」



 桜は日向だからというが、どうしてあんなに持って帰って来れるのか謎だ。

 今度会ったら日向に聞いてみた方がいいかもな。



「でもそのおかげか、Aグループの人達は多くの人から信頼されているみたいだな」


「あぁ、俺達のグループとは大違いだ」



 比較するわけではないが日向達のグループは特に優秀だ。

 全く食糧を持って帰ってこなくて、その上チームワーク最悪の俺達のチームよりはるかに優れているだろう。



「全部日向のおかげだろうな」


「何を言ってるんですか! 日向先輩以外の人達も頑張っているから、結果が出ているんじゃないですか。全部が全部日向先輩のおかげじゃないですよ」


「確かにそうだな。悪い失言だった」



 Aグループの人達の努力を日向のおかげでまとめてはいけないな。

 全員が力を合わせたからこそ、あんないい結果が生まれているんだ。

 決して日向1人の力じゃないはずだ。



「だけど、今日はいつも以上にダイアウルフの数が多いな」


「ウォールベアーの親玉が倒されたことも影響しているけど、全ての元凶は山頂の霧のせいだな」



 この近く以外にも山はあるけれど、この山の頂上だけ霧がかかっていていまだに山頂を見ることができない。



「ウォールベアーやダイアウルフが麓まで降りてきたのも、あの霧が原因だからな」



 そうとしか考えられない。そうでなければ、こんなに麓にモンスターは出てこないだろう。



「この霧の向こう側には一体何があるんでしょうか?」


「さぁな」



 いくら考えたってわかるわけがない。あの霧の向こう側に何があるかなんて。



「もしかしすると、あの先にはお菓子で出来た家があるんじゃないですか?」


「そんなのあるわけないだろ」


「それじゃあ魔王城とかどうですか? 怖い魔王様が大きなお城を構えて人間達を監視しているとか」


「物騒なことを言わないでくれ」



 本当にあの霧の中に魔王城があったらどうするつもりだ。

 もし魔王の手先とかが出てきたら、さすがの俺達でも勝算がないぞ。



「もしくは、あの霧の向こうには異世界が広がっているとしたらどう思う?」


「異世界!?」


「そうだ。もしかすると、今までのモンスター達は全部あそこから出現しているとしたら‥‥‥」



 由姫が言っていることは確かにつじつまは合う。だけど俺には腑に落ちない点があった。



「もしそうだとしたら、何でウォールベアー達は霧の中に戻っていかないんだ?」



 由姫の立てた仮説が本当なら、ウォールベアー達も自分達の世界に戻ろうとするだろう。

 それなのに、何故俺達の世界に固執する必要があるんだ?



「もしかすると、あのクマちゃん達も住処を追われたのかもしれませんね」


「何?」


「あの霧の奥にあるのが異世界だとしたら、その住処を奪われてここに来たのかもしれません」



 住処を追われたウォールベアー。そのせいで戻る場所がなくて、仕方がなくここで生活をしていたとする。



「もしかすると、ウォールベアーも被害者なのかもしれないな」



 弱肉強食の世界なので、しょうがないことではある。

 だがそうなると、ウォールベアーがこの辺りにいるのは住処を奪った霧の向こうの住人に原因はある。



「先輩、ちょっと相談したいことがあるのだがいいか?」


「大丈夫だ。何でも言ってくれ」


「私達であの霧の中に行ってみないか?」


「霧の中に?」


「そうだ。もしかすると、ウォールベアーが麓に来た理由がわかるかもしれない」



 冗談じゃない。由姫が霧の中に行きたい理由もわからなくはないが、それにはとんでもないリスクが潜んでいる。

 何が起こるかわからない所に行くなんて、自殺行為に等しい行動だ。



「無茶だ。霧の中に行くっていっても、そこにどんな危険があるかわからないんだぞ」



 正直、霧の先にはどんな相手がいるかわからない。

 それこそ桜の言う通り、俺達よりも段違いで強い敵がいる可能性もある。



「もちろんそれは承知の上で言っている」


「駄目だ。相手の正体がわからない以上、対策もなしに行くのは愚策だ」



 何かあってからでは遅い。作戦が練れない以上、霧の中に行くのはやめた方がいい。



「先輩、ちょっといいですか?」


「何だ?」


「さっきの由姫ちゃんの提案ですけど、あたしも賛成です」


「桜まで!?」


「確かに先輩の言う通り、あの霧の中には学校の人達をを脅かすような敵が出てくるかもしれません」


「だろ? その可能性がある以上、霧の中に行くのはやめた方がいいんじゃないかって言ってるんだけど?」


「先輩は甘いですね」


「甘い?」


「そうです。だからこそ、あたしは敵情視察した方がいいって言ってるんです」


「敵情視察か」



 相手の戦力を見極める為斥侯として霧の中に入るのか。



「戦わないなら、それもありかもしれないな」


「そうですよね!」


「だけど必ず戦わないとは言えないだろ?」



 あんなに用意周到に霧を使って目くらましをしているんだ。

 もしかしたらあの霧を発生させていること事体罠の可能性もある。



「だけどこれからのことを考えても、1度中を覗くぐらいはしてもいいと思う」


「同感です。何か大変なことが起こる前に、それを未然に防ぐことができるなら行くべきです」



 2人が言っていることはよくわかる。あんな霧を展開している相手が、いつこちらに戦いを挑んできてもおかしくはない。



「どんな危険が待っているかわからないんだぞ。それでも行くつもりか?」


「愚問だな」


「先輩となら、どんな敵が来ても追い払ってやりますよ」



 この後輩達は心強いな。これでは俺の方が臆病風に吹かれているみたいだ。



「わかった。俺の負けだ」


「それじゃあ」


「だけど俺達はあくまで敵の情報を掴みに行く。それだけだぞ」


「やった!!」


 桜と由姫はハイタッチをして喜びを分かち合う。

 傍から見ていても仲がいいなと思う。



「いざとなれば俺の気配遮断のスキルもある。それを使って逃げればいい」



 最悪の展開も考えている。そうなったら俺が犠牲になればいい。

 桜と由姫だけは何としても守る。



「それじゃあ決定ですね」


「ただし、少しでも危険があれば引き返すからな。2人共それだけは忘れないでくれ」


「「はい」」



 全くこの2人は返事だけはいいんだから。あきれていると、桜が俺の近くまで来た。



「空先輩、ありがとうございます」


「礼を言われることはしていない。俺だってあの霧の中に興味があるからな」



 あの霧の奥に何があるかわからないが、行ってみる価値はあるだろう。

 もし俺が1人で行動していたら、確実に中に入っていたと思う。



「じゃあ休憩を終わりにしてそろそろいこうか」


「はい、行きましょう。霧の中に」



 こうして俺達は霧の中へ探索に向かう。

 登山道から山頂の方へと歩いていくのだった。

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