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ガチャ832回目:ダンジョン魔改造

「よーし、こんなもんかな」

『ふふ、マスターったら、大改築ね♪』

『ああ、私が任されたダンジョンが、すごくシンプルな姿に……』


 アズは俺が改築する様子を楽しそうに見ていたが、キュビラは戦々恐々といった様子だった。まあ、『バトルアリーナ』レベルの大改築を行うんだし、この反応は正常か。

 今まで通りモンスターは出るけど、特殊な階層を作って第三層以降のモンスターはそこに全集約したからな。割とカオスな状況になった気がする。

 各階層の変化は以下。


・第一、第二層:構造はそのまま。ただし、狐の彫像は、効果を変更した上で人通りの多い場所に再配置する。

 →『運が20以下の場合、3日間運を0に変更する』から

 →『運が20未満の場合、3時間運を20に変更する。再使用時間24時間』に再設定した。


 これで、多少はこのダンジョンも賑わうだろう。ちなみに、プラス効果は3時間よりも長くしようとするととんでもなくキャパシティを浪費するため、これくらいのお祭り設定が限界だった。やっぱり、『運』に影響を及ぼすギミックって、かなり負担がでかいみたいだな。

 アズのダンジョンでは、征服王が苦し紛れにドロップ1/10なんて暴挙に出たけど、あれもデバフだったからかそこまで負担はなかったらしい。それでも常態化するのは難しいようだったが。やっぱりダンジョンの設定って、何かしらの基準を持ってバランスを取るよう設計されてる感じがする。


・第三層:ここからは完全に俺が設計し直した。まず旧第五層である安全エリアを第三層として配置し、東西南北に封印された4つの門を設置。それらは四神の門そのものであり、俺の許可が無ければ進入不可。それらを潜ると彼らの待つ専用フィールドに繋がるよう作り替えておいた。これで他人が巻き込まれるような事故も起きないだろう。

 ちなみに四神はその存在が強大すぎて、管理者の権限を持ってしても出現ポイントの移動が不可能だったため、彼らが眠るバトルフィールドを直接繋げる形でなんとかなった。つまり、新第三層の門の先はそれぞれ、旧第三層、旧第四層、旧第六層、旧第七層……といった具合だ。

 また、青龍と朱雀については、塀の外側にいたモンスター達を別階層に移動させたため、塀はそのままダンジョンの壁に設計し直しておいた。


・第四層:第三層にある階段を降りることで到着する最終エリア。本来の第三、第四に出現した雑魚モンスター全種を均等に配置し、狩りをしやすいように調整を施した。これで一般的なダンジョンと同様の仕様になったはずだ。


・第五層:隠し最終層。入口は第一層の外に繋がる階段横。俺の許可なしには感知・侵入は不可。ここはキュビラの居城というか、ボスエリアにもなっていた彼女の社があるエリアだ。この階層は彼女の家でもあったらしく、潰すのはもったいないので別荘みたいな形で再利用する事にした。そしてこの第五層には門を設置しており、そこが『001ダンジョン』と繋がるゲートとなっている。これも俺が許可しなければ相互に行き来ができない仕様にしてある。

 コレについては今後はどうなるかは不明だが、現時点ではこうしていないと向こうの住人達が好きに出入りできちゃうから、仕方ない措置だ。


「あとはコレを実行すれば、改築前と後が完全に入れ替わる訳だ」

『マスター、第三層以降は誰もいない状態になったわ♪』

『……』


 キュビラは全てを受け入れ諦めたのか、耳も尻尾も表情もしょんぼりしてしまっていたので、とりあえず撫でておく事にした。よしよし。

 まあ、だからといって改造をやめたりはしないが。


「それじゃ、ポチッとな」

『許可。ダンジョン構成を変更……完了しました。元データはバックアップしますか?』

「一応残しといて」

『許可。保存します』


 さて、これで乗り込む準備は万端な訳だが、その前にやることがある。


「キュビラ」

『はい、マスター様』

「お前は弟妹達を守るために、自身と弟妹達の身体を俺に捧げた訳だが、ソレは彼らは把握しているのか?」

『……いえ、私の独断です。本来であればお姫様と相談をしたかったのですが、私の立場は鍵持ちのダンジョンボスです。その為、ダンジョン内に侵入者がいる状態で、お姫様のダンジョンに移動することはできなかったのです』

「そうなのか。そりゃ意思の疎通は取れないのも仕方がないが……。逆に、タマモはこっちに来なかったのか?」

『一月前までは頻繁にこちらに来られて様子を見ておられたのですが、ここの所はあまり……』

「なるほど、アズの言った通りになった訳だ」

『ふふ、恐怖の鮮度が落ちちゃったわね♪』


 タイミングの悪い奴め。


「まあそういうことだから、ダンジョンが支配された通知を受け取って、平常心でいられるとは思えん。いくら狐族が温厚な種族だからって、そんな状態で俺が乗り込んだりしたら、お前の弟妹達から攻撃されかねんぞ?」

『も、申し訳ありません……!』


 まあ、通知を送ったのはタマモをビビらせる為にやった事だから、後悔は無いんだが。それに、対策はしっかり考えてある。


『で、では私が真っ先に赴き、説得を……』

「駄目だ」


 今のキュビラは、俺と()()()()()()()()ていなのだ。そんな状態で説得したところで、全員が納得するとは思えん。狐族の人となりが分からないから余計にな。


『……なるほど、そういうことねマスター♪』


 アズは察したらしい。今から俺がやろうとしている事に。


『えっと、ではどうすれば……』

「簡単だ。お前が望んで俺の下についたんだと、彼らに態度で示せれば良い。そうすれば反感を持たれることもないだろうよ」

『ふふ。協力するわ、マスター♪』


 アズは俺の『異次元の腰巾着』からベッドを取り出し、床に置いた。さすがアズ、分かってる。


『え? え? ……ええーっ!?』


 ここからは、大人の時間だ!

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あっ…(察し)
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