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ガチャ929回目:イベント目白押し

 2度目の結婚式から2週間。俺は自室……という名のベッドルームでのんびり寝転んでいた。式後は前回好評だったグアム島へと旅行に行き、イチャイチャしてつい先日戻って来たのだ。

 結局、3度目の結婚式をするつもりはないという意向は嫁達も理解はしてくれたが、公表するのはダメだと言われてしまった。なんでも、今は男性もそうだが女性冒険者の増加率も過去最大になっているとかで、それは俺がトップに君臨している事が要因の一つとされているらしい。

 そこには、ただ単に簡単に強くなるための土台を俺が作り上げたというのもあるみたいだけど、年若い子達の原動力となっているのはそこじゃないらしい。それは強くなる事で、ワンチャン玉の輿が狙えるかもと夢を見ているのだそうな。いずれその夢もいつかは薄れて行き、現実的な相手とくっつくものだとしても、初動は大事なのだという。それくらい、この国は冒険者の数が少なすぎるのだと。

 この辺だけは、流石のサクヤさんでも解決しきれず、毎年頭を悩ませていたそうだ。例えばガチャを入手した頃、チーム『烈火の剣』が何人目かの妻を迎えたというニュースが大々的に報じられたのも、若者を増やすためのサクヤさんの施策の1つだったとか。

 この状況を打開するためにも、俺には広告塔のように可能性の1つとして、夢を与えるのが役割なのだそうだ。


「でもね、ショウ君が嫌なら、公表しても良いわよ。そうしたらまた他の代案を実行すれば良いだけだから」


 俺の隣で同じように寝転がるサクヤさんが優しく声をかけてくれる。


「そんな事言って、他の代案は大して集客効果は見込めないからこうなってるんでしょ。これも世界のためで、黙ってるだけの方がメリットが多いようだし、このくらいのことで嫁の悩みを解消できるなら、甘んじて受け入れるよ」

「ショウ君……♡」


 結婚後、ちゃんとそういう関係になってから、彼女は家にいる間は少し前のアヤネのようにベッタリになった。てか、肉体的な繋がりを得ずに結婚したのって、思い返せばサクヤさんとタマモの2人だけなんだよな。だからなんだというか、それで彼女達の立ち位置や優先度が変わったりする訳ではないのだが、そういう繋がり方も悪くないよなと思ったのだった。


『御主人。わっちは今日もお仕事頑張ったのじゃ。褒めて欲しいのじゃ』

「おー、よしよし」

『くふふ、心地良いのじゃ~♪』


 逆側から甘えて来たタマモの頭を撫でる。だが、ブラッシングを安易に多用したりはしない。あれは彼女達にとっては本当に格別のご褒美に該当するようで、エンリルやアグニとを交えて、俺の負担を軽減するためにも月に1度まとめて行うという話になったようだ。まあ、それもいついつに固定というものではなく、空いてる日に嘆願してくるという強制力の低いもののようだが。

 なにせ、1時間から2時間ほど4人で俺を独占するという事なのだ。他の子達の事もあるし、何より固定化しては俺のダンジョン探索に被ってしまうからな。


『くふ~』

「ねえショウ君。ついさっきだけど、またバチカンから催促が来ていたわよ」

「あ~。まあそれなりにのんびりはさせてもらったから、そろそろ限界が近いか」

「ええ。他は心配ないから結婚式以降『ダンジョンカウンター』は教皇に渡したままなのだけど、日に日にカウントが縮んで行っているみたいね」


 今までは残り時間が見えないながらもテレサが遺した時間をなんとか自分達の手で延長させて延命処置を施してきたが、限界が近いらしい。それに、自分達が全滅してしまうカウントダウンが目に見えてしまったことで、彼らの焦燥感もヤバいことになっていそうだよな。


「それで、カウンター的には残り何日ぐらいなんです?」

「5日とちょっとらしいわ」

「あ~、5日しか無いのか~」

「それと、アヤネちゃん達の出産予定日は、今から大体3週間後ね」

「あ~……」


 イベント目白押しだな。


「サクヤさん。バチカンは、最大何日くらいまで追加で引き延ばしができそうなんです?」

「今の時点でも結構無理しているみたいだから、どんなに先延ばしにできても10日後くらいかしら」

「……そりゃまた、ギリギリだな。ちなみにどれくらい無理してる感じなんです?」

「テレサちゃんがこっちに来て、5ヵ月とちょっと経っているでしょう? 彼女の功績で最大カウンターの720時間MAXまでカウントを巻き戻していたとはいえ、それをほぼ入口付近だけでスタンピードを抑止してきたんだもの。十分頑張っていると思うわ」

「なるほど」


 ……ちょっとのんびりし過ぎたか。

 けど出産が間近というのなら、俺は申し訳ないが『スキル強制』のMAX化を優先する。前回フリッツが来た時には、必要スキルポイントの残りは2億9千万ほどとなっていた。その後もカスミチームやエス達からの献金ならぬ献ポイントで4千万ポイントくらいは溜まっていたはず。

 つまり、残り2億と5千万ポイント程度という事だ。

 『ハイ・ヒューマン』では無かったころの全力5日間でも2億は稼げていたので、今の俺達なら数日で終わらせる事ができるはず。……今なら、上位精霊相手でも無双で稼げちゃうんじゃないか?

 まあでも、後のことを考えて『炎』の相手は繰り越しになるだろうけど。


「よし、なら早速皆を集めてエレメント狩りを開始するか」

『御主人。わっちも参加した方が良いかえ?』

「ああ、来てくれると嬉しい」

『くふっ。頑張るのじゃ!』

「私は他国との折衝があるから、アヤネちゃん達と残るわね。頑張ってねショウ君」


 さーて、さっさと終わらせるとしますかね。

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