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前職はトラック運転手でしたが今は神の代行者をやってます ~転生志願者を避けて自分が異世界転移し、神の代役を務める羽目になったトラック運転手の無双戦記~  作者: Ineji
第六章 センデニオ激闘編

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第七十八話 決着

 ダイゴの『蒼太陽ソルブルゥ』によって発生した太陽の如き光。


 それが掻き消えた後も濛々たる煙と水蒸気が吹き狂い、全く視界が効かない。


 暫く経って漸くその煙が晴れたのち、黒竜がいた場所は所は周囲一キルレ以上のクレーターと化していた。

 至る所で岩が赤熱化し、溶岩が水たまりのように溜まっている。


 その中心地でズタズタになった黒竜が倒れていた。いや、黒竜だったモノだ。

 身体だった部分の殆どが炭化し、骨すらも石灰化して崩れ去っている。


 その中に辛うじて残っていた物があった。


「成程、これが竜核って奴か。あの攻撃に耐えるとはなぁ」


 常人では耐え難い様な熱気の中、平然とエルメリアを伴って歩いてきたダイゴが、その繭のような形の物を見て言った。


『叡智』によると、竜、と言うより竜人族は元々は獣人に分類される種族だった。

 だが、遥か太古に『神』に見出された五人の竜人族が『大地の守護者』として新たな能力を与えられた。


 獣化転換を更に発展させた竜化転身により、瞬時に文字通りの竜の身体を魔素により構築出来、その心臓とも言える『竜核』の中に竜人族が収まり、自在に操ることが出来る。

 そして竜人族の寿命の際には別の竜核を生み出し、その竜核の中で新たな竜人族の身体が作られ、記憶が受け継がれていく。


 これにより竜人族は無限の時間を生きてきた。


 その竜核にヒビが入り、やがて中からドロリとした粘液と共に裸のソルディアナが流れ出て来た。

 強靭な竜核と内部の粘液によって辛うじて守られていたが、ダメージは大きく、瀕死の状態だ。


「流石にホビロンみたいにはなって無かったな。エルメリア」


 ホビロンとはベトナムの食べ物でフィリピンではバロットなどと呼ばれている孵化直前のアヒルの卵を茹でたものだ。


「畏まりました。『治癒ヒール』」


 エルメリアが治癒魔法を掛けると、白蝋のように白かったソルディアナの顔に生気が蘇ってくる。


「う……あ……」


 気が付いたソルディアナが最初に見たのはかがんで自分を見ているダイゴだった。


「よう、ソルディアナちゃん、お・は・よ」


「ひ、ひいいいい!」


 先ほどまでの威勢とは裏腹にソルディアナはらしくない悲鳴を上げた。


「いっ嫌じゃっ! 来るでない! 来るでないっ! も、もう嫌じゃ! 嫌じゃあああ!」


 とうとうワンワンと泣き出した。


「あー、おちつけ落ち着け。もう何もしないから」


 ダイゴ困ったように頭を掻きながらは駄々っ子を慰めるような口調で言った。

 流石に竜人族とはいえ、裸で泣く少女をこれ以上どうこうする趣味はダイゴは持っていない。

 それに最早戦う能力が無いのはステータスで確認済みだ。


 ひとしきり泣いたソルディアナが


「ほ、本当か?」


 とえぐえぐしながら聞き返した。


「ああ、勝負は着いたんだ。もう何もせんわ」


 完全に駄々っ子相手の態度だ。


「うう、まさか人間に……負けるとは……」


「別に悲観する事は無い。俺が特別すぎるんだ」


 とっくに人間のカテゴリーから逸脱してるし……。


 心の中でダイゴはぼやいた。


「な……そ、それはどう言う事じゃ……」


「俺はこの世界の『神』って言うか管理者から特別な力を貰ってこの世界に来た、だからお前が俺には遠く及ばないって事も最初から分かってたんだ」


「そ、そんな……では……本当に……」


「ああ、俺が正真正銘神の代行者だ」


「うう……どうやら……認めねばならんようじゃの……」


 ガックリと項垂れながらソルディアナが言った。


「じゃぁ約束は守れよ」


 ダイゴがそう言うと


「……仕方あるまい……煮るなり焼くなり好きにするがいい……」


「え? 焼くんじゃ無くて煮る方が良かったのか?」


「ひっ! そ、そう言う意味では無い!」


「勿論冗談だよ」


 ダイゴが笑いながら手をヒラヒラと振った。


「ご主人様、いたいけな裸の少女を苛めるのは如何なものでしょうか」


 エルメリアが窘めるように言う。


「まぁた、そういう事言うよ」


「うふふ、それで如何いたします?」


「メアリアとセネリは?」


「ここでご主人様が裸の少女を泣かせている様を見ているが」


「うむ、鬼畜道ここに極まれりだ」


 荒地と化した大地の少し離れた所で二人は腕組みしながらダイゴを見ていた。


 ダイゴが戦闘中にあの手この手で竜息を帝国側に撃たせたり、魔導戦艦ムサシの砲撃で黒竜を帝国陣地側に吹き飛ばしたお陰で、ゴーレム兵にも損害は出ていない。


「お前らなぁ……帝国の残存兵力は?」


「殆どいない。輜重隊が僅かにセンデニオに向かった程度だ」


「分かった。念の為ゴーレム兵に付近の捜索はさせよう。明日はセンデニオに乗り込むぞ」


「では、帰りましょうか」


「そうだな。おいソルディアナ、行くぞ」


 ダイゴは着ていた外套をソルディアナに掛けながら言った。


「ど……何処へ連れて行こうというのじゃ……」


「私達の家ですわ」


「家?」


「ええ」


「せ……狭い小屋に鎖で繋いで押し込めたりしないじゃろうな?」


「そんな事するかよ。犬じゃないんだから」


「うふふ、ご心配ありませんわ。さぁ」


 エルメリアがそっと手を差し出すと、ソルディアナの手がおずおずとそれを握ろうとして止まった。


「一つ教えろ。何故我を滅ぼさなんだ? お前なら出来たであろうに」


「ああ、滅ぼす理由が無い。それに途中でお前の念が流れてきてな。寂しいのは嫌だって。そんな奴滅ぼせられるかよ」


「我がか? 覚えておらんが……」


「じゃぁ多分お前の素の部分が無意識に送ったんじゃないか?」


 素の部分……我の心が……。


 ソルディアナは答えられなかった。

 そのままエルメリアの差し出した手を取ると、ダイゴの首にエルメリアの空いた腕が絡む。


 同じく密着したメアリア達と一緒にダイゴはアジュナ・ボーガベルへ転送を開始した。





 エドラキム帝国第三軍はファシナ諸共ダイゴとソルディアナの激闘に巻き込まれ、戦闘らしい戦闘をしないまま潰滅した。


 国境の広大な平原は戦闘前日とは同じ場所とは思えないほどにその様相を変えていた。


 それはセンデニオの街からも遠目に見える光景だ。

 何しろ街にも凄まじい轟音や爆音が轟き、市民は家に閉じこもって震えていたが、翌日センデニオに僅かに逃げ延びてきた第三軍の輜重隊の兵によって、第三軍の敗北は瞬く間に街中に知れ渡ることになった。


 対するボーガベル軍は全くの無傷。


 国境からほど近いセンデニオに今日にもやってくるだろう。

 だが防衛兵力とも呼べぬ衛兵達では迫り来る敵軍に何程の力も持ってはいない。

 だが当の衛兵隊はそれ以前の問題に直面していた。


 旧バッフェ王国と長らく国境を接していながらも、センデニオは今まで一度も外敵の侵入を許さない『絶対防衛都市』であった。

 過去に数度あったバッフェの侵入は何れも国境付近で撃退している。

 サシニアと同じく市民はよもやこの街に他国の侵略者がやってくるなどとは夢にも思っていなかった。


 第三軍のまさかの敗北。

 一昨日は早馬がボーガベル軍撃退の報を高らかに触れ回り、歓喜に沸いていた市民は一転不安のどん底に落されていた。


 勢い豪商や富裕層の市民達がカーンデリオへの脱出を図ろうと既に準備を始めている。

 商工組合の輸送馬車はすぐさま押さえられ、乗合馬車や付近の農家の荷馬車まで高値で借り上げられ、挙句に奪い合いが起こる始末だった。


 勿論一般市民、取り分け下層階級の者達は街を捨てる事すら出来ない。

 帝国では市民の都市間移動は厳しく制限されているからだ。


 ボーガベル軍が進駐してくれば略奪の限りを尽くし、男は殺され、女は犯される。

 サシニアと同じく市民の間にそんな不安が病魔のように蔓延していくのは当然だった。


「隊長! このままでは街で暴動が発生しかねません!」


 行政府脇の衛兵隊詰め所では百名程の衛兵たちが街の不穏な空気を隊長に訴えている。


「分っている。だが……」


 隊長も判断を迷っていた。


 と、


「狼狽えるでない!」


 腹に響く声に振り向くと、禿頭で小太りのいかにも貴族体な中年男性が息を切らせながら入り口にいた。


 センデニオ候コナート・コイリンその人だった。


「コイリン様! 一体!?」


 衛兵隊の隊長が驚きの目でコイリンを見た。

 ファシナの命令で屋敷を明け渡し、北西の別荘に移った後、戻ることは無いと思っていたからだ。


「街に残しておいた使用人から伝書鳥が届いてな。こうして馬を飛ばしてきたのだ」


 休みなく駆けて来たのかコイリンは全身汗まみれだ。


「し、しかし……」


「分かっておる。 第三軍無き今、センデニオを血を流さずに明け渡さねばならん」


「ですがそれでは候の……」


 最悪命の危険がある。


「それも分かっておる。だがここセンデニオは儂が預かった街ぞ。儂がやらんで如何にする」


「……分かりました。我々も栄えあるセンデニオの衛士であります。何なりとご命令を」


「有難う隊長」


「ゴベックです。ゴベック・ジモツ」


「ああ、ではゴベック隊長、まず民に触れを出し、ボーガベルには決して無体な真似はさせぬ故、冷静かつ落ち着いて行動するようにと。それから南北の門は開けて衛兵を立たせておいてくれ」


「両方ですか?」


「そうだ。無用な諍いを避けるため、逃げたいものは逃がしてやれ。ただカーンデリオは現在全ての門が閉じられているそうだ」


「な、何と……」


「入れなかった商人が儂の所にやってきてな。サクロス様の指示だそうだ」


「サクロス様の……」


 ゴベックの浮かべた複雑な表情が全てを物語っていた。


「とにかく事態は一刻を争う。至急掛かってくれ。儂は執務室にいる」


「分かりました」


 礼をしてゴベック達は部屋を出て行った。



「ふう」


 執務室に入るなり溜息をついたコナートが部屋を見回す。

 ほんの数ヶ月明け渡していた部屋の調度は殆ど変わっておらず、丁寧に掃除が行き届いていた。


 違いは執務机に書類の束が山と積まれていることだった。

 丁寧に整頓された書類の表には、


「デグデオ占領後の施策案」


 とか


「穀物類輸送に関する商人組合との折衝案」


 など、いかにもファシナらしい表記が書かれていた。


 だが、今はセンデニオの市民の安全の確保だ。


「さて、どうしたものか……」


 噂ではボーガベルと通じているとの嫌疑で謹慎中の第一皇子グラセノフゆかりのモシャ商会に頼りたかったが、ファシナ進駐と共にセンデニオのモシャ商会は閉鎖されている。


「この老いぼれの素っ首一つで済めばいいのだが……」


 一介の領主でしかないコナートにはボーガベルのダイゴ・マキシマなる人物が如何なる者かは漠然としか掴めていなかったが、隣接する旧バッフェのカスディアン候ガラノッサ・マルコビアならば無体な真似はしないとの確信はあった。


 だが、もしダイゴとやらが悪逆非道の輩なら……。


「こんにちはコナート候」


 ふいに声がして振り返るとそこに商人の女が立っていた。


「はて、どなただったかな」


 本来なら貴族であり領主であるコナートに市井の商人風情が気安く声を掛けられる物では無いのだが、コナートはその顔に見覚えがあった。


「モシャ商会のサショラ・シマホル……と言えばお分かりかしら」


「おお、では……」


「そっちの名前を出しては駄目よ」


 サショラは口に指を当てて言った。


「はっ……して、いかな御用向きで……ま、まさか……」


「そう、そのまさかよ」


「セ……い、いやサショラ様が……やはり兄上のお噂は本当だったのですな」


「まぁね。で私の主、ダイゴ・マキシマ様の名代として来たの」


「おお……そうですか。ならばお話が早い。センデニオは明け渡します故、どうか……どうか市民の安全は……」


「安心して。ダイゴ様は無闇に血を流すのがお嫌いな方。安心して貰って良いわ」


「おおお……それを聞いて安心しました」


 コナートは自身のやや丸い身体が文字通り萎むように安堵の息を吐いた。



 その日の夕刻に、ガラノッサ率いるボーガベル王国第二軍はセンデニオに到着した。

 コナート以下ゴベック隊長達が最敬礼でこれを迎え、センデニオはボーガベルの勢力下に置かれた。


 センデニオの街にボーガベルの旗が翻る。


 そして市街の大通りを薄紫色の鎧の兵士達を先頭に、ボーガベル軍の兵士たちが行進する。


 人々はそれを信じられないといった目で見ているだけだった。

 誰もがこの後の略奪や暴行を予期していた。

 だが兵士達は街を素通りし、北門を抜けて北の馬場で野営の準備を始めた。

 街に興味を示すものは生鮮食料を買い求める輜重隊の者達位だ。

 一般の兵士は全く興味を示そうともしない。


 この後即カーンデリオに向かうのは一目瞭然だった。


 

 その頃、センデニオからセイミアをアジュナ・ボーガベルに連れ帰ったダイゴの元に、


「ダイゴ! ダイゴはおるか!?」


 そう言って裸のソルディアナが吹っ飛んできた。

 昨日アジュナ・ボーガベルに着くなりソルディアナは激戦の疲れから倒れるように眠ってしまい、先程起きてきたのでダイゴは風呂を勧めたのだが。


「なんだよ、ソルディアナ。はしたないにも程があるぞ?」


「お……お前やはり我を煮て食おうと企んでたのじゃな!?」


「は? 何でよ?」


「沐浴と思って出向いてみれば煮えたぎった湯が張ってあったではないか!」


「はぁ? ウチの風呂が煮えたぎる訳ないだろ? なぁクフュラ?」


「はい。有り得ませんよ」


 流石のクフュラも一瞬何の事か分からず、キョトンとしながら答えた。


「じゃ、じゃがな……」


「まぁ長い間の……そう、千年以上の洞窟独り暮らしで風呂などと言う文明を知らないのは判る」


「そ、そのとんでもなく無礼な言い回しはやめんか!」


「じゃぁヒルファ」


「は……い?」


 ダイゴは脇で同じくキョトンとしながらソルディアナの剣幕を見ていたヒルファに声を掛けた。


「このお前と同じ背丈で記憶の年季だけはやたらにいってるが身体と精神年齢は見た目相応なお姉さんを連れて、一緒に風呂の入り方を良く教えてあげなさい」


「かしこまり……ました」


「お、お前は何で一々そう癇に触る物言いを……」


「行きま……しょう、ソルディ……アナ……さま」


「な、名前を途中で切るでない!」


 拳を握りながらそう喚くソルディアナの手を引っ張り、ヒルファは大浴場に向かって行った。


「風呂入るのにあれだけ騒々しい奴は初めてだぞ?」


「うふふ、仕方ありませんわ。今までお一人で生きてこられたのでしょ?」


「だよなぁ」


『独りは嫌だよ』


『寂しいよ』


 確かにあの時聞こえたのはソルディアナの、そう千年以上生きてきた黒竜じゃなくて、十五歳のソルディアナ心の声だった……と思う。


 ダイゴがそう考えながらコーヒーを啜っていると、


「ダイゴ! ダイゴはおるかぁ!」


 またもや裸でソルディアナが吹っ飛んで来た。しかも全身水を滴らせた状態で。


「今度は何だぁ!? 心配せんでもずっとおるわぁ!」


「だ、誰が心配などしておるか!」


「ソルディ……アナさま……拭き布を」


 そう拭き布を抱えたヒルファの声が聞こえた途端ダイゴは目に衝撃を受け視界がブラックアウトした。


「ぐおっ! 何だ!?」


「ご主人様、見てはいけない」


「……ヒルファも拭き布を巻きなさい」


 脇にいたメアリアとシェアリアがツッコミのように手の甲でダイゴの目を塞いでいた。


「で、何がどうしたって?」


 目隠しされたまま頬杖ついて椅子に座るという何ともかっこ悪い姿でダイゴは聞いた。


「こ……これは! これは何と言う飲み物じゃ!」


 ソルディアナは素焼きの徳利の様な器をドンと差し出して言った。


「ああ、コーヒー牛乳か。風呂上りにはこれだよなって入れてみたんだが」


「こんな……こんな……美味い飲み物は初めてじゃ!」


 涙を流しそうな勢いでプルプルと感動してる、自称神の代行者サマ。


「あっそう、良かったねー。ヒルファ、正しい飲み方を教えてあげなさい」


 ヒルファが拭き布を巻いたので視界が戻ったダイゴが言った。


「は……い」


「な……た、正しい飲み方じゃと? そんな作法があるのか?」


「まぁ千年以上も洞窟でボッチ暮らししてたんじゃ知らんだろうが」


「ううう、き、貴様はぁぁぁ」


「ソルディ……アナさま、いい……ですか?」


「あ……う、うむ」


「こう……あしを……ひらいて……こしに……てを当てて……」


「ふむ……こ、こうか?」


「そう……です。それで……いっきに……のみます」


「う、うむ」


 そう言って二人は一気にコーヒー牛乳を飲む。


 コクンコクンコクン。


 ゴッゴッゴッ。


「ぷふう」


「ぷっはぁあああああっ! た、確かにこうして飲むとまた更に美味い!」


 ヒルファは可愛らしいが、やっぱソルディアナは何処となく年寄り臭いな。


 ダイゴがそんな感想を考えていると、


「ソルディアナさん、この後はお夕食ですので早く着替えてらして」


「うむ、分かった。 ヒルファと言ったな。案内せい」


「は……はい。こちら……へ」


 エルメリアに言われたソルディアナはヒルファの後を付いて出て行った。


「なーんか騒がしいのが来ちゃったなぁ」


「あら、楽しい方ではないですか」


 エルメリアがにこやかに言う。


「しかし、ご主人様が眷属になれって初めてだな。やはり……その……容姿なのか?」


 メアリアが冷やかし気味に言う。


「違うわ。何てのかな……言葉じゃ無いんだけど念が送られてきたんだ」


 千年以上生きてきたソルディアナと多分死ぬ事の無い俺……。


 どこか彼女には俺に惹かれる部分があったのかもしれない……。


「それにあれだけの態度のヤツが自分から眷属にしてくださいーなんて多分絶対に言わないだろ」


 自分の考えを照れ隠すようにダイゴはメアリア達に言った。


「まぁそれはそうだが、じゃぁ……」


「まぁ本人がその気になるまではこのままだ」


「ソルディアナさんもここを気に入ってらっしゃるようですし」


 そうエルメリアが言ってる最中、


「ダイゴ! ダイゴはおるかぁ!」


 また血相を変えてソルディアナがヒルファと共に駆け込んできた。


 絶対これ楽しんでやってるな……。


 呆れるダイゴの脇でエルメリアが少し困ったような微笑みを浮かべていた。


これにて第六章完結です。

次週からの第七章をお楽しみに。

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