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ガチャ899回目:第五層へ

 レアⅡが2体お代わりでやってきた結果、レベルは197から201へと上昇した。ちょうど良いレベルにちょうど良い時間。

 今日の活動はこれにて終了だし、今後のレアモン戦を思えばレベルはこのまま維持するのが望ましかったため、今日のところは『スキル生成』は使用せず、そのまま第四層の出口へと駆け抜けたのだった。道中、案の定というか最短ルートで駆け抜けても100体討伐を達成しちゃったが、俺達が部屋を出てすぐ、隠し部屋は閉まってしまった為、煙は下側の広間へと急速移動し、レアはそっちに出現したようなのだ。流石にここからレアのところに駆けつける気は微塵も起きなかったためスルーさせて貰うが……。


「ううん……」


 その後、俺は拠点のリビングで、つい先ほど出現してしまったレアの反応を見ていた。

 第三層の騒ぎには一区切りついたのか、何組かの冒険者が第四層に戻ってきているし、場所が場所だから一般の冒険者が奴と遭遇する可能性はなくもなかった。だが、あんな分かりやすい巨体を見逃すとは思えないし、挑むなら自己責任だろう。

 ……とまあ冷たく思ってみたが、心配なものは心配なので、レアの出現場所とタイムリミット、レベルと弱点、レアⅡに派生しない事などを記載して俺のスレッドに投稿しておくことにした。


「これで良いだろ」

『んふ。マスターってば、優しいんだから♪』

『ふふ。マスター様、お食事の用意ができましたよ♡』

「ああ、頂くよ」


 他の詳細なデータは、『マジックバッグ』経由でアイラの元にあるはずだし、先ほど流した以上の情報の取り扱いは、嫁達やサクヤさんに丸投げするとしよう。



◇◇◇◇◇◇◇◇



「『『……』』」


 第五層に降りてきた俺たちは、顔を見合わせた。そして次にマップへと目をやった。

 ……確かにここは第五層で間違いはないようだ。マップも新しいものに更新されている。だが、なんというかまあ……。


「第四層とまるで同じ見た目とはな」

『ネタが尽きたのかしら?』

『コストカットでしょうか』

「ちなみにダンジョンの構成って、誰が考えてるの?」

『あたしの時は、『ダンジョンボス』がある程度設計する事もできたし、ダンジョンシステムにお任せすることもできたわ』

『私の場合もそうですね。こだわる方は配下のダンジョン全てを構築されるという噂もありましたが、実際にそうなったかは不明です』

「ほぉーん」


 アズは……最初期のダンジョンだし、自分の所以外はオートや各地のダンジョンボスに任せていそうな節があるな。逆にキュビラは、ダンジョンの構成からして途中までは彼女が自分で創り上げたけど、途中から四神の介入でゴチャついた感があるよな。

 それを思えば、今まで攻略してきたダンジョンはオートか手動か、それなりに分かりやすいところは分かりやすいよな。特に『アンラッキーホール』とか『ハートダンジョン』だ。あいつらは、狙ってやらないとあんな構成にはならないだろう。


『だから、似たような光景が続く場合、ほとんどのダンジョンがシステムに任せて自動生成されたエリアよ。限りなく低い確率で、コンセプトがあってこだわり抜いた過程でこうなった可能性もあるけど……』

「なるほどな。俺としては……まだ全部を見てないから判別はつかないけど、今までのこだわりようを見る限り、ここも手動設計だと思うんだがな」


 いや、俺がそう思いたいだけかもしれんが。


「とりあえず、ここの雑魚からご対面しようか」


 目の前に広がるのは、第四層でも見た床や天井、壁の全てが金属でできたどこまでも続く無機質でメタリックな通路だ。しかし1点だけ異なる点があった。金属の所々に丸い切れ目が入っているのだ。今までは繋ぎ目のない作りに驚かされてきたが、ここにきて切れ目と来たか。

 なんとなくそれの正体を察しつつ、マップに目を向けてみる。


「やっぱアレがモンスターか」


 左右の壁だけでなく、天井や地面にさえ反応がある。壁の方は一目でわかるが、床や天井の方はちょっと発見が難しいな。ダンジョン内は明るいが、光の反射のためか床や天井の方は見えにくくなってるのかもしれない。


「……お、しゃがめば見えるな」


 角度の問題だったか。


『ゴーゴゴ?』

「ああ、今までも砂に隠れるゴーレムやら、影に隠れるワニがいたが、こいつもその類かもな」


 この状態でも『鑑定』は通るか?

 ……ううん、無理だな。この金属の壁はダンジョンの一部だ。そんなダンジョンの壁の内側に隠れられると、『鑑定』は通らないらしい。

 あ、そういや昨日の部品ガチャでこいつの素材らしきものをゲットしていたな。確か素材名は『迷宮罠の配線』だったか。


「迷宮罠ねぇ」


 名前からしてまんまだし、隠れている以上トラップなのはまあ間違いではないんだろうが……。とりあえず、当たって確認するか。


「何が来ても良いように、とりあえずぶん殴るか」


 『レリック・ウルスラグナ』を装着し、罠に向かってまっすぐ進む。この先にある最初の罠は壁に2つ、天井に1つだ。

 さーて、どう出てくる?


「……?」


 いくら進めども連中は顔を出さず、手が届く距離に来ても姿を現さなかった。なんなら地面にある丸い切れ込みを踏んでもみたのだが、それでも動きはない。奴らは姿を隠してるつもりなんだろうが、こっちは堂々と姿を見せているし、遮断スキルも使っていないから、気付かれてるはずなんだが……。

 そう思ってもう何歩か進んで通り過ぎたところで、ようやく動きがあった。それも通り過ぎた3つの罠だけじゃなく、正面にあった他の罠も同時にだ。どうやら、挟み撃ちするために起動を遅らせたらしい。


「中々いやらしい事をするじゃないか」


*****

名前:ラビリンストラップ

レベル:72

腕力:880

器用:880

頑丈:600

俊敏:280

魔力:0

知力:600

運:なし


(アーツ)スキル】隠形、気配断絶

★【(エクス)スキル】金属同化、一体化、自由自在、溶解液


装備:なし

ドロップ:迷宮罠の配線

魔石:中

*****


 それはミミズのように壁から生え、金属製の触手のようにユラユラと揺らめいていた。


『シャーッ!』


 1体が溶解液を発射すると、他の連中も同様に溶解液を吐き出して来る。


「ふんっ!」


 ステータス的には耐えられるはずだろうが、気分的に触れたくはなかった。なので、背後からの攻撃は避けつつ、正面の溶解液には全力の素振りをし、そこで生じた拳圧で吹き飛ばす事を選択した。


『パァンッ!!』


 なんとなくできるんじゃないかと思って放ったそれは、空気を破裂させ衝撃波を伴った。拳圧は溶解液だけでなく、ダンジョン壁から生えたモンスターの外皮を破壊し、長く伸びていた個体はバラバラに砕け散ったのだった。

 ブーストは未使用だったとはいえ、本気で殴ろうとすればここまでの威力が出せるとは。……この武器のおかげかな?

読者の皆様へ


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