表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前職はトラック運転手でしたが今は神の代行者をやってます ~転生志願者を避けて自分が異世界転移し、神の代役を務める羽目になったトラック運転手の無双戦記~  作者: Ineji
第十章 ガーグナタ復仇編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

123/156

第百二十三話 烈火

 アロバ王国王都カロルデ。


 近郊にガーグナタ軍到来の報はたちまちのうちに王都内を駆け巡り、騒然とした雰囲気に包まれていた。


 だが、続く援軍来たるの報と共に巨大な馬に乗って入場してきたボーガベル帝国第二軍指揮官ガラノッサ・マルコビア、そして新兵装『戦乙女の羽衣(ヴァルゲンジュ)』を身に纏ったマキシマ遊撃騎士団の威容に街の人々は不安と期待の入り交じった視線を送っていた。


 夜半の内に山脈側に着陸した魔導輸送船から続々とゴーレム兵や第二軍の兵達が降り立ち、東側に向かっていく。


 そして、ガーグナタが指定してきた降伏受諾期限の朝が訪れた。


 カロルデからガーグナタへ続く田園地帯が今回の戦場となる。


「全く、麦を蒔き終わったばかりだというのに……」


 城門より一キルレ離れた場所に誂えた本陣の高見櫓でパナボス国王は苦虫を噛み潰すように唸った。


「まぁ、大国なんてのはこっちの都合なんざ考えちゃくれないからね」


 脇に置かれた長椅子に腰掛けたダイゴが軽口を叩く。

 既にボーガベル帝国とアロバ王国混成軍は布陣を終え、昨晩カロルデ入りしたダイゴはエルメリア達をオラシャントに転送で送った後、コルナを始め、ワン子やクフュラ、それにゲストとして連れて来たアレイシャとケンドレン達と一緒にやはり布陣の終わったガーグナタ軍を見ていた。


「ダイゴ帝、向こうは十万近くの軍勢に対しこちらは我が軍一万を加えても五万弱と……果たして……」


 パナボス国王の顔色は冴えない。

 当然だろう。

 成り行きとはいえ宗主国でもあるガーグナタに反旗を翻したのだ。


 あの一件でボーガベルと交わした安全保障条約なる取り決め。

 アロバが侵略行為を受けた場合、ボーガベル帝国は王国と共同してこれに対処するというものだ。


 それが今のアロバ王国の生命線とも言えた。


「ああ、心配する気持ちは分かるけど、まぁ大丈夫だって」


「はぁ……」


「そうだよ父上、ご主人様の事バーンと信じてよ。ね、セソワ」


 安請け合いする皇帝を名乗る若者と、自分の娘を見るだにパナボス国王の心労が溜っていく。


「はい、お姉様。……ダイゴ様、改めてどうかカロルデを……アロバをお救い下さいませ」


 美しい礼装に身を包んだセソワがダイゴに深々と頭を下げる。


「任せておきなって」


「そうだよセソワ。何てったってボクがいるからね」


 コルナが自慢そうに胸を叩く。


「あ、あの……ダイゴ様に一つお願いがあるのですが……」


「ん、何だい?」


「あの……私もお姉様と同じ……その……け、眷属にして頂くことは……」


「ほう」

「な、何と!」

「はへっ!?」


 ダイゴとパナボス国王、そしてコルナが同時に声を上げた。


「ちょちょちょっ! セ、セソワいきなり何を言いだすのさ!」


「そっそっそうだ! セソワよ! いきなり何を言いだすのだ!」


「はい、私もお姉様や他の方々の様なご眷属に憧れを抱きまして……」


「だ、だってだって! そんな事になったら……」


 コルナの脳裏に昼下がりのアジュナ・ボーガベルの展望デッキの光景が浮かぶ。


『ふっふっふー、今日のお昼寝当番はコルナとセソワの勇者姉妹かー』


『う、ううう~』


『ご主人様、本日の添い寝のお役目、精一杯務めさせて頂きます』


『うんうん、妹は奥ゆかしいのに何で姉は躾の悪い犬みたいに唸ってるかなー』


『だってだって、この肌着何か……フリフリのスケスケで恥ずかしいよう……』


 二人が着ているのは絹のレース地で編まれたいわゆるボディスーツとベビードールが合わさったような物だ。

 エルメリアが陣頭指揮に立って帝国内から厳選した織物職人に技法を伝授し、幾度にも渡る試作と競作を行わせた末に完成した下着群の頂点とも言うべき逸品だった。


『あら、お姉様、とても可愛らしいですわ』


『そ、それはセソワもそうだけど……』


 真っ赤になったコルナの視線は自分より豊かな妹の胸元に向く。


『うーん、何だろ? なーんか今日は興が乗らないなー』


『え? じゃぁ皆でもうお昼寝しようよ! ね? ね?』


『いや、眠くは無いんだけどなー刺激が欲しいんだよなーシゲキガー』


『はい、畏まりましたわ、ご主人様。さぁお姉様』


『え? ええ? ちょっ! ちょっと! 何するのさセソワ! やめてよぉ!』



「うっわあああああああっ!」


「のわああああああっ!」


 コルナとは別の何かを想像したのかパナボス国王まで一緒になって奇声を発した。


「あんだよ、父娘揃って騒々しいなぁ」


「だ、駄目だよ! ダメダメ!」


「そ、そうだ! 駄目だ!」


「あんだよ、そんなにセソワが眷属になるのが駄目なんか」


「そんな……お姉様……お父様……」


「そ、そうじゃなくて……ううう……」


「そうではない……いや、そうだ……い、いや……」


「ダイゴ様、コルナ様はどうやらご妄想のなかでセソワ様とお絡みに……」


「わー! うるさいよ! セバスティアン!」


「まぁそれはまた改めての話だな。まずはアロバの立て直しが先だし、何よりもこの戦局をを乗り切らんと」


「分かりました……またこのお話は改めて」


「う……ううう……うー!」


 セソワは決意を新たにし、涙目になったコルナは唸りを上げながら高見台を降りていった。


 ……この子は多分こういう子なんだろうなぁ……。


 あくまでも姉に憧れ、追いかけ、追い付こうとする。

 ダイゴはその姿にセソワの本質を見たような気がした。


 ……まぁ殺したいほどってのは流石にどうかとも思うけどなぁ……。


 そう思いながらダイゴは戦場に視線を送る。


「いや、セソワ……世継ぎをだな……」


 と言うパナボス国王の話は誰も聞いていなかった。




 一方のガーグナタ軍の陣では大将軍であるアルワンデが先頭の輿の上で彼方に布陣する敵軍を見下ろしていた。


「ふん、どうやら援軍の主力はこちらだったか」


「はっ、五万程度と推測されます」


「ふむ、我が軍総数の半数か。立て籠もられると思っておったのだが流石は野蛮大陸の連中だな」


 骨付きの肉をゴリゴリと頬張りながらアルワンデが言った。


「大将軍、アロバからは何の返答もありませんでした」


「見れば分かる。それでこそ潰し甲斐があるという物だ。そうだ、ビタシィの準備は出来ておるな?」


「はっ。既に投石機と共に準備は完了しておりますが……本当にあれをお使いになるのですか?」


「当たり前だ。あれの使い勝手を探る絶好の機会ではないか。いつでも使えるようにしておけよ」


 アルワンデは骨を投げ捨て輿から立ち上がると手にした指揮棒を翳した。


「領国兵を前進させろ! 『烈火』の名に恥じぬよう一片の消し炭も残さずに燃やし尽くせ!」


 その声と共に背後に二本の赤い旗が揚がった。

 同時に鳴り響く銅鑼の音に弾かれるように三か国の領国から招集された約三万の軍勢は国ごとに三隊となってカロルデ前に布陣するボーガベル・アロバ連合軍に向け進軍を開始する。


『烈火』も基本戦術は『激流』と変わらない。

 領国兵が先鋒を務め、大勢が決まったところで本隊が制圧する。


 大概の戦闘は領国兵だけで決してしまうが、それだけに彼らの損耗も激しく、それが領国にとって多大な負担になっていた。

 だが、それを拒否する事は出来ない。

 招集を断れば即ガーグナタの報復が待ち受けている。

 それで滅亡した小国は数知れない。

 今またアロバ王国がその中に入ろうとしているのだ。




「敵軍動きました。戦闘開始です」


 偵察型疑似生物ドローンからの報告を受けたクフュラがダイゴに告げる。


「よし、各員出撃だ。そういや、ソルディアナは?」


「ちゃんとおるぞ」


「うわっ」


 後ろにいつの間にかいたソルディアナの声にケンドレンが驚いた声を上げた。


「何だ、モフモフに入り浸って来ないかと思ってたわ」


「そんな訳無かろう。我のモフモフを害する輩はきっちりと懲らしめてやらねばな。ただ……」


 珍しくソルディアナが思案顔で彼方の敵陣を見た。


「ただ?」


「少々嫌な臭いが漂ってくるのう……何かは分からぬが……」


「臭い?」


「まぁご主人様が気に掛けるほどでは無かろう。ではの」


 そう言ってダイゴに口づけをして高見台を降りていく。


「ダイゴ帝、あのような子供が一騎当千だと……」


「ああ、自称数千歳だし」


「はぁ……」


 パナボス国王もアレイシャもケンドレンも何も言えない。

 普通に考えればとんでもない虚言癖の狂人にも思えるダイゴの言葉だが、本人はこの戦場で嘘をついている風には全く見えない。


「では、ご主人様私も出撃する」


 続いて濃厚な口づけをしたセネリが紫の魔石を掲げた。


「装着!」


 たちまち魔石が光を放つと鎧に変質してセネリに纏わり付く。


「はあぁぁ……ぅうんっ」


 セネリは相変わらず苦しいのか嬉しいのか分からない艶っぽい声を上げるが国王始めダイゴとその眷属以外の者達はその光景に度肝を抜かれて気にする余裕などありはしなかった。


 完成したセネリの鎧、高機動型魔導甲冑『ハリュウヤ』は東大陸で使用されていた物より改良が施された弐型に進化している。

 装甲が背部から伸びる複数の副腕で構成されるのは変わらないが、より複雑かつ重厚な形状になり、六本の力場制御素子も大型化している。


 光が収まると以前にも増して重厚な姿の鎧騎士が現れた。


「勝利をご主人様に」


「ああ、コルナ連れてってくれよ」


「分かった。おい、寝坊……」


 そこで言葉を切ったセネリは少し考えて、


「寝坊勇者! 置いてくぞ!」


「むー、何さそれ」


 高見台の下からコルナが脹れっ面で出てきた。


「貴公には寝坊助の代わりを務めて貰わねばだからな。それに寝坊なのは変わるまい」


「コルナ……お前やはり……」


「父上っ! それはえーっと……い、行ってきまーす」


 コルナは慌ててダイゴの口を吸うとセネリにしがみつき、六本の力場制御素子を展開したハリュウヤは動き始めた前線に向かって飛んでいった。


「はぁ……」


 肩を落として溜息を付くパナボス国王に、


「まぁ父親ってのは苦労するよな」


 とダイゴが慰めの言葉を掛けるが、国王の耳には届いて無いようだった。




 連合軍に向かって疾駆するガーグナタ軍中央の槍騎兵達は何かが恐ろしい勢いで飛来し何かを落としたのを見た。


 その何かが二本の足で土煙を上げながら減速して巨大な剣を抜いて、初めて人だと分かった。


「アロバの地を土足で踏み荒らす悪党共! この勇者コルナが根こそぎ成敗してやる! 覚悟しろ!」


 戦場全てに届くかの如くコルナの声が響く。


「勇者だと! ふざけおって!」


 輿に乗ったアルワンデが立ち上がり、再び采配を翳す。


「あのたわけ者を魔法の炎で焼いてしまえ!」


 すぐに赤と緑の旗が掲げられ、魔導士部隊が呪文を詠唱しながら前進する。


「放てぃ!」


 魔導士部隊の隊長の号令一下魔導杖から放たれた数十発の炎弾が放物線を描きながらコルナに集中して降りかかり、辺り一帯が大炎上する。


 その様を見たアルワンデの顔が大きく笑い顔に歪んだ。


「どうだ、跡形もあるまい」


 アロバめ、性懲りもなく勇者などと……。


 だがこれで奴らの希望も潰えたことだろうて……。


 だがアルワンデの表情は笑い顔のまま固まった。

 燃えさかる炎の中からコルナが何食わぬ顔で歩いてきたからだ。


「バ……カ……な……」


 あれだけの炎弾の直撃を喰らって全くの無傷だと……。


「ええい! 次だ! 放て!」


 アルワンデの叫びが自陣に響く。



「ぷうっ、いきなり魔法とはご挨拶だなぁ」


「コルナ様、お召し物に損傷はありません」


「当然だよ。それじゃセネリさんやソルディアナちゃんに先越されないように……」


 ペロリと舌を出したコルナがエネライグを構えた。


「勇者コルナ! いっきまーす!」


 そう言うや全速でガーグナタ軍先鋒目掛けて駆けていく。


 その間にも魔道士達から放たれた炎弾が降り注ぐが、コルナの足の速さに当たることは無かった。


 呆然とその様を見ていた槍騎兵が我に返って槍を突き込む。


「そぅりゃっ!」


 大きく振ったエネライグは槍ごと槍騎兵の上半身を斬り飛ばす。

 クルンと回転するやその勢いで別の槍騎兵を斬り飛ばし、更にまた回転する。


「ちぃっ!」


 槍騎兵もただの木偶の坊では無い。

 コルナの回転軌道を読んで手綱を捌き、躱そうとするがコルナも手足の振りや身体の捻りで軌道を修正する。


 そこへ薄紫色のゴーレム兵たちが押し寄せてきた。


「おのれぃ!」


 槍騎兵はゴーレムの鎧の隙間めがけて槍を突き込むが、槍は通らずに弾かれる。


「何だコイツ!? 槍が……」


 そう言った槍騎兵の喉元をゴーレム兵の繰り出した槍剣が刺し貫き、そのまま馬上から放り出される。


「ああっ! ボクの獲物ぉっ!」


「コルナ様、今回の戦闘は集団戦闘でございます故、余り突出なさるのは如何なものかと」


「だってメアリア様はいつも真っ先に戦場を突き抜けてるっていう話だよ? ボクもそうするんだ!」


「それは愛馬パトラッシュの賜物で……」


「いいの! 勇者は自分の脚で頑張るんだよ! てええい!」


 そう言いながら突き込んだエネライグが槍騎兵の上半身を吹き飛ばした。



 一方の右翼にはセネリのハリュウヤを先頭としたマキシマ遊撃騎士団が会敵していた。


「リセリ! ちゃんと付いてこい!」


「お任せください!」


 ハリュウヤの運用を元に一般の兵士でも扱えるように設計された『戦乙女の羽衣(ヴァルゲンジュ)』はハリュウヤの特徴である可変機構はオミットされており、純然たる重甲冑に二本の逆レの字状の力場制御素子が付いたスタイルになっている。

 ハリュウヤの様な完全なリンクは不可能だが、ある程度装着者の思考を読み取り、自在に移動する能力を持っている。


『どうだ、ご主人様から賜った新しい鎧は』


『素晴らしいです。おかげで又セネリ様を団長にお迎えすることが出来ます』


『まったく……いい加減独り立ちして欲しいのだが』


『何故でしょう?』


『何故って……それはお前なら分かるだろう。まぁお前は戦乙女という称号は返上せねばだろうが』


『ご心配なく。ならば団員皆返上せねばなので」


『な、何時の間に……』


『はいはい、もう接敵しますよ?』


『むう……』


 そう言ったもののそのやり取りにセネリの口元が少し笑ったようになった。


 どこまでも……皆一緒なのだな……。


『全騎抜剣! 掛かるぞ!』


『応!!!』


 そのままグリオベルエを構え、敵のまっただ中に突撃する。


「うおおおおおおおっ!」


「な!? こいつら空を飛んで……」


 そんな言葉を最後まで紡ぐことも無く領国兵たちは次々と美丈夫の奔流に飲まれていく。



 更に右翼ではソルディアナとゴーレム兵たちが既に多くの領国兵を屠っていた。


 漆黒の鎧に身を包んだソルディアナが振るう黒い大剣が無造作に領国兵を真っ二つに斬っていく。

 避けて突破しようとした者達も次々と後続のゴーレム兵たちの餌食になった。


 だがソルディアナは心ここに在らずといったように辺りを見回していた。


 ……なんじゃ? 何かがおかしいのう……。


 それでも領国兵たちを屠る勢いは全く衰えない。

 領国兵たちは訳も分からずに目の前の悪夢の様な漆黒の少女に向かって槍を突き、斃されていった。



 ガーグナタ本陣の輿の上でアルワンデは何が起こっているのか理解できなかった。


 敵の本陣から出て来た兵はせいぜい一万程度。


 こちらの真似をしてもどうなる物でもあるまいと高を括っていたアルワンデだったが徐々に押されていく領国兵を見て焦りの色を浮かべ始めていた。


「ぬうう……何だあ奴らは……」


「まさか……魔王の不死の兵士とやらでは……」


「そんな馬鹿な話があるか!」


 同じような顔色を浮かべていた副将バッキゲルの言葉に怒声で返す。

 多くの戦場を渡り歩き、いくつもの勝利を勝ち取ってきたアルワンデはおとぎ話などとは縁遠い、極めて現実主義な武将だ。


「しかし、このままでは突破されますぞ」


 だが、バッキゲルもその副将だけあって戦況を見る目は確かだ。

 即座に自軍の不利を告げた。


「ぬうう……」


 顔を真っ赤にしつつ腕を組んで考え込んだアルワンデだったが、


「ビタシィを用意しろ! 連中に打ち込め!」


「な!? 今ビタシィをお使いに?」


「何をボヤボヤしておる! 領国兵が足止めしている内に打ち込むのだ!」


「し、しかしそれでは領国兵が……!」


 そう言ったバッキゲルの耳元にすっぱ抜いたアルワンデの剣が突きつけられた。


「その垢の詰まった耳をそぎ落とさんと分からんのか!」


「は、はっ! 直ちに!」


 慌てて飛びのいた拍子に少し耳の端を切りながらバッキゲルは合図の旗を指示する。


 銅鑼の音と共に黄色と緑の旗が上がる。


 ガラガラと十数台の移動式投石機が前進し、停止すると火種の着いた陶器の付いた丸い籠状の物を次々と打ち出していく。


「コルナ様、敵本陣より何か飛翔体が打ち出されました。ご警戒ください」


「飛翔体? 何それ?」


 領国の槍騎兵を斬り飛ばしながらセバスティアンの警告にコルナが見上げると、敵陣から無数の何かが飛んでくる。


「岩?」


「岩にしてはあの投石機の大きさから逆算しての飛距離がありすぎます。もっと軽い物です」


 飛来してきた物体は先頭の火種の着いた陶器から落下すると燃え上がりながら裂壊した。


「ギキィャアアアアアアアアッ!!」


 そこからけたたましい鳴き声と共に火達磨になった何かが飛び出してきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ