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前職はトラック運転手でしたが今は神の代行者をやってます ~転生志願者を避けて自分が異世界転移し、神の代役を務める羽目になったトラック運転手の無双戦記~  作者: Ineji
第五章 ゴルダボル要塞攻略編

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第六十二話 奪還

 ゴルダボル要塞後方にある鬼人族デドル傭兵団宿営地の天幕。


 ヴギルが戻ると配下の鬼人族が雄たけびを上げた。


「「ヴッゴオオオオオオオ!!」」


 全員がヴギルの『鎧』に新たに付けられた『餌』に興奮している。


「お、オメ達! ち、ちょっと森に入っただけで、こ、こんなに獲れただ!」


 ヴギルが見せつけるように一回転した。

 ガチャガチャと枷枠が揺れる。


「さ、流石お頭だ! よ、四人も獲って来ただ!」


「お、オメ達も獲り放題だ! あ、明日からは、励めよ!」


「「オウ!!」」


 その後は鬼人族の宴が続く。

 肉を喰らい酒を浴びるように飲む。

 ほぼ全裸の捕虜の森人族達が酒を注ぎ、身体を撫でまわされている。

 表情を失くしたかのような彼女達は抵抗するでもなく為すがままにされていた。


 おのれ……!


 その様子をヴギルの胸元で見ていたセネリが歯噛みした。


「ぐ、ぐべへぇ。あ、あいつらもさ、最初はオメェみてぇにお、おっかねぇ顔してたが、す、すうぐおとなしくな、なっただぁ」


 ベチャベチャと肉を齧りながらヴギルが言う。


「ま、まぁオメエは、お、オデの女王サマにし、してやっから、い、いいごにし、しでろよ」


 グビグビと呑んだ酒を溢しながら言ったヴギルの言葉に、


 女王様? 何の事だ……。


 そう疑問を投げかけたが、食事が終わった鬼人族に玩ばれ始めた同族達の姿に思わず目を背けた。


「お、お頭! そ、その女達い、何時くれるんだ!」


 あぶれた鬼人族がヴギルに拘束されてるセネリ達に目を付け寄ってきた。


「ば、バカヤロウ! こ、こいつらはオデがあ、味見してからにぎ、ぎまってんだろ! あ、あとコイツはオデのだからな」


 そう言ってヴギルはセネリが囚われている枷枠を高々と掲げて見せつける。

 キッと睨みつけるセネリに鬼人族達のどよめきが起こる。


「と、とりあえずこいつらでが、我慢しろ」


 そう言ってヴギルは元から拘束されていた二人の森人族の枷枠を外すと放り投げた。


「げ、げへへ! あ、ありがてえ」


 枷枠を受け取った鬼人族達はそのまま抱えて宴に戻っていった。


 ヴギルはセネリを舐るように見回し出す。


「み、見れば見るほど、い、いい女だぁ。ま、まさにお、オデの女王サマに相応しいだ」


 憎悪の目を滾らせたセネリが首輪のせいで不自由な口からぺっと唾を吐き付けた。


 だが


「ゔ、ゔゔゔ~! いいっ! いいだぁ!」


 怒るどころか悦楽の表情を浮かべたヴギルはセネリの吐き付けた唾を舐めると勢いセネリの身体を舐め回し始めた。


「や、やっぱ、オメェはお、オデが探し求めていだ、じょ女王サマだぁ」


 な、なんなのだコイツは……。


 全身を舐め回される嫌悪感に耐えながらセネリは思った。


 ふとエパソーテに似た香りが漂ってきた。

 セネリにはそれが何か分かり、悔しそうに目をつぶった。

 レノリが恐怖のせいか、あるいは耐えきれなかったのか失禁したのだ。


「げっゲバハハハ! し、森人はも、もともと、あ、あんまりく、臭くねぇからか、飼うのが楽だぁ」


 ヴギルの笑い声に他の鬼人族も合わせ、濁った笑い声が天幕に響く。


 レノリの身体が恐怖と屈辱に震えているのが分かる。


 おのれ! おのれおのれおのれ!


 セネリは怒りに震えた。

 だがどうする事も出来ない。

 魔法を使おうにも首輪のせいで詠唱が出来ない。

 口の動きが阻害されているため舌を噛み切ることすら出来ない。

 全くの無力だ。


 リセリ……カナレに無事着いただろうか……。


 ダイゴは……いや、ダイゴは必ず来てくれる……。


 それまでは諦めん……。


 相変わらずヴギルはセネリを舐めまわしている。

 その嫌悪感にセネリは歯を食いしばって耐えていた。




 深夜。


 鬼人族はすっかり酔い潰れて眠りこけ、捕虜の森人族達は木で組まれた檻に入れられていた。


 篝火が焚かれ、帝国兵が二人、見張りについている。


「しっかし、くっせぇなぁ。ベタベタじゃねぇか」


 散々鬼人族達に慰み物にされグッタリと横たわっている捕虜の森人族達を見て帝国兵の一人が吐き捨てるように言った。


「これじゃあ流石におこぼれに預かる気にはなれんな」


 もう一人の帝国兵も手を振って答える。


「全くだ。折角の美人なのになぁ」


「まぁ、もし奴等が全滅したら……ぐう」


「? おい、どうし……すう」


 帝国兵達はその場に横たわり、そこへ四人の影が降り立った。

 ダイゴ達だ。

 転送した瞬間に『睡眠スリープ』を二人に掛けたのだ。

 帝国兵達がぐっすりと眠っているのを確認すると、檻の扉を開けてダイゴとリセリが素早く中に入り、ワン子とニャン子が周りを伺う。


「……?」


 捕虜の一人が気が付いて気怠そうに頭を上げた。


「助けに来たわ。ここにいる捕虜はこれで全部?」


 低い小声でリセリが尋ねる。

 捕虜の森人族は暫く何が起こったか理解してないようだったが、話をしているのが同族と分かるとやがてポロポロと涙を流して頷いた。


「まず皆を起こすのを手伝って」


 リセリがそう言うとその森人族は泣きながら頷き皆を起こし始める。

 やがて、全ての森人族が目を覚ました。


 同じ様に泣く者、相変わらず放心状態の者。

 リセリは全員の手を繋がせ、ダイゴに合図する。


『じゃ、ワン子、ニャン子、すぐ戻る』


『お任せください』


『おまかせ……にゃ』


 念話でそう言って、ダイゴ達は転送した。




 アジュナ・ボーガベルではエルメリア以下の眷属と侍女達が待ち構えていた。


 何が起こったのか理解できず、周りを見回す捕虜達の首輪をダイゴ、エルメリア、シェアリアが解呪して外していく。


「全部で二十四人ね」


 声が出せるようになった途端多くの捕虜が泣き声を上げた。


「皆さん、辛かったでしょうがもう大丈夫、ここは安全ですよ」


 そう言ったエルメリアに何人かが取り縋って号泣した。

 礼服が汚れるのも構わずエルメリアは皆を抱きしめていく。


 その姿に


 これもまた絵にすれば名画になるなぁ。


 そう思ったダイゴだったが、所詮元は小市民のオヤジだった彼のボキャブラリーではロクなタイトルが浮かばないので、それ以上考えるのは止めた。


「後はエルメリアに任せれば良い。セネリ達を助けに行くぞ」


「はい」


 ダイゴとリセリはワン子達のいる場所へ再び転送する。


『お帰りなさいませ、変わった事はありません』


『お帰りなさいませ……にゃ』


『よし、行くぞ』


 四人は暗闇に消えた。




――ヴギル専用天幕の外。


『本当にやらなきゃ……にゃ?』


 ニャン子が人差し指どうしを当てながら念話で言った。


『ああ、やってくれ』


『こんなのやったこと無い……にゃ、専門外……にゃ』


『大丈夫だ。他の眷属もみんな専門外だ』


 ダイゴが横に手を振る。


『むー、何の慰めにもなってない……にゃ』


『慰めなら後でたっぷりしてやるよ』


『本当……にゃ? 約束……にゃ?』


『ああ、早くしないとマズいぞ』


『うー、分かった……にゃ』


 ヴギルの天幕の中ではセネリ達が枷枠に捕らえられたまま、床に転がされていた。


「ぶ、ブッフフ。さ、さで、じゃ、邪魔なモンを取るべかぁ」


 短剣をピタピタと掌に当てていたヴギルが睨めつけるように四人を見た。


 セネリ以外は恐怖に震えている。


「ま、まんずはもらじたお、オメからだぁ」


 そう言ってヴギルはレノリの枷枠に跨がった。


 ガチャガチャと枷が激しく揺れる。


「……! ……!」


 レノリが悲鳴をあげようとするが全く声にならない。


「お、おとなしくしねど、こ、コイツでぶ、ブシュッとや、やっちまうだでよ」


 ヴギルがそう言うと枷の音がピタッと止まった。


「ぞ、ぞうだぁ、いいごいいごにし、してろ」


 そう言ってヴギルはレノリの鎧から外しに掛かる。


「ブ、ブッフフ、ジョ、ジョリーンジョリーン、ジョジョリーン」


 天幕の中に布を切り裂く音と、ご機嫌なヴギルのダミ歌が響く。


 すっかり衣服を剥ぎ取られ、恐怖で怯える目を向けるレノリにヴギルは舌舐めずりしながら、


「や、やっぱ、ふ、普段はお高くす、すましてるオメだちが、そ、そういう顔すっどそ、そそるなぁ」


 レノリは涙を流しながらフルフルと首を振る。


「だ、だがも、もっどいいのはじょ、女王サマだ、さ、最高だぁ」


 そう言って脇に立ててあったセネリの枷枠を掴む。

 相変わらずセネリは憤怒の形相でヴギルを睨みつけている。


「そ、それだぁ! そ、そのがお! いいだぁ、そ、そのがおでこ、こう」


 そう言ってセネリの右膝を自分の頬にグリグリと押しつける。


「う゛う゛ぅぅっ! た、たまんねえだ!!」


 床を転げ回って悶絶するヴギル。


 な、何だコイツは、なじられて喜んでいるのか?


 嫌悪に身震いした途端、


 私もコイツと同じ?


 唐突にセネリは今まで自分の心の奥底にあった、

 ダイゴに辱められたい、拘束されたい、仕置きをされたい。

 そんな願望が、ドロリとした感覚の正体を知って愕然とした。


 目の前にいるコイツと同じなのか?


 アルボラスの姫としてひたすら気高く生きようとした自分の奥に秘めた本性は、目の前にいる醜悪な鬼人族と同じ。

 そんな事実にセネリが呆然とする中、まさにレノリにヴギルが覆い被さろうとしたその時。


 寸での所で動きを止めたヴギルが脇の槌を掴んで唸る。


「だ、誰でい」


 すると、入り口からスラッと長い女の足が出てきた。


「あらぁん、怖いモンはしまって下さい……にゃ」


 出て来たのはニャン子だ。


「な、なんでぇオメ」


「えっとぉ、わたしぃ、ここの部屋付き侍女でぇ、今晩はヴギル様をご接待するようにとぉセディゴ殿下から仰せつかって参りましたのぉ……にゃ」


「ほ、ほおう、そ、そっだらはなじき、聞いでねぇが」


「うふぅっ、何時も森人族相手ではぁお飽きになるので御趣向を変えてはとのぉ殿下の心尽くしで御座いますぅ……にゃ」


「ほ、ほ、ほほほぅ、あ、あのムッツリ、ただのムッツリでねぇだったか。と、燈豹族のお、女はは、はじめてだで」


「それではぁ……ご・賞・味・く・だ・さ・い……にゃ」


 少し開いた両足の脛から太ももに開いた指をツツツと這わせ、短い侍女服の裾の前を少しだけ掻き上げてから胸の下に上げた腕を組み、谷間を押し上げるように見せつけたニャン子が妖艶に言った。


 セネリ達が唖然として見ている中、鼻息を荒くしたヴギルがレノリの枠から離れた。


「んほおおおおおおおおおっ! たったったっ滾ってきただあああああああ!!」


「『睡眠スリープ』」


「んごー」


 ダイゴがニャン子の背後から魔法を発動し、ヴギルは滾ったまま膝をついた状態でいびきを掻いて寝てしまった。


『やっぱ見かけによらず感の鋭い奴みたいだな』


 恐らくダイゴが至近距離に近づけば即座に察知されただろう。

 ダイゴを狙ってくるならともかくセネリ達に危害が及ぶのは避けたかった。


『かっ、かかか顔から火が出るほど恥ずかしい……にゃー!』


 念話でそう言いながらニャン子は顔を覆った。


『何処がだよ、ノリノリじゃん』


 そう念で返しながらダイゴは『解呪』で拘束鎧の機能を停め、セネリ達を解放する。


『ご褒美の為に頑張った……にゃ! 絶対しっかり慰めてくれる……にゃ!』


『わかっ……』


「ああダイゴ! 必ず来てくれると信じていた!」


 ニャン子渾身のお願いに返事をし終わらない内にセネリがダイゴに抱きつく。

 脇でリセリがホッとしたように見ていた。


「当たり前だ、さぁ、さっさとずらかるぞ」


「!」


 だがセネリは脇にあったレノリの服を剥ぎ取っていた短剣を見るとそれを取り、寝ているヴギルを睨んだ。


「セネリ、気持ちは分かるが今は止めとけ。騒ぎが大きくなる」


「し、しかし! こいつは……」


 先程慰み者にされていた同族達の悲惨な姿を思い出していた。


「後で機会はやる。取り敢えず彼女達を安全な場所に移してやりたい」


 セネリはダイゴにしがみついて震えているレノリ達を見た。

 その姿が故郷アルボラスを追われた時の自分に重なった。


「わ……分かった。行こう」


 そう言ったセネリの目が大きく見開かれた。

 ダイゴが振り返るとそこに奇矯な出で立ちの男が立っていた。


 何時の間に……!


 セネリはそう思ったが、ダイゴは気付いていたらしく、さして驚きもしていない。


「これはこれはセネリ殿、もうお帰りでしょうか? 積もる話もありましたが残念です」


 男は柔やかに言った。


「ドンギヴ……貴様よくも……」


 ドンギヴ? こいつがドンギヴか。


 そう思いつつダイゴは無言でその男を見ていた。


「おおっと、ここは刃傷沙汰は無しにしましょう。私も商人の端くれではありますがここの方々にそこまで義理立てする身でも有りませンので」


 ドンギヴは両手を大げさに振った。


 つまりは見逃せば騒がないということか。


 セネリは意図を察した。

 ドンギヴは見てくれは胡散臭い所があるが、交渉や渡航の手配等、こと商売自体に関しては欺く事の無い人間だった。


 だが……。


「いいだろう、だが一つだけ教えろ。何故我々をこいつらの餌にしようとした?」


「ああ、それはそこのヴギル殿のたっての要望でございますよ。彼はアルボラス攻めの時貴女を取り逃がしたのを悔いてたそうでして、森人族がいるなら引き受けると。決して私めが餌にしようと意図したわけではございませン」


「アルボラス攻めの? こいつはあの場にいたのか!」


「左様で。国王夫妻を討ち取ったのもヴギル殿です。これは私めの誠意を汲ンで頂くための情報でございます」


 ドンギヴは芝居掛かった神妙な顔つきで言った。


「そんな……」


 目の前に自分の祖父母を殺した張本人がいる。

 セネリが握っていた短剣に力を込める。


「セネリ」


 ダイゴの言葉にハッと我に返るセネリ。


「おおう、こちらが彼のダイゴ候ですか。お初にお目にかかります。私めはしがない商人をやっておりますドンギヴ・エルカパスと申します。以後是非お見知りおきを」


「知ってるよ」


 ダイゴが手を振って言った。

 獣人大陸でガルボに武器を売り渡していたのがこのドンギヴという商人だった。


「なンと、既に私めをご存じとは誠に光栄至極、武器のご入り用の際はぜひ当商会へ、あらゆる武器を格安で収めさせていただきます。腕の立つ傭兵の斡旋も致しております」


 大げさにお辞儀をしながらドンギヴが言った。


「考えとくよ、じゃあな」


 怒るでもなくダイゴは手を振って言った。


「是非是非、またお会いしましょう」


 次の瞬間ダイゴ達は掻き消すように消えた。


「ふうむ、私の無気術が通じて無いとはなンとも恐ろしいお方ですねぇ。それに瞬時に移動できる魔法……いえ、果たして魔法なのでしょうか? これは途轍もなく大きな商機の到来ですねぇ」


 大仰な振る舞いをしながらドンギヴはそう嗤うと、いびきを掻いて眠りこけるヴギルをそのままに部屋を出て行った。






「あった……良かった」


 グリオベルエが見つかったのは俺達が最初に会った泉の脇だった。


「亡き母の形見なのだ。母の思い出はもうこれしか無い……」


 付いていた泥を丁寧に払うとセネリは柄に仕込まれた魔石に頬を当てた。


 アジュナ・ボーガベルに最後の人質を連れ帰った直後、どうしてもグリオベルエを回収したいとせがまれて二人で探しに来た。


「良かったな、じゃぁ……」


「待ってくれ、ヴギルに舐め回されて気持ち悪いのだ。そこの泉で洗わせて欲しいのだが……」


「それなら……、ああ、いいよ」


 何となく意図を察した俺が了承すると、


「感謝する」


 そう言ってセネリは服を脱ぎ、泉の中に沈んだ。


 一寸心配になる位に潜って水面に出てきたセネリは言った。


「私の身体……汚れてないか?」


 赤い月なのに何故か白く輝くセネリの身体は初めてここで見たときよりも美しく見えた。


「ああ、何処も汚れてなんかいないさ。とても綺麗だ」


 綺麗という言葉を聞いてセネリは目を伏せ、恥ずかしそうに、またほっとしたようにはにかんだ。


「ダイゴは私のこと好きか?」


「勿論だ」


 最初会ったときは高飛車な感じしかしなかったが、カナレでのセネリを見て考えが変わった。

 森人族は気位が高いと聞いていたが、セネリは喜怒哀楽に富んだ実に魅力的な女だった。


「他の女達と同じ様に愛してくれるか?」


「当然だ」


 セネリは右手を自分の胸に当てた。


「ならば、永遠にこの姿のままお前の傍に居たい。私をお前の眷属にしてくれまいか」


 やっぱ、そう来ましたか。


「分かってるだろうが……」


「聞くまでも無い」


 そうですね。


「ここでか?」


「ここだからだ。本来森人族の夫婦は初めての契りは森で行う物なのだ。既にお前に捧げたこの身だが、せめて……その夢の欠片だけでも見させてはくれまいか?」


 赤くなって俯くセネリがとても可愛く見えた。


「分かったよ」


 そう言った途端、目をつぶったセネリの唇が重なった。


 こうして、新たな眷属がまた一人誕生した。

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