ガチャ862回目:万能に至るための切り札
『■◆◆』
『◆■◆◆』
『◆◆■』
『◆■■◆』
大精霊とキュビラが話を続けている。本当に何を言ってるかはさっぱり分からないが、これだけはハッキリと分かる。大精霊からは次第に怒気が溢れ始め、キュビラはなんとか話を続けて情報を引き出そうとしてくれている。
そうしていると、会話の限界を察知した俺はグングニルを取り出した。
『■■?! ◆◆■!』
『マスター様っ!』
大精霊が上げ始めていた腕を俺の方に向け、岩塊でできた鋭い槍を飛翔させてくる。俺はそれを全て弾くと、キュビラに距離を置くよう指示を出した。
この大精霊、あのまま放っておけば、容赦なくキュビラを攻撃していただろう。全く、本当にキレやすい奴だ。人間だろうと異世界の存在だろうと容赦ってもんがない。
「にしても、4属性の中で『土』だけは物理的な側面が強いからできる可能性が高いとは踏んでいたが……。やっぱ、簡単な攻撃なら防ぐことができそうだ」
これが『風』だったらこうはいかないんだよな。早さがあるせいで回避も困難な上に、分散しない威力のせいで防御するリスクも高すぎる。あの岩塊の槍も、直撃すれば重篤なダメージを負いかねないレベルだが、槍で弾ける以上戦いやすくはある。
『◆■!』
「おおう……」
奴が空を指さすと、空の果てに燃え盛る巨岩が出現した。『土』にはそういうことができるとフリッツから聞いてはいたが、目の前にそれが現れると、畏怖よりも驚きが勝るな。文字通り、隕石が降って来たのだ。
あれは、『メテオストライク』か? フリッツが言っていた話によれば、最強魔法の『メテオ』は、もっと視界を埋め尽くすかのような大規模な巨大隕石らしいからな。
あれも言うなれば岩の塊だから、武器で弾いたり貫いたり、やりようによってはぶっ壊すこともできるんだろうが……。
「ものには限度ってもんがあるが、やってみるか!!」
『■◆!』
「ハーフブースト! ……貫け、グングニル!!」
『ドガガッ!!』
全力投擲したグングニルが隕石と激突。グングニルは勢いを止めることなく、そのまま隕石の中心部を破壊しながら完全に貫き、空の果てへと激突。そのままダンジョンの空間を破壊した。
グングニルが目視できない位置に移動し動きを止めたため、武器庫に戻って来たことを確認。すぐに取り出そうとするが、止める。空からは破壊した隕石の残骸が降り注いできていたからだ。
『■◆◆!』
「あー……」
もしかしてと思ったが、破壊した隕石の破片すら攻撃対象として操作できるのか。今度は大小様々な岩塊が勢いよく降り注いでくる。今までなら回避に専念しなければならなかったが、今の俺には迎撃用の手段がある。
「出てこい、レーヴァテイン!」
名称:レリック・レーヴァテイン
品格:≪伝説≫レジェンダリー
種別:剣
武器レベル:61
説明:神をも燃やし尽くすと云われる炎の神剣。神造錬成術で複製したアイテムの為、強い衝撃を受けたり、武技スキルを発動すると破損する。武技スキル『神炎』が使用可能。
タマモに頼んで在庫から出してもらった複製武器だ。ここにくる前に、これ以外にもいくつかの複製武器を借りていた。まあ、無事に返せるかは分からんが。
「燃やし尽くせ、『神炎』!!」
レーヴァテインから炎が発生し、一気に膨れ上がると空に広がる岩塊の全てを飲み込み燃やし尽くした。それと同時にレーヴァテインは崩壊。ダンジョンモンスターと同じように、煙となって消えていった。
流石にアイテムは落とさないけど。
『◆◆■!』
「おっ」
今度は足元が突然泥沼となり、どっぷりと腰まで飲み込まれる。続けて周囲に地割れが起き、泥沼もろとも地の底へと引き摺り込まれていく。
身動きを完全に封じて地の底に閉じ込める寸法か。中々エグい搦手を使ってくるな。これを使われたら、初見で抜け出せるやつはそうはいないだろう。普通なら。
「『次元跳躍』」
地面があるのなら踏み込みができるその為、俺にとって地に足がついている状態での封じ込めはほぼ不可能に近かった。まあ泥沼だけだと使えなかったが、地割れのおかげで大部分が流れて行ったからな。
『■◆!?』
大精霊の背後へと移動したことで俺を見失った奴が、困惑したように周囲を見渡す。俺は気配を消しながらグングニルを呼び出し、技を繰り出した。
「『四天滅殺』!!」
必殺の一撃が『大精霊』に向かう。いくらレベル1000越えの『大精霊』であろうと、その攻撃が当たれば俺の勝利は確定する。それほどの威力が込められた攻撃だった。
「……ッ!?」
だが、勝利を確信するよりも前に、強烈な嫌な予感が全身を駆け巡った。
「くっ、『次元跳躍』!!」
再び次元を渡り、奴から距離を置いた瞬間、先程まで俺がいた場所に鋭利な石柱が何本も出現し、虚空を突き刺した。
あれは、初っ端仕掛けて来た『デスニードル』か。あの魔法、中空からだけじゃなく地面からでも好きに生やせるのか。
『◆◆!』
再び嫌な予感がしてその場から飛び退ると、またしても地面から石柱が伸び、空を突き刺す。
「アマチ殿、助言は必要か?」
「あー……」
みかねたフリッツが声をかけてくる。そういや、戦闘は邪魔しないようにとは伝えたが、口出し無用とは伝えていなかったな。だが、そうだな……。『次元跳躍』による不意打ちにも対処して来たし、奴も距離を置いた俺をどう攻撃するか考えているようだ。手短に、1つだけ聞いておくか。
「『振動感知』について知りたい。あれは地面にいる限り、どこでも感知可能なのか?」
「知覚できる範囲に限度はあるが、微細な振動でも感知可能だ。魔力を馬鹿喰いするが、全力を出せば地中奥深くにいるミミズの動きでも捉えられるぞ」
「なるほど」
相手の魔力は∞だ。
となれば、魔力に限界のない『大精霊』の場合、不意打ちで背後に出現しても、接近すれば『振動感知』の力で、全バレするってことじゃないか。そりゃ、あの一撃すら反応して即座に反撃してくるわけだ。
となれば、地上戦は分が悪い。空中から仕留めるほかなさそうだ。
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