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ガチャ893回目:通訳

★次回攻略先ダンジョンのアンケート!★

★白熱した結果、バチカンの『悪魔のダンジョン』に決定!!★

https://x.com/hiyuu_niyna/status/1925190193373647095

 新たに出てきた『魔力極回復』のスキルは、やはり魅力的なスキルだ。

 15秒ごとに回復する量が、レベル1だと『魔力回復』は1、『魔力超回復』が12、『魔力極回復』が150の順当強化だ。もしこれをLvMAXにできれば15秒ごとに1500回復だろうし、そうなれば高威力の10倍マジックミサイルを結構な頻度で連発が可能となる。取っておいて損はないだろう。


「とりあえずこの『魔力極回復』は、LvMAXにした上で俺が覚えてみるか」

『ねえマスター。覚えてみたところで、マスターの膨大な魔力量じゃ、回復してるかわからなくない?』

「んー、まあそれはそうなんだが、条件を満たしていなきゃ取得できない可能性もある訳だしさ」

『ですがマスター様、もしその条件が取得する際ではなく効果を発揮する際の条件であった場合、取得はできても効果が発揮されない可能性は考えられますよね?』

「……まあそうだな」

『では、もしも取得する際『魔力超回復』を上書きしてしまったら、取り返しのつかないことになるのではないでしょうか』

「あ~~……ヤバイな」


 俺の中から『魔力超回復』が消えて、自前では回復できなくなるって事か。

 それにそうなった場合、イズミにコピーさせた『魔力超回復』も消え失せたりする……? そうなると、それを更にコピーした俺の『魔力超回復』もまた消える訳で、結果的に俺の手元にはイズミからコピーしてきた『(コピー)スキル』の『魔力超回復』1個分しか残らないってオチに……。

 そ、それは困るぞ! 一応今回のコアⅦ入手により、エンキ達の維持費はコアⅦになったことで15秒置きに消費する魔力も7になった。それが4つという事は28消費だ。家にいるリヴァちゃん達を含めても消費は総消費は50以下だし、維持費に関して言えば今回の強化による損失はまあ微々たるものだ。

 問題は、現在の『魔力超回復LvMAX』×3で15秒置きに回復する量は360もあるのだが、それが120にまで減ってしまう可能性が出て来た訳だ。そうなると、継戦能力が大幅に下がっちまう。


「……分かった。キュビラの懸念はもっともだ。だからこれを取得するのは、キュビラの言う通りになってしまっても問題ないような解決手段が見つかってから、改めて使うことにするよ」

『ああ、マスター様……。私の思いつきで我慢を強いてしまい、申し訳ございません』

「別に怒ってないって。俺のためを思って言ってくれたんだし」

『マスター様……♡』

「そうだなぁ。例えば、イズミとアズとシルヴィのそれぞれから『魔力超回復』をコピーしてくるとかな。共有ポイントが余ればそんな解決手段も取れると思うんだ」

『んふ。もう、マスターったら。そんなのここをクリアすれば一発じゃない♪』

「はは、そうかもな」


 まあでもそうか、『魔力極回復』が『魔力超回復』の完全上位互換だった場合上書きがあり得るのか。今まで散々『スキル進化』を試していたのに変化がなかったし、アズでさえ持っていなかったからこれが打ち止めで、極は別の存在なんじゃないかと勝手に判断してしまっていた。

 でも、説明文や効果内容的には同じ系列っぽい感じだったし、進化先と考えるのが妥当か。


「とりあえず強化させるとして、効果内容が変化するかだけ見ておくか」


 こいつは『高位伝説(ハイ・レジェンダリー)』だが、スキルレベル制だから必要ポイントもそう多くはない。たったの21万6000だ。

 早速MAX強化してっと。


 名前:魔力極回復LvMAX

 品格:≪高位伝説≫ハイ・レジェンダリー

 種類:マジックスキル

 説明:魔力を15秒に1回の頻度で(150xレベル値)ずつ回復する。

 ★神の因子を持つ者にしか扱えない特殊スキル


 見える情報に変化なしと。ならもう、こいつはドロップ品リストに戻してしまうか。


「んじゃ、気を取り直して第四層に向かおうか」

『はーい♪』

『畏まりました♡』



◇◇◇◇◇◇◇◇



 拠点を片付け、聖殿を後にした俺達は砂の断崖を飛んで駆け上がる。といっても、エンリル含め全員を俺1人で抱えて、スキルを駆使してひたすらジャンプするだけなんだが。

 そうして巨大クレーターから脱出すると、そこにはそれなりの人数の冒険者達が待ち構えていた。中には協会員らしき人達だけじゃなく、見知った顔もいて――。


「お、アイラじゃん」


 こんなとこで何してんの?

 と思ったが、ここにいる時点で何となく察しはついてしまう。大方、この惨状を報告された協会側が俺の嫁達に直接連絡し、応援という形で駆け付けたとかそういう流れだろう。そして俺から状況を簡潔に聞き出す事ができる人材かつ、すぐ動ける嫁がアイラだったということだ。


「その通りです、ご主人様」

「だよなー」


 俺達の先読み会話に周囲の人間がクエスチョンマークを浮かべているが、この際は無視してしまって問題ないだろう。空気を読んだ子達が俺から離れ、改めてアイラとハグを交わす。『弱体化』の全力使用も忘れずにだ。


「ご主人様はこれから第四層ですか?」

「ああ」

「そこの危険性はどの程度でしょうか」

「トリガーが無ければ無害だと思うが、断崖のままだと踏み外したら危ないよなー。エンキ」

『ゴ!』


 エンキが地面に手を付けると、クレーターを囲うように高さ1メートルほどの石の壁が出現。さらに断崖が崩れないよう足元と断崖そのものの補強も施した。これで誰かが転落する恐れもないだろう。


「トリガーというと、こちらですか?」


 アイラがオベリスクの欠片をいくつか見せてくれた。アイラが持ってるって事は、やっぱり用途不明って事で協会預かりになっていたのか。


「そうそれ」


 俺達は拠点で休むと同時に、アイラ宛てにガーディアン戦や女神像戦の動画と連中のステータス、出現条件などの情報もすべてまとめて送ってある。だから、彼女もここに来る途中で、この聖殿がどういう種類の物か今の説明だけで完璧に理解しているだろう。


「承知しました。ご主人様に確認したい事は以上です。……ではアズ、キュビラ」

『『!』』


 2人がビクッとした。

 今までアイラは彼女達に「様」という呼称を付けて呼んでいた。それがいきなり呼び捨てになったのだ。突然扱いが対等になった事に察しがつき、彼女達はアイラから下される沙汰を大人しく待つことを選択した。


「ご主人様の妻になるという事は、今後どのようなトラブルが待ち受けているか。全て、覚悟の上ですね?」


 アイラの言葉に周囲の人間は驚きを隠せない様子だったが、当の本人達は逆に落ち着いて見えた。


『勿論よ』

『当然ですっ』

「……良いでしょう。ご主人様のこと、任せましたよ」

『任せなさい』

『はいっ!』


 てか俺が彼女たちを迎え入れたこと一言も言ってないし、今このタイミングでは思考すらしてなかったのに、なんで察せちゃうかな。エスパーとかそういうレベルをだいぶ隔絶してる読みレベルだぞ。


「それではご主人様、いってらっしゃいませ」

「ああ、行ってくる」


 仕方ない、切り替えていこう。俺は軽い仕返しのつもりで、周囲に見せつけるようにアイラと唇を重ねた。まあこの程度、アイラにはなんて事ないかもしれないが……。


「フフ」


 あ、良い笑顔で返されちゃった。

 そんじゃ、後の事はアイラに任せて、俺達は第四層へと向かうとしますかね。

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