ガチャ918回目:神もどきの報酬
『プルーン』
「よーしよーし、美味かったかー」
『ププルプルプル』
いつも以上に饒舌なところを見るに、相当美味かったらしい。数秒にも満たない短い間だったにもかかわらず、しっかり堪能できたようで何よりだ。
そうしてドロップはアズ達に任せてイリスを可愛がっていると、最後の光の柱が発生した。4つの光は互いの存在を確認するよう何度か呼応するように輝きを増していき、最後には広間全体を輝きが飲み込んだ。
「眩しっ」
『プルル~ン』
『ズズズ……』
広間の中央から、重い何かが動くような音が聞こえた。新たなモンスターの誕生を警戒して気配を周囲全体に向けて探らせたが、特に危険な香りはしなかった。そうして、念の為にと警戒を続けていると、ようやく輝きが収まり始めた。
そして視界が開けたその先には……。
「おお!!」
広間の中央、装置があった場所に台座が現れ、その上には宝箱が設置されていた。その色は虹色に輝いており、宝箱から感じる重圧もとてつもない物だった。
「ここで来るか、『プリズムの宝箱』!」
久々の秘宝級の出現に興奮を隠しきれず、皆で駆け寄る。
「……ふむ」
無防備に近づいてみたりしたのだが、ここでトラップが発生したりして酷い目に遭う……なんてことにはならないようだった。
なんだ、そこまで悪辣な作りはしていないか。
『わぁ、初めて見たわ!』
『アズ様のダンジョンには置かれていなかったのですか?』
『あたしはダンジョン作る時に高価な物は持っていかなかったからねー。ほとんどの物資は皆の為に残していったもの』
『あれ? ではアズ様、それらのアイテムはもしや、お城に……』
『ええ、そうそ……あれ?』
アズとキュビラで何やら気になる話をしているが、つまるところあの城には未開封の宝物庫がそのまま……? いやでも、ほぼ無血開城したとはいえ、あれは俺が攻略したというより、元々の主人であるアズが取り返したといった方が正しいまであるからな。
お宝が欲しくないかと言われたら否定はできないし、アズなら無償で渡して来そうだが、俺としては欲を出したくないところだな。
「とりあえず開けるぞー」
『あっ、はい!』
『そ、そうよね。今はそっちの方が大事よね!』
【武器】
【秘宝】
おおう、ここで選択式が来るか! このレベルは固定だと思っていたけど、そうでもないのか。
にしても、まーた気になるチョイスをしてきやがったぞ。武器は当然気になるとして、なんだかんだで秘宝はそこまで入手経験がないんだよな。いっつも貴重な宝箱の選択肢に入ってはいるけど、もう片方の方が毎回気になりすぎて選びきれていない。
けど、今までマップで使って活用させてもらってるけど、このワープ機能って秘宝アイテムが元なんだよなぁ。今のダンジョン攻略生活に欠かせない存在ではあるが、これ以上の秘宝というのも想像がつかない。
現状最上級の宝箱から出る秘宝がハズレな訳はないだろうし、何かしらの場面で必ず役立ってくれそうではあるが……。ふむ。
「……マジで悩ましいな」
『ゴーゴゴ?』
『ポッポポ』
「そうなんだよな~」
『~~♪』
『キュイ~』
「それもあるんだよな~」
『プルプル』
『先輩方の意見ももっともですね』
「ん~……。アズ、このダンジョンが隠し持ってそうな武器やアイテムに当てはあるか?」
あまりに悩ましいので、ちょっとズルをすることにした。
『え? うーん、そうねぇ。……武器なら『偽・聖剣』を大量生産できる下地があるんだし、『伝説』級から『高位伝説』級の武器が出てくると思うわ。もしかしたら、蛇腹剣みたいな変形武器になるかもしれないわね』
「変形武器……!?」
それは、ロマンあるな!
『秘宝の方は……。ちょっとわからないわね。アイツ、色んなもの持ってたし、作ってもいたもの』
「秘宝を手作り……!?」
それはそれで、気になるな。
となると、ここは秘宝か……?
「ちなみに、大外れな秘宝とかそういうのはないよな? この前の『1/1スケールドール』みたいなとんでもアイテムが出て来たら俺は泣くぞ」
『あー、結婚式の時のアレね? あいつの作品はちょっと特殊ではあるけど、『遺産』を越えるクラスのものはほとんどないし、アイツも持ってなかったはずよ。だって、1/1スケールのお人形なんて、自分達で作れるんだもの。しかも、動いて戦える代物をね』
「……それもそうか」
自作できるんなら、そんな本物に寄せた質感の人形なんてわざわざ手に入れないよな。……よし、決めた。
「秘宝にする!」
ぽちっとな。
宝箱を開ければ当然の如く暗闇が広がり、手を突っ込み対象を持ち上げる。
『ズズ……!』
「ん?」
かがんだ状態から引っ張り上げたそれは、所々に装飾のような謎の突起がある円柱状の機械物質だった。立ち上がった状態まで引っ張るも、まだソレの本体は宝箱の内部と繋がっていた。
どれだけ長いんだ!?
『ズズズ……!』
「んん!?」
万歳するように手を上げてもまだ出てくる。なんだこれ!?
「……とりゃ!」
その場で思いっきりジャンプする事で、ようやくその塊を引っ張り出すことに成功した。地上に降り立ち、出てきたそれを見上げる。まるでスペースシャトルのロケットエンジン部分のような、鉄のスカートみたいなのが出てきたな。
長さも5メートルくらいあるし、根元には操作盤みたいなのもついてるが……何の機械なんだ?
『ああ~、これが出るのね』
「何だアズ、知ってるアイテムか?」
『ええ、アイツが作った傑作よ。まさかこれが出てくるとは思わなかったけど、さすがマスターね♪』
「アズが考える中でも当たりの部類?」
『ええ。マスターを直接的に助けてくれるかというと微妙なところだけど、マスターが望むように世界に役立てるアイテムだと思うわ』
「ほほう」
説明を聞くのはその辺にして、詳細を見てみるか。
名前:超広域位相電波塔
品格:≪幻想≫ファンタズマ
種別:アーティファクト
説明:機械主メズマリウスが生み出した傑作の1つ。位相空間内に電波塔を設置できる子機を作成することができ、子機を位相空間の入口に設置する事で、外部との通信が可能となる。本体を操作する事で子機を無限に生み出す事ができるが、設置された電波塔は生み出した場所からの移動ができない為、本体の持ち運びが必要。
★本体の通信可能距離に制限なし。
★生み出せる子機の数に際限なし。
★生み出せる電波塔の数に際限なし。
★電波塔の性能に応じて子機作成時のコストが変動する。
★電波塔の通信可能範囲:半径1~3キロメートル
★子機の作成コスト:特大魔石1個or極大魔石1個or中魔煌石1個
★子機or電波塔の耐久力回復方法:魔石チャージ
「これは……外部通信用の黒柱の上位互換か!?」
あー、これは……フリッツが大喜びしそうな代物だな。
このクソデカイ本体を持ち運びしなきゃならないデメリットがあるが……まあ、『魔法の鞄』がある限り些細な問題だろう。
まずは日本国内に優先して配備させるか。これも記者会見の時に纏めて発表だな。
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