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ガチャ917回目:捕食者

 3体目の『四神』もどきを撃破したことで、3本目の光の柱が伸びるが、他に変化はなかった。なら、さっさと4体目を呼び出しますかね。


「最後の素材は、『戦術兵器の新型マザーコアver2.0』、『戦術兵器の大型基盤改』、『甲殻機兵の大胸甲改』、『殲滅ロボットの新型融解刃』、『悪食蚯蚓の伸縮自在線』、『聖騎士の理念回路』だな」


 投入ーっと。


「あ。皆、下がるぞー」


 さっきの島亀を思えば、サイズや見た目は神獣ではなく原種を模しているはずだ。となれば龍ではなく竜が来るだろう。

 『青龍』なんてこのフロアを埋め尽くすレベルの長大さではあったが、あれは比較対象にはできまい。怪獣映画に出て来てもおかしくないサイズだったからな。せいぜい『1099ダンジョン』のボスである『シードラゴン』くらいのものだろう。まああちらも小さいわけではなかったが。


『ズズズンッ……!』


 そう思って退避し終えた瞬間、それは現れた。


「あー、退避しといて良かったー」


 『玄武』もどきよりも長大で巨大な竜型の兵器がそこに鎮座していた。

 流石は竜種。存在感があるな。


『プルーン』


 イリスがいつぞやのドラゴンを思い出し、また齧り付きたいと懐かしんでいた。まあコイツを齧っても鉄の味しかしないだろうしな。


『GYAOOO!!』


*****

名前:統合戦術兵器ver1.0 Type竜

レベル:350

腕力:3800

器用:3200

頑丈:2800

俊敏:1200

魔力:9999

知力:6000

運:なし


(ブースト)スキル】超防壁Ⅴ、剛力Ⅵ、怪力Ⅵ、阿修羅Ⅴ、怪力乱神Ⅳ、鉄壁Ⅵ、城壁Ⅵ、金剛体Ⅴ、難攻不落Ⅳ、力溜めⅤ

(パッシブ)スキル】身体超強化LvMAX、硬化Ⅵ、全属性耐性LvMAX、物理耐性Ⅷ、魔法耐性Ⅷ、冷気耐性Ⅱ、灼熱耐性Ⅱ、斬撃耐性LvMAX、貫通耐性LvMAX、打撃耐性LvMAX、状態異常耐性、体術LvMAX、武闘術LvMAX、姿勢制御LvMAX、重力抵抗LvMAX

PB(パッシブブースト)スキル】破壊の叡智Ⅳ、魔導の叡智Ⅳ

(アーツ)スキル】衝撃Ⅲ、鎧通しⅢ、急所突きⅢ、衝撃拡散Ⅲ、ウェポンブレイクⅣ、アーマーブレイクⅣ

(マジック)スキル】魔力超回復LvMAX

★【(エクス)スキル】偽・絶風神域、偽・ドラゴンソウル、偽・竜の紋章、ドラゴンブレス(風)


装備:偽・神獣の爪、偽・竜鱗、耐風装甲、多機能戦術兵装、クロックアップ回路、スキル大増量ストレージ

ドロップ:ランダムボックス、ドラゴンハート

魔煌石:特大

*****


 ふむ。文字通り『機械竜』ってところか。これはこれでロマンというか趣があるよな。


「お? ドラゴンハートってことは、こいつドラゴンの生体素材を使ってるのか。ってことはイリス、ドロップ前ならこいつの心臓食っても良いかもしれんぞ」

『プル!!?』


 実際にドロップするアイテムと、生前に持っているアイテムや素材は別物という扱いだ。だから、倒す前であれば食べられると思うんだよな~。まあ、生きてる機械ドラゴンからそんな真似をしようなんて思えるのは、世界を見渡してもイリスくらいのものだろうけど。


『プル? プルル?』

「いいけど、その前に俺に味見させてくれ。ある程度戦ったらバトンタッチな」

『プルー!!』


 やれやれ、久々の踊り食いだからってテンション上がっちゃってまぁ。でも、『妖怪ダンジョン』に続いて無機質な『機械ダンジョン』と来てたから、イリス視点でのダンジョンの楽しみが半減してたのも事実だよな。


「そんじゃ、機能停止させてしまわないよう気をつけつつ、遊んでいくとしますかね!」

『GRUAAAA!!』



◇◇◇◇◇◇◇◇



 この『青龍』もどきは、今まで以上に期待外れだった。『四神』もどきシリーズが持っていた魂ですら偽物である点もそうだが、何より本物の『青龍』は龍なのに、こいつはドラゴンの竜なのだ。原種が出るという予想は当たっていたが、正直言うと外れて欲しかったまである。種族からして違う上に魂も紛い物。一体どう前向きに捉えればコイツを『青龍』との予行練習に使えるのやらと。

 レベルはこのダンジョン内で遭遇して来た連中の中では2位と、それなりに高水準を叩き出しているが、1位である『忘れ去られた女神像』のレベル540とは天と地の差があるのだ。今まで戦って来た強敵達と比べても霞んで見えるし、せめて本物のドラゴンである『1099ダンジョンボス』くらいは超えてくれないと、練習相手としても見てあげられないぞ。まあ、そっちもレベルは540だったけどな。

 ということで10分くらい遊んだところで、戦いの楽しさよりも物足りなさに天秤が傾き始めたのだった。


「……もういいか」


『斬ッ!!』


 攻撃手段である前脚を2本と、尻尾を両断する。この程度で死にはしないが、イリスに捕食されてる最中に暴れられても面倒だしな。

 斬り落としたそれらの部位は消えることなくその場に残っているが、中身はどちらも完全に機械部品で構成されていた。『ドラゴンハート』なんて部位を持ってるんだから、部分部分でそういったものを使ってるんだろうかと思ったが、そうでもないようだ。

 てことは、紛い物であろうと竜なんて巨大な生物を模して動かすには、『ドラゴンハート』がないと稼働しなかったとか、そういうことかな?


「イリス、バトンタッチ」

『プル~~!!』


『ドガンッ!!』


 イリスは、斬り落とされた部位などは当然無視して奴の胸へと吶喊した。その衝撃だけで『機械竜』は大きくのけぞる。そのままイリスは胸部を喰い破り、その中へと侵入を果たした。


『GUAAA!?』


 『機械竜』は体内に入り込んだ異物を取り除こうともがくが、イリスはお構いなしに突き進んでいく。


『プル~!』


 目的の物を見つけたのだろう。イリスが歓喜の声を上げた。

 そうして数秒後、『機械竜』は突然動作を停止し、倒れ込む。恐らく、『ドラゴンハート』の大半を失ったのだろう。


【レベルアップ】

【レベルが121から423に上昇しました】


 よし、これで残る進化セットは1人分だ!

 そうガッツポーズを取っていると、『機械竜』はゆっくりと煙になって消えていった。そしてそこには、ドロップアイテムと満足げなイリスが遺されたのだった。


『プルプル~!』


 イリスが嬉しそうで何よりだ。

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