ガチャ907回目:ジェットブーツ
6/14はコミカライズ発売日!
記念として、レベルガチャの外伝がスタートしました。
初日と2日目は3話ずつ、3日目は1話ずつを予定しています(毎日になるか、増量されるかはランキング次第)
また、本編でも記念として結婚式編を執筆中。
公開タイミングは今だと変になる為、そちらは本章が終わってからとなります。
さて、バスケットコート2面分くらいの程よい広さの部屋の内側には何もなく、部屋の四方にある壁にはガーディアンが埋め込まれている訳だ。その数もまた1体や2体じゃなく、一辺に2体から4体はいて、この部屋だけで10体もいる。
ここの壁は第四層や第五層と同じく金属製の何かであり、つくりも全く同じように見える。そんな凹凸のない頑丈な壁に、ガーディアンがすっぽり収まるためだけに用意されたかのような窪みがあり、連中はそこで待機していた。あの状態の連中はセーフモードに入っているかのようにぴくりとも動かず、剣は地面に突き刺し、盾を装備した手もぶらんと下げられ、バイザーのような兜も目のところは真っ黒になっていた。
中世の館なんかには、あんな感じの甲冑の置物が通路の両サイドに飾られていたりしそうなイメージだけど、壁の中に専用スペースが設けられているタイプもなかなか粋があるじゃないか。エンキ達もさっきから興奮しっぱなしだ。
おそらく、他の部屋も似たような光景なんだろうけど、こんなだだっ広い空間で、連中の感知範囲はどの程度だろうか。
「エンキ、石」
『ゴ? ゴゴ』
エンキに石の弾丸を作ってもらい、それに反応するかどうかから試す事にした。
まずは、左手にいるあいつからだな。壁に埋まってる姿もその顔もこちらからはよく見えるんだが、斜め前からは知覚できないのかな。んじゃ、まずは奴の前方に向けて、軽く前方にぽいっと……。
『ブゥン……!』
「おっ?」
ガーディアンのバイザーが赤く光った。すると奴は即座に窪みから飛び出し、放物線を描きながらまだ宙を舞っていた石の弾丸を両断してみせた。
「ほぉ……」
なかなかの瞬発力だな。トップスピードへの到達力も凄まじいが、あれが『ジェットブーツ』とやらの性能だろうか。正直ちょっと面白そうだから欲しいところなんだが、ドロップリストはただのトリガーっぽいのが残念なところだ。
『……』
「よぉ」
ガーディアンはゆっくりと俺へと顔を向ける。そして微かに、奴の両足から駆動音が聞こえて来て――。
「おらっ!」
『ドガァッ!』
一瞬で目の前にやってきたガーディアンの頭に、カウンターで正拳突きを喰らわせる。衝撃で頭はひしゃげ、首から下は元の勢いを殺しきれず俺の背後へと転がっていった。
【レベルアップ】
【レベルが52から88に上昇しました】
「その動きはもう視させてもらった」
にしても、本当に便利だな、あのジェットブーツ。アイツの『俊敏』じゃ絶対に出せない速さをあっさりと超えて来やがる。
完全初見であれば一発もらっていたかもしれないが、サーチ&デストロイを徹底していたせいで、石ころ程度にも本気を出してくれたからな。おかげで俺の『予知』がしっかり動いてくれた。あとは、奴の軌道上に拳を置いておけばいい。
数日使っていて思ったが、格闘攻撃も悪くはないよな~。リーチは短いがその分取り回しが良いし、何より目標外の存在に引っ掛かる事なく剣以上に置く攻撃がしやすい。問題はどうしてもインファイトになってしまう点だろうか。
瞬間火力が出せるならインファイトでも問題はないんだが、この武器でそれをしようものなら武器が壊れてしまうからなぁ。コレで本気を出すなら、やはり本物が欲しいところだ。
「……今回の件で国内のダンジョンもある程度平定されるし、何が出るかは分からんが、 幻想を取りに行くのも悪くないかもな」
ダンジョンコアの地図でなら『幻想』に類する何かが得られるダンジョン位置は分かるし、『ワールドマップ』でも色々アタッチメントが出てたから、そっちにもそれっぽい機能は多分出て来てるはず。そろそろ本腰を入れて、あのアタッチメントを全部調べるのもありか……。
うんうん、それも悪くないな。
なんて考えていると、視界に予測線が映り込んだ。俺はそれに合わせて頭を横に傾け、振動剣を回避した。
「おっと、新手か」
さっきのはきっちり倒したし、今度は何に反応したんだ? とりあえず、コイツにも拳をお見舞いしてっと。
「ふんっ!」
アッパーを叩き込むと、ガーディアンは大きく宙を舞い、天井に激突後煙となりながら地面に落ちていった。
【レベルアップ】
【レベルが88から89に上昇しました】
『『……』』
「ああ、なるほどな」
ガーディアンの残骸が、煙となって消えきる前に壁に残ってる連中の感知範囲に触れてるのか。そして味方の身体を検知し識別しているからこそ、最初のように残骸に突撃を仕掛けたりはしないし、静かに起動してすぐさま近くの俺をターゲッティングしていると。
なるほどなるほど。注意して戦わないと連戦を強いられる訳だな。そしてやろうと思えば1体ずつ釣り出して通路などで戦えば、増援を気にする必要がない上に、相手の機動力も奪えるとか、そんな感じだろうか。
『ガイン!!』
「おっとぉ?」
だが、味方の識別はしてても連携をするという機能は組み込まれていないようだ。互いに俺の眉間を攻撃しようとして、互いの武器がぶつかり合い反発したことで、攻撃は明後日の方へと弾かれてしまう。
本来であれば連携のできない奴らなど怖くもなんともないが……。
『ガイン! ガキン!』
「あー……」
いや、設計者は敢えてこうしているのかもな。奴らは連携ができない。だからこそ、その攻撃は予測がし辛く、本来であれば当たらなかった攻撃も弾かれる事で予想外の位置から強襲されるかもしれない訳だ。弾きで威力は控えめになるだろうけど、乱戦になればなるほどその脅威度は跳ね上がっていくだろう。
「ふんっ!」
まあ全て視えている俺には関係ないので、1体ずつ頭部をぶち抜き破壊してやる。
【レベルアップ】
【レベルが89から90に上昇しました】
「……よし。ならコレも修行だ。ひとまずこの部屋に残っている残り6体、同時に相手してみるかな」
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