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ガチャ845回目:商機

 カスミ達と合流した俺たちは、そのままホテルをチェックアウトし、『妖怪ダンジョン』へと潜って行った。そしてそこでは、俺が想像していた以上の光景が広がっていた。


「うわー、すっごい人数」

「大繁盛ですわ」

「たった1日でこれでしょ? 時間が経てばもっと集まるわよ、コレ」

『良かったわねマスター。彫像の数を5体に設定しておいて』

「全くだ。1体だったらどんなことになっていたやら」


 そう、『運』を強制的に20に引き上げる彫像に向かって、何百人もの人々が押し寄せていたのだ。

 思えば、ダンジョン前も協会付近も凄い人だかりになっていた様な気がする。俺達は今、家族皆で集まって行動しているから目立ってるだけだと思って、深くはその理由まで考えなかったんだけど……原因はこっちにあったのか。


「ショウタ君に対しては基本的に、外で会ってもノータッチがルールとして広まってるから、声は掛けられないものね」

「人気者であるが故に、集まった人々の目的が自分達でなかった場合を想定できないのも、致し方ないかもしれませんね」

「そう言われると、勘違いしてたみたいで恥ずかしいな」


 まあそれはともかくとして、俺たちがここに来たのは『001ダンジョン』に入るためだ。すでに注目を集めてはいるが、このまま入ってしまおう。

 俺達は外へと通じる階段の裏手に回り込み、不可視の壁をくぐり抜けていく。そうして辿り着いたメインストリートでは、大量の狐族達が出迎えてくれた。


『おかえりなさいませ、ご主人様!』

「おう、ただいまー」


 目の前に広がるもふもふパラダイスに、初めてやって来た嫁達は目を輝かせた。一人違うことを考えていそうな奴もいるが……。多分、俺と同じことを考えているかもしれない。


「ご主人様」

「ああ」

「私はここに、商機を感じました」

「題して、狐巫女メイド喫茶か?」

「流石ですね、ご主人様。大体そんな感じです」

「まあ、市民権を得たところで、その先何するかは決まってないもんな。自分達で生きていく様にするためにも、働き口は考えないといけないと思ってはいた。レベルは最低でも100を超えるから、冒険者もありといえばありではあったが……」


 この破壊力、今回だけで終わらせるのは、非常に勿体無い。


「しかし、住民達全員を同じ職に就けるわけにもいきません。1職15人から20人くらいとして、あと4、5職ほどネタを考えましょう」

「接客はギリありだけど、水系は無しな。この子達、本当にちょろいから」

「承知しておりますとも」

『そう言うことなら、あたしも一枚噛ませてよマスター♪』

『マスター様。私も微力ながらお手伝いさせてください』

「ああ、勿論。……とりあえず、巫女メイドは冒険者向けって事で良いかな? 一般人にはあの子達の魅力は暴力的すぎる」

「そうですね。私ですら、今葛藤をしている最中です」

「アイラも可愛いものが好きなのは知ってる。だから、俺たちの前なら遠慮しなくて良いぞ」

「……で、では失礼します」


 ちょっと逡巡したようだったが、欲望には抗えなかったらしい。俺はまあ、普段からアヤ猫とかキュビラを撫でてるから、そういう欲求は満たされてるんだけど。……まあでもあれは別腹か?

 てか自制心の強いアイラですらこれなら、冒険者って縛りだけじゃなく、厳正な審査を挟んだ方が良いかもしれんな。

 などと考えつつも、俺の両手はキュビラとアズに伸びていた。


『んふ、もうマスターったら♪』

『マスター様♡』

「さて、それじゃあダンジョンの座標を移動させるか。やっぱコアルームでないとダメなのかな」

『流石にそうじゃない?』

「だよな。おーいイズミー」

「あ、はーい☆」


 呼べばすぐ理解したらしく、イズミが飛びついてくる。そうして俺たちは、すぐさまコアルームに移動した。



◇◇◇◇◇◇◇◇



「ダンジョンコア。日本の地図とその周辺に広がる『楔システム』の状況を映し出してくれ」

『許可。表示します』


 そうして表示された情報には、『琵琶湖ダンジョン』の楔もしっかりと反映された地図が映し出された。

 うーん、この三角形に見えなくもない四角形って感じだな。もうちょっとでも『琵琶湖ダンジョン』が東側だったなら、『妖怪ダンジョン』は『楔システム』の結界の内側になっていたことだろう。


「ダンジョンコア。この001居住エリアを移動させたいんだが、この結界内であればどこでも可能なんだったな?」

『肯定』

「それはダンジョン内でも、ダンジョン外でも可能って話で、どっちに設置しても配置のし直しには、どっちでも7日掛かるんだったよな」

『肯定。確認。補足。ダンジョン内の場合はノーコストで再配置が可能ですが、ダンジョン外の場合、座標が固定されてしまうため、移転には膨大なエネルギーが必要です』


 おおう。


「ちなみにおいくらくらい……」

『確認。……設置時間1時間おきに『魔石ポイント』5万です』

「それって最短の7日の場合でも、840万ポイント……? ちょっと高すぎるな」


 これは、なるべく変えない方向で行きつつ、もし移転するにしても早め早めを意識しなきゃならんな。


「となれば、一旦の仮設場所として『バトルアリーナ』内にある、俺達の家に通じてるワープゲートのそばにしておこうか。それなら不便は少ないだろうし」

『良いんじゃない?』

「良いと思うわ☆」

『マスター様にお任せ致します♡』

「よし、ダンジョンコア。『777ダンジョン』のマップを出してくれ」

『許可』


 そうして特に問題なく、移設はスムーズに完了。新たに増えた共有ポイントの確認を行なった。その結果、(3+11+1)+(3×11×1)となったため、48ポイントに増加していた。やっぱ、支配数が増えると一気にポイントが増加するな。

 ここにシルヴィの分が増えても1しか増えないけど、エスの方でももう1つ何かしらクリアしたら、ポイントは跳ね上がる事だろう。

 現時点でも余っているポイントは18もあるが、シルヴィにはマップを与えたいところだし、無駄遣いはできない。なのでとりあえずイズミに3Pの『テイムⅩ』、アズに7Pの『アトラスの縮図Ⅲ』をコピーさせるだけに留めておく事にしたのだった。


「お兄様、ありがと!」

「あとはイズミ達がイクサバに勝つだけだ。励めよ」

「うん!」

『マスター、あたしもありがとう!』

「ああ。といっても、001はうちと直通になったから、謁見の間の為に使うことは無くなったけどな」

『それでもよ。力の一端を貸してくれた事が嬉しいの♪』

「そうか」


 そう言って、アズはいつも以上に甘えてくるのだった。

『楔システム』の形状がそれなりに変化したので、現状を公開。まあ大体こんな感じです。

https://x.com/hiyuu_niyna/status/1909968298089021475


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>>水 いや……余程のケモナーでないと、キツネとしたいだなんて思わないような気も ちなみに理論上、アイドル等も(職業的に)水物ですのでご注意を
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