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前職はトラック運転手でしたが今は神の代行者をやってます ~転生志願者を避けて自分が異世界転移し、神の代役を務める羽目になったトラック運転手の無双戦記~  作者: Ineji
第十二章 ストルプルド戦役編

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第百五十話 皇都奪還作戦

 ――アーメルフジュバ魔導法院



「この愚か者どもがぁ!」


 サダレオ・ララスティンの持つひときわ大きな魔導杖から迸り出た雷がガイツ、マシュカーン、オゲラーを打つ。


 ガイツとマシュカーンはカイシュハと共に屍竜に回収され、オゲラーは大破した気嚢艦から寸での所で気嚢艇で脱出してアーメルフジュバに舞い戻っていた。


「お、お許しを! 法院長! うがががががが!」


「も、申し訳ありません! ぎゃばばばばばば!」


「お助けぇ! あぎゃあああっ!」


 三人は詫びの言葉と悲鳴を上げながら床をゴロゴロと転げまわる。


「揃いも揃って虎の子の気嚢艦を失い、おめおめと舞い戻ってきおって!」


 怒りに髪を更に赤く輝かせ、更に雷撃は強さを増す。


「アバババババババ!」


「ボベベベベベベベ!」


「ホギョホホホホホホォ!」


 三人に罵声を浴びせながらかれこれ一アルワはララスティンは雷撃を浴びせている。

 並の人間ならとっくに死んでいるが、竜の血を飲んだ三人は身体が雷撃で焦げる端から再生し、死ぬことも無い。


「法院長様、その位になさいませ。いかな竜の血を飲んだ身体とはいえ無理は次に響きます故」


 脇に控えていたドンギヴの言葉で雷撃は止んだ。

 辺りに肉の焦げる不快な臭いが漂う。


「全く、竜の血を飲んでも出来損ないはどうにもならんのか」


 サダレオは吐き捨てるように言った。


「いえいえ、まだやり様はござりまするよ」


「ほう、カイシュハのやっているアレか?」


「はい、カイシュハ様は自ら進んでお受けになりました、ほれ、あの通り」


 耳を澄ますとどこからこの世のモノとは思えぬ絶叫が聞こえてくる。


「アレは上手くいくのであろうな?」


「勿論でございます。これが駄目であればこのドンギヴの素っ首、法院長陛下にお捧げ致しますです」


 そう言ってドンギヴは頭を下げて自分のうなじを見せた。


「フン、貴様の首など要らんわ。そのかわりこの出来損ないどもの補填は十二分にしてもらうぞ」


「それは勿論、既に新たな気嚢艦と鋼魔兵がこちらに向かって『第六天國』を発っておりまする」


「その『第六天國』がお前の国なのか? その様な名の国は聞いたことが無いが」


「国であって国でない幻の国、とでも申し上げておきましょうか」


「フン、とぼけおって。まぁ良い、儂はこの西大陸で覇を唱えられればそれで良いのだ。魔王としてな」


 うやうやしくもはぐらかすドンギヴの言葉にサダレオは鼻白んだ。


「はい、是非魔導士の頂点たる魔王におなり下され」


 ドンギヴは更に頭をうやうやしく下げた。


「それにはシネアポリンに逃げたルーンドルファと魔王を語るボーガベルの青二才を討たねばならぬ」


「それについては間もなく彼らは雁首揃えてこちらへ向かってくるでしょう」


「それをアーメルフジュバで迎え撃つお前の策、余りにも危険ではないか?」


「いえいえ、アーメルフジュバなど、この後現れる『新しい都』に比べれば取るに足りぬものでござりまするよ」


「そうか……早く見てみたいものよなぁ」


「楽しみにお待ち下さりませ」


 サダレオとドンギヴの笑い声、ガイツ達の悲鳴、何処からか聞こえるカイシュハの絶叫。

 魔導法院は今や魔の巣窟の如き有様を呈していた。



「それでは私めは赤竜帝陛下のご機嫌伺いに行ってまいります」


 サダレオはその言葉には答えもせず、魔導兵達に引きずられていくガイツ達を冷めた目で見ていた。




 魔導法院の地下の長い長い階段を軽やかな足取りでドンギヴは降りていく。


「さてさて、いよいよ大詰め。あとはダイゴ帝がここにお越しになるのをお待ちするだけ。楽しみですねぇ……」


 そう言って目を光らせるドンギヴの目前には、この世界には似つかわしくない構造物が広がっていた。


「クックックック……アーハッハッハッハ! どれだけ待ち望ンだ事でしょう! 漸く! やっと! 実現するのです! ハーッハッハッハ!」


 何時ものひょうげた雰囲気とはガラリと変わった笑い声がその建物中に狂気のシンフォニーの如く反響していった。






 ――翌日、アーメルフジュバ東南


 魔導戦艦ムサシを先頭に魔導輸送船三十隻が連なる大空中艦隊がアーメルフジュバを目指し突き進む。

 ゴーレム兵、ボーガベル兵、法皇派のシストムーラ兵各三万余り。

 総計十万近くの兵を乗せた大部隊だ。


「間もなくアーメルフジュバの目視圏に入ります」


「ここまで流石に抵抗は無かったな」


 クフュラの報告にダイゴが呟く。

 ムサシの艦橋には、決戦という事もあり、ダイゴとエルメリアを始めとするその眷属全員、総司令官を務めるグラセノフと遊撃騎士団付きのガラノッサ、戦闘指揮官のレノクロマの三将にルーンドルファ法皇夫妻も顔をそろえていた。


「懐かしのアーメルフジュバか……」


「おや、まだ未練があるのかい」


 感慨深そうなルーンドルファ法皇に妻の大魔導士ソミュアが茶々を入れる。


「生まれ育った街だからね。やはりこのまま取り返したい気持ちがあるのは当然だよ」


「そういう訳だ、何卒アーメルフジュバの事、宜しく頼むよ。皇帝陛下」


 ソミュアはダイゴの方を向くと深々と頭を下げた。


「分かってますよ。だから俺を巻き込んだんでしょ?」


「やっぱりお見通しだったねぇ」


 頭を起こしたソミュアは悪戯っぽい笑みを浮かべた。


「あれだけ目の前で親子から何からのゴタゴタを見せつけられたら……ねぇ?」


 ダイゴがチラリとみた先、スミレイアとファムレイアがバツの悪そうな顔をした。


「それに関しては申し訳なく思う。だが我々だけで事を起こせばどうしてもアーメルフジュバを戦火に巻き込んでしまう。どうしてもガーグナタを無血で落とした貴殿の力が必要だったのだ」


「ソミュア様! この私が必ず取り戻してみせるです!」


 直立不動で緊張した面持ちのアルシュナが初めて会う命の恩人に言った。


「ああ、義国のお嬢ちゃんか。大きくなったんだねぇ」


「そういや、アルシュナに何をやったらこんなになったんです?」


「ご主人様! こんなとは酷いです!」


「あれは……お妃さまが重い病に掛かってねぇ、わざわざ国王がやってきたんだよ。それで呪紋を施した魔石を渡してこれを挿れなって」


「挿れ……」


「お妃さまの病気は身体に魔素が過剰に溜まる病でね。それを腹のこの子に流すように調紋したんだ。でもどうやらこの子はお妃さまとは逆にいくらでも魔素を溜め込める体質だったようでこうなったみたいだねぇ」


「何か分かったような分からんような……」


「魔素の事なんか私だって全部把握してる訳じゃ無いよ。まぁ結果として母子揃って無事なんだから良いじゃないか。私もその調呪法があったからこそサダレオに囚われた時に命を繋げられてたのさ」


「その通りです! ソミュア様には感謝してますです!」


「まぁこれだけの魔力量なんでもうちょっと魔導士として大成するかとも思ったんだけどねぇ」


 ソミュアはその先は言わなかったが、ダイゴには表情から何が言いたいのかはっきりと分かった。



「さてアーメルフジュバの攻略に当たって、差し当たりの問題は魔導防壁を張られたら厄介だということだ」


「魔導防壁? あれはさして問題があるとは思えないが」


「法皇陛下、俺がアーメルフジュバに潜らせた密偵の報告では魔導法院はあの後魔導防壁に大規模な改修を行っていたようです」


「改修を? どのような?」


「従来の魔導防壁は永続的に続く効果の反面、防御力はさほどでは無かったようですが、今の物は護符輪並の防御力があるようです」


「護符輪並み?」


「例の呪符礼闘であの護符輪が発する魔導防壁は俺の魔法すら相殺した。そう考えたサダレオかドンギヴが都市の魔導防壁を強化したんでしょうね」


「ちょっと待っておくれ。護符輪は確かに強力な防壁だけど一度相殺するだけだよ? 同じ所を狙えば……まさか……」


 口を挟んだソミュアが何かに思い当たった様に言葉を切った。


「そう、そのまさかです。消失した防壁を瞬時に再構築する。それがアーメルフジュバをすっぽりと覆ってるんです」


「なんてこったい……それじゃぁ」


「ええ、ただ攻撃するならこのムサシの主砲で抜くことはできます。ですが今回の目的は可能な限り市街地に被害を出さずにアーメルフジュバを奪還する事です」


 ムサシの主砲を防壁を抜く威力で撃てば確実に周囲の建物にまで被害が及ぶ。


「それじゃぁどうするのかい?」


「それについては私から説明します。まずはこれをご覧ください」


 そう言ってダイゴから代わったグラセノフがセイミアに合図をする。

 セイミアは大きな図面を中央の台に広げた。


「こ、これは……」


「驚いたねぇ……」


 ルーンドルファ達が驚きの声を上げるのも無理はなかった。

 それはアーメルフジュバの精密な地図。


 ここ数ヶ月ニャン子や偵察型擬似生物が集めた情報を元に作り上げたものだ。

 その過程で鳥型の偵察型疑似生物が上空から侵入できない事で魔導防壁の存在が明らかになった。


「この赤い部分が魔導防壁です。そしてこの四ヵ所の塔に強化された魔導防壁を常時張り続ける制御呪紋盤があります」


「これを見ると全ての防壁が繋がっているんだねぇ」


「ええ、このように全てが複合的に接続されていますので、塔を一ヵ所破壊しても意味がありません。同時に四ヵ所全部を破壊します」


「そう言うことだ。俺が転送でコルナ、アレイシャ、スミレイアとファムレイア、それにアルシュナを塔に送る。そこで同時に制御呪紋盤を破壊してもらう。以上だ」


「分かったよ!」


「承知しました」


「分かりました」


「分かった」


「お任せです!」


「当然ながら我も行かせてもらうぞ」


 本来ダイゴが座る筈の指揮官席を占拠していたソルディアナが声を上げた。


「不肖の弟を叱らねばならんでな」


「そいつは良いけどくれぐれも街中で竜になるなよ?」


「心得ておるわ。だが彼奴の出方しだいよな」


「その後は兵を降下させ市街及び宮殿と魔導法院の占拠を行う」


「ご主人様は?」


「俺は一足先に魔導法院に乗り込む」


「ならば私達も連れて行ってくれないか」


 ルーンドルファ法皇の言葉にソミュアも頷いた。


「危険ですよ? サダレオは多分昔のサダレオじゃあない」


 ダイゴの脳裏に異形と化した旧エドラキム帝国の皇子ブリギオの姿が思い浮かんだ。


「覚悟はしている。だがこれは私達が決着をつけねばならないことなんだ。シストムーラの、娘達の為にも」


「「父上……」」


 姉妹の声が重なった。


「……分かりました。でもくれぐれも注意してください」


「心配しなさんな。自分の尻くらいちゃんと拭けるさ」


 とても前法皇の娘らしくない言葉と共にソミュアがカラカラと笑う。


「それじゃ今回もその魔導防壁が解除されるまでは待機かぁ」


 ガラノッサが溜息をついた。


「いや、わが軍は降下後交易所のある正門を攻めてもらう」


「正門を? それは良いがちとあからさま過ぎやしないか?」


「正門の魔導防壁は別系統になっているんだ。四か所の魔導制御盤を壊してもそこだけは機能するからそこはワン子君とニャン子君に破壊してもらう」

 

 その言葉にワン子がコクリと頷いた。


「なら他の門から入るってのは駄目なのか?」


「正門以外は大軍が侵入するには狭すぎるんだ。それにあくまでも目眩ましだからね。敵が承知しているのを考慮しての事だよ」


 ガラノッサの問いにグラセノフはにこやかに答える。


「じゃぁグラセノフ、ガラノッサ。そっちは頼むよ」


「ああ、任せてくれ。首尾よくいけば例の件。頼むよ」


「はぁ、物好きな奴らだなお前達も」


「そう言うなよ、本当は嬉しいくせに」


「どうかなぁ」


 その三人のやり取りをじっと見ているレノクロマに気づき、セイミアは目を瞑りながらフッと笑った。


「それじゃ……ああ、最後にみんな聞いてくれ。この戦いがおそらく西大陸最後の戦いになる。相手は竜の力を持った連中だ。舐めて掛かるととんでもないしっぺ返しが来るかもしれない。くれぐれも油断や慢心はしないように」


 その場にいる全員が右手を突き上げた。

 ボーガベルではないルーンドルファ夫妻ですらも。


「じゃあ行ってくる。あとは任せたぞ」


「ご主人様、私も連れて行ってもらえないでしょうか?」


 ダイゴの言葉に純白の戦闘礼装を身に纏ったエルメリアが一歩進み出て言った。


「え? 何でよ?」


「法皇陛下とソミュア様をお守りする役目、聖魔法を使える私が同行した方が良いと感じました」


「んー、まぁ俺も使えるんだけど……まぁいいか」


「ありがとうございます」


「じゃぁガラノッサや兵たちの事はウルマイヤ、一人になるが頼むよ」


「おおおおお任せくださいっ!」


 最後にその場に残る眷属たちと唇を重ねたダイゴと突入部隊の面々は搔き消すようにその場から消えた。


「レノクロマ」


「な、何だセイミア」


「私からご主人様に頼んであげましょうか?」


「ひ、必要ない。自分で言える」


「ふうん、言えるのね?」


「う……」


 レノクロマは自分が引っ掛かったのに気づいて僅かに頬を赤くすると、


「兵に指示をしてくる」


 ぶっきらぼうに言って艦橋を出て行った。


「全く、何時まで経っても私がいないと何もできないのでは困りますわ」


 セイミアはやれやれといった感じで首を振る。


「セイミア~それはちょっと違うような~」


「あらメルシャ、レノクロマはあくまで私の弟。それ以上でもそれ以下でもありませんのよ」


「はぁ~」


 メルシャ以下ムサシの艦橋にいる全員が永遠に報われないであろうレノクロマの気持ちに同情した。



「お義兄様! アーメルフジュバ後方より気嚢艦! 数二十!」


 クフュラの声で瞬時にムサシ艦橋に緊張が走る。


「ふむ、まだあれだけの戦力を残していたのか……あるいは新規に入れたものか……全艦戦闘配置! 輸送船は後方に待機! メアリア様とレノクロマはいつでも降下できるように! ガラノッサ! セネリ様達と発進デッキで待機!」


「任せとけ!」


「……」


「ああ、すまないねシェアリア様、役目を取ってしまって」


「……構わない。余りにもサマになっていて驚いた」


「ははは、期待に添えるよう頑張るよ」


「……うん、今度それっぽい服を用意させる」


シェアリアの脳裏には宇宙海賊が着る赤い裏地の黒マントが思い浮かんだ。


「それも良いけど出来れば船を一隻所望したいね。名前は……」


「まさか我が……」


「気嚢艦発砲!」


「防壁展開! 主砲魔導回路開け!」


 クフュラの声にグラセノフはすぐに指示を発し、良からぬ妄想を浮かべていたシェアリアは慌てて防壁を張る。


 ムサシの直前で気嚢艦の衝撃破弾は防壁に阻まれ次々と爆発を起こす。

 気嚢艦の一斉射を防いだムサシは前面の主砲を起動させた。


「……」


「……まだ撃たないの?」


 じっと前方を睨んでいるグラセノフにシェアリアは少し焦れながら訊いた。


「今撃つとアーメルフジュバに落ちる可能性があるんだ。もう少し引き付けて」


「……魔導防壁があるのに?」


「敵の物は信用しない性質なんでね」


「……ふうん」


 その間にも気嚢船は絶え間なく発砲をくり返し、防御を張るものの徐々に振動と音は強くなってくる。


「アーメルフジュバ正門から多数の鋼魔兵が出てきました!」


 見れば正門から続々と鋼魔兵が吐き出されるように出て来る。


「成程、向こうもこちらの手の内は読んできたか……」


「……気嚢船も止まった。このままでは手詰まりになる」


「確かにね。仕方ない、副砲単射、目標気嚢船の脇」


「……脇?」


「脇」


「了解、照準設定」


 疑問に思うシェアリアと対照的にセイミアは即座に兄の言葉を遂行する。


「撃て!」


 前部の機動砲台から放たれた炎弾が気嚢船の脇を掠め、その後ろで虹色の光に弾かれた。


「主砲単射! 撃て!」


 間髪入れずに発射された主砲が気嚢艦の一隻に直撃する。


 火を噴いた気嚢艦が勢いで市街の方に弾かれるが虹色の光にぶつかりそのまま火の粉をまき散らすように崩れながら街の外へ落ちていく。


「どうやら取り越し苦労だったようだね」


「……じゃあ片付ける。主砲斉射! ぇーっ!」


 シェアリアの号令一下、一斉に放たれた主砲が次々と気嚢艦を火達磨にしていった。


「気嚢艦全艦撃墜。都市への損害は見当たりません」


「よし、各隊降下開始。降下後、速やかに陣を形成」


 クフュラの報告にグラセノフはすかさず次の指示を発した。





 ――アーメルフジュバ市街


 古びた小さな家にダイゴ達は転送してきた。


 目の前にはニャン子と数人の男たち。

 男たちは突然目の前に現れたダイゴ達を驚きの目で見ている。

 彼らはニャン子と協力して長い間魔導法院の動きを探ってきた、法皇直属の諜報機関『鷹乃目バンゲルビーメ』の者達だ。


「こ、これは法皇陛下!」


 頭領の男、法皇の侍従長が声を上げ、すぐに跪いた。


「ズォーク、長い間ご苦労だった」


「勿体ないお言葉……しかし、なぜ法皇陛下御自ら……それに奥方様まで」


「うん、サダレオはやはり私がこの手で決着を付けねばならないのでな」


 そう言うルーンドルファの横でソミュアはにこやかに手を振る。


「……分かりました。それでは我々もご一緒いたします」


「うむ、それで手筈の方は?」


「はっ、市民に対しては出来うる限り屋外に出ないように触れを出しましたがいかんせん監視の目が厳しくさしたる効果は……」


「そうか……いや、有難う。では陛下」


「ああ、皆、ここからは別れての行動だ。魔導法院側もこの手は読んで対処してくるかもしれん。くれぐれも油断しないようにな」


「大丈夫だよ! この勇者コルナがぱぱーっと片付けちゃうから! 楽勝楽勝!」


「はぁ……言ってる傍から油断しまくりです。先行きが思いやられるです」


 バンと胸を叩くコルナにアルシュナがため息交じりで首を振る。


「むー、それじゃどっちが早くそのナントカ盤を壊すか勝負しようか?」


「望むところです!」


「いや、同時に破壊するんだから勝負とかじゃねぇから」


「う……ごめん」


「あう……申し訳ないです」


「皆、魔導制御盤の配置は覚えたな」


 全員が頷く。


「じゃあ頼むぞ!」


 コルナ、アレイシャ、アルシュナがダイゴと唇を重ねて家を出て行く。


「では私達は正門の制御呪紋盤の破壊に向かいます」


「ご褒美期待してる……にゃ」


 続いてワン子とニャン子が同じように重ねて出て行った。


「「では父上、母上、行ってまいります」」


 声を合わせてスミレイアとファムレイアがルーンドルファとソミュアに言った。

 もはやその目に恩讐の色は無い。


「ああ、二人とも気を付けてな」


「しっかりやっておいで」


 嬉しそうに頷いた二人はやはりダイゴと唇を重ねて出て行った。


「親としては娘の接吻姿を見るのは複雑だねぇ」


 腰に手を当て、ダイゴにソミュアが意地悪く言った。


「では、参りましょう。こちらへ」


「さぁて、鬼が出るか蛇が出るか。サダレオ達をぶっ飛ばしに行きますか!」


 ズォーク侍従長の声に頷いたダイゴはひときわ高らかな声をあげた。


「そんな照れなくっても良いんだよ、可愛いねぇ」


 すかさずソミュアの突っ込みが入る。

 流石の魔王も年季の入った魔女には勝てないようだ。

 ばつが悪そうに肩をすくめるダイゴにエルメリアが優しく笑った。

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次回をお楽しみに!

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