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ガチャ871回目:初めての検証

『ガチャガチャ』

『ガチャガチャガチャ』


 警報を鳴らし終えたのか、急に静かになった人型のブリキロボット軍団が、俺を取り囲みスタンバトンを振り上げ攻撃してくる。当たればバチっとはするかもしれないが……。


「……ふむ」


 とりあえず受けてみる事にした。


『バチンッ!』

『バチンッ!』


「あー……」


 まるで痛みを感じないな。殴られた衝撃は来るが、痛みなんてないし、電気が弾けたという感覚しかない。別に麻痺してるとかじゃなく、本当に何の痛みも感じなかった。

 今までは回避が疎かにならないよう、どんな攻撃も回避したり防御したりとしてきたけど、そろそろ自分の防御力ってのも確認したくなってきたんだよな。だが、この結果は少々想定外だ。ステータス差は歴然とはいえ、チクリくらいはするかなと身構えていたんだが……。


「ふーむ」


 そう考えている間も、連中は俺を囲んでボコスカと殴って来ているが、やはり反動で身体が揺れることもなければ、痛みもない。ただぶつかった感触だけを覚える、不思議な状態だった。


「ステータスに差があると、ここまで変化があるのか……」


 結局人間もモンスターも、どんな攻撃であれなんらかのステータスを基準に攻撃力を決定している。だが、ここ最近の上位モンスターとなってくると、ぶっ飛ぶほど高いステータスを参照にしていたり、果てには∞の魔力を参照にして威力が頭打ちしない天井知らずの攻撃をぶっぱしてくるから、防御力は当てにならなかったんだよな。

 だから、どんなに『頑丈』のステータスが伸びたところで、意味なんてないんじゃないかと思ってはいたんだが……。もしかして今の俺、大抵の攻撃は避けるまでもなかったりするのか?

 そう思ってアズに問いかけようとするが、流石にちょっと邪魔だな。視界も奴らで埋め尽くされているし、音も攻撃音と駆動音が邪魔している。知覚を研ぎ澄ませば無視して会話くらいできるだろうけど、そこまでしてコイツらを無視する理由もない。


『斬ッ!』


 即座に剣を抜き放ち、その場で一回転。囲んでいた雑魚を掃討し、アズに向き直る。


「で、アズはどう思う?」

『ごめんなさい、流石にマスターの顔が見えてない間の思考までは読めないわ』

「ああそうか、すまんすまん」


 流石にそれができるのはアイラくらいか。


「今の俺の『頑丈』ってさ、実際どれくらい効果を発揮するのかなって」

『そゆことね。けど、マスターの嫁達はそれについても大体見当はついてるけど、見てて良い気分はしないから黙ってた事も理解はしてるわよね?』

「……まあな。流石にこんな事、彼女達を連れた状態で試そうとは思わないよ」


 いくらステータスが高いと言っても、俺だって彼女達がゴブリンに囲まれた状態で、無抵抗に短剣で斬られまくるところを見たら、我慢できないだろうし。例えその結果、切り傷一つ負わなかったとしてもだ。


『ふふん、あたし達の事を信頼してくれているのね』

「こっちの世界ではまだステータスが発現して10年くらいしか経ってないけど、そっちでは昔からある馴染み深いルールだろうからな。ステータスが高い事で得られる安心感のラインも、地球側とはまるで異なるだろ。心配性のキュビラですら、何の心配もしてなかっただろ」

『ふふ、はい。そうですね♡』

『んふ。じゃあそうねぇ……。まずマスターは、『頑丈』が46000な上に、物理と魔法の耐性がⅧ。物理攻撃3種と属性耐性はMAX。その硬さと9割カットを加味して、マスターが痛みを覚える条件としては……』


 どきどき。


『『(ブースト)スキル』を使用していない事を前提として、武器や魔法スキルの品格にもよるでしょうけど……。そうね、まずステータス3000以下のただの攻撃は、ほぼ全て無効化できるわよ』

「マジか」

『マジよ。ただ、『全属性耐性』スキルも6種までしかカバーしきれないから、それに含まれない氷や雷、無属性や特殊属性は別の話になるわよ。そこは物理も同じね。物理も『斬・突・打』の3属性以外の物理攻撃……例えば内部破壊だの防御貫通系統だの、そういうのを使われたら無効化できるラインはもっと下げないといけないわ』

「そこまでのスキルを使ってくる奴は、大抵そんなステータスは軽々超えてくるなり、『(ブースト)スキル』を使ってくるだろ」

『ふふ、そうかも♪』


 でもまあ、良い事を聞けたな。やろうと思えば、レベル200程度のモンスターくらいなら、ダメージを受ける心配がほぼ無いという事だ。


『あ、でも気を付けてねマスター』

「ん?」

『ステータスは常時発動型の『(パッシブ)スキル』と似たようなものとはいえ、その有り様は少し異なるわ。だから、『頑丈』のステータスも攻撃を受ける事に意識してないとまともに機能しないの。だから、不意の一撃にはほとんど機能しないのよ』

「え?」

『ほぼ無敵だからってダンジョン内で気を抜いていたら、意外とダメージを受けるわよ?』

「そ、そうなのか……」


 そういや、だいぶ前にアキからのストレートパンチを腹に受けたときは、滅茶苦茶堪えたな。あれもアキから攻撃されるとは思ってなかったから、『頑丈』が機能してなかったのか。まあでもそうか、ダンジョンが出る前とかのステータスが無かったときでも、叩かれると身構えている時と、ボーっとしてる時に受ける時とで、痛みも衝撃も段違いだったもんな。となれば『頑丈』が高いほど不意の一撃で受けるダメージも下がりはするだろうけど、受けるつもりで受けたダメージとは天地の差があってもおかしくはないか。


「……わかった。今まで通り、慢心せずに戦うよ。避けない癖が付いたら、本番でも面倒だしな」

『うんうん、それが良いわ♪』

『たとえダメージのない攻撃でも、全て躱して攻撃に転ずるマスター様の方がカッコイイです♡』

「おう、ありがとな。んじゃ、攻略を再開しようか」

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― 新着の感想 ―
つまり、女王様からの愛(意味深)は受け取れるわけですね←この人ヘンタイです
>殴られた衝撃は来るが、痛みなんてないし、電気が弾けたという感覚しかない。 > そう考えている間も、連中は俺を囲んでボコスカと殴って来ているが、やはり反動で身体が揺れることもなければ、痛みも衝撃も振…
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