ガチャ905回目:レアⅡとレアⅢ
「アズ、地図」
『はーい♪』
アズは手元のマップから高速で地図を書き上げると、手渡ししてくれる。ふむ、連中の行動予測を計算しても、まあ問題はなさそうな出来だな。
「エンキ、もうちょっと耐えててくれ」
『ゴ』
「おいアンタら、優しいキュビラが救助を願ったから助けてやる。だが、彼女達はどちらも俺の女だ。次罵倒しようもんなら容赦はしないぞ」
それだけ言って、俺は連中が反応をよこすよりも前に地図を投げ渡す。
「この階層には俺たち以外に冒険者はいないが、レアモンスターはそれなりに蠢いてる。死にたく無かったら、その地図に書いてあるルートで逃げ帰るんだな」
「は、はい!」
「恩に着ます!」
「ありがとうございます!!」
そう言って彼らは駆け抜けていく。助けを求めた3人はしっかりとお礼の言葉を残すが、あとの2人は相変わらずの様子だ。頭だけ下げて通り過ぎていったが、まあ言いたくないなら好きにすると良い。その態度は後になって自分に返ってくるのだから。
「アズ、今の様子も撮ったか?」
『バッチリ♪』
「んじゃ、さっさと終わらせるか。攻撃パターンも、図体がデカくなっただけで中身はなーんにも変わりないしな。エンキー」
『ゴゴー』
レアⅡが壁を破壊するため体当たりをしてくるが、直前にエンキがその壁を取り除く。すると、無防備な状態でレアⅡが壁から飛び出して来た。
「『閃撃・一刀破断』!!」
全てを両断する飛ぶ斬撃は、レアⅡの身体を切り裂きながら壁へと激突する。壁を両断する威力こそないものの、その斬撃はいつまでも残り続ける。そしてそのまま壁をすり抜けて飛び出してくるレアⅡのボディを切り裂き続けた。
その全てを両断し終えたところで、ようやく斬撃も消失した。
【レベルアップ】
【レベルが188から244に上昇しました】
うむ。効果が抜群とはいえ、『戦乱波濤』を連発するのは芸がないしな。ちゃんとこの戦法でも有効に働いてくれてよかった。
そしてその両断された身体は煙となり、アイテムへと変わっていった。
「これで一応ここの攻略は、最低限の目処は立ったな。アズ、複数合流の方はどうなってる?」
『んー、マップをタップしても詳細が視えないわね。別の種に進化しちゃってるかも』
「おお、そうか。それはそれで楽しみが増えるな」
『それとマスター、そいつ、さっきの戦闘音でこっちに気付いたみたい。あと数分もしないうちにこっちに到着するわよ』
「それは僥倖。わざわざ探しに行かなくても済むわけだ」
なら、さっさと進化セットに変えちゃってと。よーし、これでまた1セットできたな。
そうして準備体操をしていると、目的の奴が壁を無視して突っ込んできた。
『ドドドドドドド……!!』
*****
名前:戦略兵器ver2.5 Type強化デスワーム
レベル:280
腕力:3000
器用:3000
頑丈:2800
俊敏:2300
魔力:0
知力:100
運:なし
【Aスキル】隠形Ⅴ、気配断絶Ⅴ、気配感知Ⅳ、反響定位Ⅳ、ウェポンブレイクⅢ、アーマーブレイクⅢ、悪食LvMAX
★【Eスキル】金属同化Ⅲ、一体化Ⅲ、自由自在Ⅲ、溶解液Ⅲ、丸呑みⅢ、高速消化Ⅲ、悪食者の魂Ⅲ
装備:なし
ドロップ:ランダムボックス
魔煌石:大
*****
トリガードロップがないってことは、こいつは完全にここのギミックから外れたモンスターみたいだな。それにしても『大魔煌石』持ちの宝箱か。何が出るか今から楽しみだな。
「エンキ、このレアⅢやってみるか?」
『ゴ? ゴゴー!』
『ポ?』
『プルプル!』
「ああ、やりたきゃ好きにやって良い」
エンリルとイリスもやる気満々みたいだな。まあこの図体の相手は滅多にできないし、殴り甲斐があるんだろう。
『♪』
『キュイー』
逆にセレンとアグニは興が乗らないらしい。まあ確かに、2人の攻撃じゃコイツへの有効打は難しそうだ。ステータス的に圧倒はしてるから、効果が今ひとつでも勝つのは難しくないだろうけど。
「じゃ、少し離れたところで観戦していようか」
『はーい♪』
『はいっ』
◇◇◇◇◇◇◇◇
『ゴゴー!』
『ポポー!』
『プルル~!!』
エンキのパンチがレアⅢの胴体にぶっ刺さる事で壁に潜行できなくなり、悶え苦しむように大口を開けてもがくレアⅢの口内にエンリルの風刃が炸裂し内部がズタズタになり、そんなズタズタの内部に自分から突っ込んでいったイリスが傷口を中心に自身の身体を差し込んで膨張。レアⅢは頭と胴体がお別れしたことにより、ゆっくりと煙へと変わって行った。
【レベルアップ】
【レベルが44から328に上昇しました】
ふむ。レベルの上昇量としてはまあまあだな。こんだけ上がればガチャもできるんだが、正直進化セットを全員分配り終えてからじゃないと、純粋にガチャを楽しめそうにないんだよな。だからまだ、我慢の時だ。
……それはともかくとして、今のレベルを進化セットに使ったとして、19個目か。つまるところ、このダンジョンに来て9人分と0.5人分ができた訳だ。現状配った人数は、シルヴィとカスミ達の合計7人分。なので端数は2.5人分な訳だ。そして残る配るべき人数は、Sランク組5人と、初期嫁4人、それからサクヤさんだから、残り10人分と。
それから、手元のマップ完成度はなんだかんだでまだ5割か。後は残っている余白を全て埋めつつ、近場にいるレアを狩っていって、その過程でレアⅡと何体遭遇できるかといったところか。
『マスター。例の連中は無事に第五層から脱出したわ。今なら、この階層でどれだけレアを湧かせても誰の迷惑にもならないわよ』
「お、それはいい。やっぱ気兼ねなくやれるのって、結構大事だからな」
『ふふ、そうですね♡』
んじゃ、一暴れしてやりますかね!
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