ガチャ922回目:帰還
第一層から第三層までの道をつなげた後、『楔システム』で450を他と接続をし終えた俺達は最下層へと戻って来た。
そこでは相変わらずエンキ達がはしゃぎ回っていた。日頃のアレでは運動不足だったから、それを解消しているようにも見えるな。
「全員集合ー!」
『キュイー!』
俺の声を聞いて甘えん坊なアグニがいの一番にやって来てた。彼だけ四足歩行だから贅沢に二足分使ってるんだが、そのせいで速度が2倍くらい出てるんだよな。
そんな風に突っ込んできたアグニをキャッチしていると、他の子達も遅れてやってくる。
「お待たせ。『バトルアリーナ』に第三層を開設してここと似たような空間を作ろうと思うんだが、なんか要望あるか?」
『♪♪』
『プルルン!』
「おー、ジャンプ台とかそういうのね。オーケーオーケー。じゃあ必要そうなものは、後でキュビラがまとめておいてくれ」
『畏まりましたっ』
「それからエンキ、エンリル。第三層の土堀りだが、後で続きからできるように調整しておいたぞ」
『ゴー!』
『ポッポポ!』
うんうん、皆嬉しそうだ。
「んじゃアズ、帰るからマップよろしく」
『はーい♪』
そうして俺達は、完全攻略した『機械ダンジョン』から脱出を果たした。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「おかえりなさいませ」
「ただいまー」
ダンジョンを出ると、やっぱりというかアイラが待っていてくれた。優しく抱きしめつつ周囲を確認するが……。
他の皆は近くのホテルかな?
「その通りです」
「そっか。じゃあ行こうか」
アイラをお姫様抱っこする。場所は知らんけどアイラが教えてくれるだろう。
「記者会見は如何されますか?」
「前回と同じで」
「畏まりました」
そうして俺達は注目を浴びながらも、ゆっくりとホテルへと向かった。
そしてホテルの中に入ると、見慣れた人が待ち構えていた。アイラもその人の存在を認め、甘えモードを解除して隣に立った。
「やあアマチ君」
「あ、支部長。どうもっす」
この『機械ダンジョン』を管理する支部長のサクタロウさんだ。この人は他の支部長よりも俺の中では顔の認識度がちょっと上なんだよな。まあ理由は簡単で、サクヤさんに身も心も虜らしいからだが。
その恋慕が『傾国の美女EX』による成果なのかは聞けずにいるんだけど。彼女のことはいずれ、というかそろそろ貰う気でいるので、その辺の本音はどうなのか、気になるところなのだ。
「この後も予定があるだろうから簡潔に行こう。僕の頼みを聞いてくれてありがとう。君には本当に感謝している」
「いえいえ、そういう話でしたし、俺も興味あったのでお気になさらず」
「すまない。だが、それゆえ申し訳なく思う。君の気分を害してしまうような者達をダンジョンに入れてしまって……」
「まあそこは、当人達のランクがAとかBなら協会側に思うところもありますけど、Cですしね。だから、これは個人的な恨みです。記者会見でも彼らについておはなしはしますけど、営業妨害までする気は……一応無いとだけ」
ヒートアップするかもしれないが、それだけは伝えておこう。そこまで大袈裟にするつもりはないが、規模が膨れ上がってしまったらごめんなさいである。
「……分かった。希望があれば言って欲しい。僕にできる限りのサポートをする」
「はい、よろしくお願いします。ところで、サクタロウさんはどう思います? うちの嫁達」
視線でアズとキュビラを示すと、彼はまるで今まで見ないように意識していたものに、目を奪われてしまったかのような挙動をした。
……もしかしてこの人、美人に耐性がないだけでは?
「……とても綺麗に思えるよ。彼らもきっと、直接街中で目撃すれば敵対する気も失せるんじゃないかな」
「あー」
確かに、この2人はダンジョン以外でも俺のそばにいるばかりで、自主的に外をぶらりとする事はなかったな。欲しいものは通販で手に入るし、そこは考えていなかった。
……確かに画面越しに見るよりも、直接見た方がイメージも親近感も違ってくるか。
「ありがとうございます。参考にさせてもらいますね」
サクタロウさんと別れ、そのままホテルのスイートルームに向かう。そこではアキとマキとアヤネの3人が待っていてくれた。
他の子達は遠慮したかな。
「ただいまー」
「「「おかえりなさい!」」」
3人いっぺんにまとめて抱きしめた。……ふむ。
「アイラもそうだったけど、皆はまだ進化してないんだね」
「そうねー、流石に全員分揃うまでは良いかなって」
「急ぐ理由もないですし、どうせならショウタさんが見守ってる中で進化したいかなって思いまして」
「旦那様には是非とも見守っていただきたいですわ!」
「そういう事なら……今やっちゃう? もう全員分確保してるし」
「「「ええーっ!?」」」
「随分と早いですね。四層や五層のレベルからして、まだ全員分には少し足りないかと思っていましたが……」
「あー、まあ、うん」
「「「「……」」」」
俺の煮え切らない反応で皆理解したらしい。ジト目半分、呆れ半分で見られた。
「まったくショウタ君は……」
「随分と羽目を外されていたようですね」
「お怪我はなさらなかったのですわよね?」
「ああ。直接の被弾はゼロだ」
「なら良かったですわ!」
「ええ、無事に戻って来て何よりです」
改めて全員をゆっくり抱きしめる。この反応からして、第一層辺りからの無茶な行動にハラハラさせてた可能性が高そうだな。
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