ガチャ844回目:顔合わせ
「お兄ちゃん、ただいまー!」
「おう、おかえり皆」
記者会見の翌日、『琵琶湖ダンジョン』の攻略を終えたカスミ達が帰って来たので、ホテルにて合流を果たす。彼女達全員とゆっくりじっくりハグをしてから、俺の方で起きた事の顛末と、新しく『テイム』した面々を紹介する。
「まずはダンジョンボス組から行くか。こいつはキュビラ。『妖怪ダンジョン』のボスで、今は俺のペットだ」
『マスター様の第二ペットのキュビラと申します。皆々様、よろしくお願いします』
キュビラは礼儀正しく姿勢を正し、ぺこりとお辞儀をした。
彼女は普通に清楚だし、こんな美人の巫女さんがいたら、その神社は参拝客でごった返していそうだな。
「「「「「おおー!」」」」」
「ニュースは見させていただきましたが、本当に狐なんですね。向こうでも神職をされていたのですか?」
イリーナは同じ神職として、驚きよりもそっちに興味があるみたいだな。
『いえ、この格好はこの国に降り立った際に仕入れた情報の中にあったので、お姫様がいたく気に入った為、私や弟妹達の分も合わせて自作をしたものになります』
「お兄さんの趣味かと思ったな~」
「んなわけないだろ」
「えー? 掲示板でも話題になってたよ☆」
マジか。
「……まあでも、その服をチョイスしたのは良いセンスだとは思うぞ。キュビラ」
『ふふ、ありがとうございます、マスター様♡』
「おっとぉ?」
「ふーん?」
妹達がニヤニヤとこっちを見てくる。言いたいことは分かるが、実際その通りなので何も言い返せん。
「んじゃ次。諸悪の根源兼、ある意味この国が今無事に稼働している影の立役者でもある、『001ダンジョン』のダンジョンボスであるタマモだ」
『よろしくお願いします』
「あ、えと……。よろしくお願いします?」
初手から土下座外交を始めるタマモに、皆ドン引きだった。まあ、見た目幼女の狐巫女から、出会い頭に土下座されたら困惑もするわな。
「まあこいつの処遇はサクヤさんにぶん投げるから、皆はさほど気にしなくていい。全部が終わって顔を再び合わせる事があったら、その時に改めて話をすればいい」
彼女達が頷くのを確認し、最後の『テイム』モンスターを紹介する。
「そして最後に、イクサバだ。コイツは出会った当初はレベル300のレアモンスターだったんだが、俺が連れ回した結果レベルが一気に830にまで上がっちまった」
『そなたらが、主君の妹君でありながらも妻の方々でありますな。以後、よろしくお頼み申す』
「「「「「「よろしくお願いします!」」」」」」
『そして主君、貴方様のおかげで、我はまた一歩全盛期に近付くことができましたぞ』
「ああ、そうだな」
300と800台では、ステータスが2.5倍以上違ってくる。しかも、本調子にはまだほど遠いらしいし、一体イクサバは、向こうではどれだけの猛者だったのやら。
本気を出す前と後では魔石の種類も違ってたし、もしかしたら固有の魔石も持ってたんじゃ無いかと疑っている。
「で、ここから大事な話なんだが、イクサバはめちゃくちゃ強い。が、俺のチームに入れるにはちょっと持て余すんだ。ただでさえSランク5人の嫁達とアズが付いてるから、過剰戦力な訳だな」
「ふむふむ」
それでも彼の存在には、第六層で助けられたんだが。
「だから、シャルの抜けた事でできた火力という穴を埋めるために、お前達のチームに参加させたいと思っている」
「おおー」
「本当ですか、兄上!」
「ああ。だが、それについてはイクサバから条件がある。イクサバ、言ってくれ」
『主らは主君の妹であり妻。本来であれば主らにも忠誠を誓い義務を果たすべきであるが、共に戦うとなればまた別の話である。よって、お主らの実力を試させてもらいたい。無論、我も想定外に強くなってしまった故、加減はするが……』
「「「「「「いりません!!」」」」」」
『むっ?』
カスミ達はイクサバの申し出を拒否した。理由を聞けば、これから認めてもらい対等に並んで戦うのであれば、手加減なんて不要だと考えているらしい。
まあ気持ちは分かるし、その覚悟だけでイクサバはもう満足気だった。
『流石は主君が認めた者達ですな。骨のある方々だ』
「だろ? でもまあ、300の時ならタイマンを許可していたが、流石に800越えはそこらのダンジョンボスよりも強いのは確かだ。カスミ達はチームで挑んでくれ」
「……はぁい」
「お兄様は本当に心配性ね☆」
「当たり前だろ。俺的には、ダンジョンを攻略して『楔システム』を広げてくれるのは本当にありがたいと思っているけど、『名古屋城ダンジョン』と『八尺鏡野ダンジョン』を含めた西側の制覇がある程度終われば、休んでいて欲しいとも思ってるんだ。その頃には大きくなってると思うし」
まだ妊娠一ヶ月前後といったところだろうし、1つのダンジョン攻略に最速で1週間ほど、長くても2週間程度と考えれば、休みを入れれば5個くらい攻略する頃には余裕で2、3ヶ月は経過しているだろう。その頃にはそれなりに目立って来てるはずだし、うちの嫁達4人が休み始めたのもちょうどその頃だ。
正直、妊娠中の冒険活動は気にするほどでは無いと頭でも『直感』でも理解はしてるんだが、感情的にはやっぱな。
『主君、大きくとは?』
「彼女達も、胎の中に俺の子がいるんだ」
『なんと! それは大変喜ばしいことではありますが、本当に良いのですか、主君』
「試合とはいえ実戦形式であれば、彼女達にも『金剛外装』を渡してある。アレの能力は知ってるだろ?」
『ふむ……。確かに、アレならばダメージはありますまい。ですが……』
「イクサバ、辞退するのは無しだ。見極めもなしに共に戦うのはイクサバの信念に反するし、彼女達にも矜持はある。悪いが付き合ってやってくれ」
『……主君の命、承りましたぞ』
「おう、よろしくな」
顔合わせはこれで終わり。イクサバとカスミ達との関係については、あとはもう彼女達に任せて十分だろう。
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