ガチャ841回目:スキルの欠片だったもの
さてと。
「ダンジョンコア、居住区の移動機能についての詳細が知りたい。『楔システム』の範囲内ならどこにでも移動が可能なのか?」
『肯定』
この移動システムについて、あれこれ質問して分かったのは以下の内容だった。
・ダンジョン内外問わず望んだ場所に001の入口を設置することが可能。
・入口の設置上限数はダンジョン内外問わず1個まで。
・入口の再変更には7日掛かる。
あと、改築することに関してもちょっと追加で聞いてみた。
・現状は完全に居住型ダンジョンとしてシステムが登録されている為、居住型にふさわしくない変更は不可能。
・モンスターを出現させることも現状不可能。
・スタンピードもモンスターがいない為発生不可能。
・住人達が安全に居住するに足る条件さえ満たされていれば、ある程度改築、改造する余地がある。
とのことだった。
「……なんなら、関西に来ている嫁達をここに招き入れてから、うちの敷地内に入口を移転させてから外に出れば、住人をマップ移動なしに簡単に招き入れることも可能なわけか……」
ふむ。関東の拠点に帰る際、彼らの移動はネックではあったんだが、それができるなら気を揉む必要はなさそうだな。
100人の移送となれば、バス数台を借りての大移動とかが現実的ではあったが、面倒といえば面倒だったからな。子供たちは喜んでくれるかもしれないが、そういう行事はもうちょっとこの世界について知ってもらってからの方が良いだろう。
「んじゃ、続いてタマモのスキルについていくつか聞いておきたい」
『なんでも答えるのじゃ』
「タマモの持ってるスキルの中で、『幻想』スキルはあるか?」
『『傾国の美女EX』と『スキル強制』なのじゃ』
「おお、やはりそうか。ちなみに、『高位伝説』はどうだ?」
「そっちは、『神造錬成術』と『錬金術の極地』と『錬成術の極地』なのじゃ」
なるほど。納得のラインナップだ。しかし、スキル名的にも効果的にも、『神造錬成術』は『幻想』くらいありえるかと思ってたが、『高位伝説』止まりだったか。武器の製造スキルも気になるところではあるが、『一度本物を見た』という条件があるのなら、俺では扱えないし今は良いや。
それよりも本題に入ろう。
「んじゃ改めて、タマモのわかる範囲で『スキル強制』についての効果を教えてくれ」
『はいなのじゃ』
そうして語られた効果は以下の内容だった。
・自身が取得しているスキルをどれか一つ、相手に植え付ける。
・植え付けたスキルは自分の元から消えずに残る。
・相手が取得しているスキルのうち、魔力を消費するもの以外であれば、いくらでも強制的に発動状態に持っていくことができる。
・このスキルを通して発動状態にしているスキルは、対象の意志ではOFFにはできない。
・操作可能な人数は1人まで。
・一度植え付けると相手が死なない限り取り外しは不可能。
・植え付けた相手の位置が手に取るようにわかる。
・植え付ける際は認識さえできていれば遠隔でも可能。
・対象が知覚できていればいつでもスキルの有効化および無効化が可能。
「……うん、やっぱり良いな、そのスキル」
『お、お気に召しましたでしょうか』
「ああ。そのスキル、貰うぞ」
『え?』
俺は『異次元の腰巾着』に収納していたオーブを取り出した。
これは、以前ガチャからオーブの欠片を合体させて取得した特殊なスキルオーブだ。これは今まで使いどころが無くて困ってたんだが、丁度欲しかったスキルを持っている相手が現れてくれて本当に良かった。
名前:完全コピーのオーブ
品格:≪高位伝説≫ハイ・レジェンダリー
種別:アーティファクト
説明:人間・モンスター問わず、対象に使用しスキルを宣言する事でほぼ全てのスキルをコピーする事が可能。
★一部『幻想』スキルには効果が適用されない。
『な、な、なんなのじゃそれはー!?』
『マスター、そんなすごいの持ってたの?』
『すごいです、マスター様♡』
うん、タマモも猫かぶりをやめて素が出るくらいには驚いてるな。
いやー、これが出たときはこっそり『レベルガチャ』に使用できないか試したんだが、ダメだったんだよな。エスやエンリルの『風』も同じく駄目だったことから、唯一無二のスキルは特別なルートでなければ複製ができないんだと思う。そして『レベルガチャ』は多分どうやってもコピーできない。
ただ、全部が全部そうなのではなく、一部と記載されている以上、このアイテムで複製が可能な『幻想』スキルもあるってことだろうと踏んだ。恐らくだがダンジョンから排出される類の『幻想』ではなく、モンスターが持っている特別な『幻想』なら可能性はあるのではないかと睨んだわけだ。
世界に1個しかないと云われているのも、結局は人類がそう認識してるだけであって、『風』や『水』しかり、『傾国の美女EX』しかり、複製する事で入手する機会はそれなりにあると思われる。
「タマモが所持する『スキル強制』をコピーする!」
【使用者の意志を確認】
【対象者のスキルを確認】
【コピースキルを特定】
【スキルをコピーします】
手元にあった『完全コピーのオーブ』が光り輝き、1つのスキルオーブへと変化した。
名前:スキル強制
品格:≪幻想≫ファンタズマ
種別:ユニークスキル
説明:使用者が取得しているスキルの中から1つを、任意の対象に付与する事が可能。付与可能スキルは魔力を消費しないスキルに限られる。スキルを付与した対象には、当人の意志に関係なく魔力を介さないスキルの強制ON/OFFが可能。
★このスキルによって有効化中のスキルは、付与対象者からの操作権限が失われる。
★一部『幻想』スキルは付与の対象外。
★付与するスキル人数は1人まで。
★付与対象の位置が常に把握可能。
「うん、できたな」
『!!?』
『おおー!』
『わぁ!』
タマモがポカーンとし、アズとキュビラが拍手を送ってくれる。
うーん、気持ちが良い。ダンジョンの共有システムじゃ『幻想』のスキルはコピーできないからな。抜け穴があってくれて助かった。
『それでマスター、そのスキルは何に使うの?』
「ああ、使い道はあるんだが、一旦これは使わずに置いておく。後で強化がしたいからな」
『なるほどねー♪』
『『強化……?』』
2人が疑問を浮かべているが、説明はあとだ。ひとまずダンジョンから出て、外に帰還しないとな。
「ああタマモ、外に連れて行く子達を選別してくれ。遠足は長くても1日か2日くらいを予定してるから、それもしっかり伝えてくれな」
『……は、はい。わかりましたのじゃ!』
なんか、猫かぶりが若干ほぐれて、良い感じになったか?
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