ガチャ851回目:恒例のアイテム整理③
テレサはその後、再び自室へと戻って行った。残っていけばいいのに、皆に遠慮しちゃったみたいだな。
さて、『Aスキル』の続きだ。
名前:空間殺法Lv5
品格:≪最高≫エピック
種類:アーツスキル
説明:指定した空間内に存在する敵対存在に対し、どのように行動すれば効率よく攻撃できるかの予測線を、スキルレベル数分の候補が知覚できるようになるスキル。
★:自身と対象のステータス差を正確に把握しているほど精度が向上する。
なるほど、攻撃手段のルートを自分で考えなくてもスキルが教えてくれるようになるサポートスキルか。便利ではあるけど、これに頼ってばかりだとワンパターン化するし、それは強者には付け込まれる隙にもなる。このスキルは使うのは程々にして、本当にサポートとして考えておくとするか。
とりあえず強化機に突っ込んでMAX化させて取得するか。
……よし、次は魔法だな。
名前:影操作Lv2
品格:≪固有≫ユニーク
種類:アーツスキル
説明:自身の周囲にある影を意のままに操る事が可能なスキル。ただし、影の発生点は動かす事ができず、影の総量や濃度を変えることも不可能。
これは何というか、モンスターが持っていた『影潜り』とか、影を使った他のスキルがなければただの一発芸にしかならないスキルだな。影を操ったところでそれが物理的な障害にはならないだろうし。
まあ、他のスキルの進化の種子になるかもしれない以上、MAX化した上で覚えるけどね?
名前:毛髪成長LvMAX
品格:≪希少≫レア
種類:アーツスキル
説明:自身の毛髪を成長させ、任意で操作する事が可能。操作可能なのは毛髪に限られ、他の部位にある毛根には影響を及ぼせない。
★:毛穴さえあれば抜け落ちていても生やす事が可能。
★:このスキルを使用時、消費するのは魔力ではなく体内のエネルギーを消耗する。
体内エネルギーか。それってつまり、体力や気力というよりも、身体に蓄えてある栄養素を使うとか、そういう感じなのかもな。
「これがあれば、その日の気分でロングやショートカットが選べるってことよね?」
「素晴らしいですわね!」
「一部の人々が、心から欲していそうなスキルですね。ですがそれはそれとして、私達のオシャレにも使えそうですが」
「ショウタさん。私のロングヘアとか、見てみたいですか?」
「そりゃね。絶対可愛いだろうし。ただ、取得する分には嫌な予感はしないけど、体内エネルギーって書いてる以上1日の使用制限は設けるべきだと思う。お腹に子供がいるんだし、連続使用は控えてね」
「はいっ」
「はいですわ!」
「ねえショウタ君。他の皆にも後で渡しちゃって良い?」
「良いよ。けど、注意事項はちゃんと伝えてね」
「任せてー」
「せっかくですし、ご主人様も取得しましょう」
「えぇ……? 要らなくない?」
俺が髪を伸ばしても誰得というか。いや、彼女達は得かもしれないが、俺にメリットが無い気がするぞ。
「何かしらの進化の素材になるかもしれないではないですか」
「これが足しになる未来は見えないし、なったとしてもそれは俺にとって必要なスキルになるとは到底思えないんだが?」
「例えば近接戦闘において、この先ご主人様が苦労する相手と激突する機会があったとしましょう」
「ん? ……うん、それで?」
「激戦が起きれば、それは紙一重の戦いになるはずです。となれば文字通り髪一重の攻撃を受けて、髪型が崩れるかもしれないでしょう」
「なんか、文字が違くないか?」
「細かい事は良いのです。戦闘で失った髪は、魔法による治療の対象外である事はご主人様もよくご存知でしょう」
「……まあ、そうだな」
『風の大精霊』戦で片耳が吹き飛んだ時に、治療で耳は戻ったけど一緒に消し飛んだ髪までは元通りとはいかなかったんだよな。といっても、あの時失った部分は本当にごく僅かなもので、違いに気付けるのはうちの嫁達くらいなものだったから、俺も大して気にも留めてなかったんだが。
「わかったよ、取得すれば良いんだろ」
「流石ご主人様、英断です」
アイラとそんなやりとりをしている内に、うちの嫁達は伸びた髪を使用して絶賛イメチェン中だった。まあ『毛髪成長LvMAX』は2個しか無くても、『毛髪成長Lv2』は1360個もあるんだからな。1人当たり5個で消費したところで、減った気すらしないだろう。
「んー、一気に伸ばすとちょっと疲れるけど、ゆっくりなら特に問題ないわね。速度が上がると消耗度も跳ね上がる感じかな?」
「しっかり意識して操作しないと、前髪も一緒に伸びてくるので大変ですわね」
まあイメチェンで伸ばすにしても、やっぱり必要なのは側面や背面の髪だけであって、前面は不要だよな。何の調整もしなけりゃ、和風ホラーみたいな感じになっちゃうだろう。
現に、伸びすぎてしまった髪は切ったらしく、金や桃色の髪がテーブルの上で塊になっていた。
「あ、ショウタさん。お母さんのように腰まで伸びる髪を真似てみたんですけど、どうでしょうか?」
出会った頃からマキはショートヘアで、ミキ義母さんのようなロングや、アキみたいなポニテを想像する機会はいくらでもあった。それが今、現実に目の前にいる。やっぱスキルってのは凄いな。こんな簡単に、不可能を可能にする。
「ああ、想像していた通りにとても似合ってるよ。ロングのマキも可愛いな」
「えへへ。嬉しいです」
その後、スキルチェックは一時中断となり、彼女達のイメチェン熱が少し冷めるまで髪型チェンジで盛り上がっていた。ちなみに結局俺もこの場で伸ばすことになったのだが、調整が面倒だったのとセンスが無いのとで、前も含めて全部を伸ばして、彼女達に丸投げした。
オモチャにはされたが、まあ彼女達が楽しそうだし別にいいかな。ただ、次にダンジョンに行くときには、元の髪型に戻してもらうが。流石に頭が重いのは違和感しかない。
「「「ええ~?」」」
髪を切る事は不評だったが、こればっかりは俺も許可できない。絶対他所から見たら、あのロン毛男は誰だよってなるし。『毛髪成長』の実演? それは嫁の魅力パワーで十分だろ。
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