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ガチャ831回目:管理者レベル10

 耳や尻尾を堪能し、ある程度満足したところで息も絶え絶えな様子のキュビラに確認する。


「なあキュビラ、好きに触って良いって契約、当然俺の家族も含まれるよな?」

『は、はひ。私達はマスター様の所持物ですから、酷い目に遭わされなければ大丈夫です』

「だそうだ。皆、触って良いぞ」


 その一声に、俺がモフってる間興味津々と言った様子だった女性陣がキュビラを取り囲み、揉みくちゃにし始めた。


『ひゃああああ!?』

『ゴゴ?』

『ポーポポ?』

「そうだな。お前達にとっては新しい妹だな」

『♪♪』

『キュイ!』

『ププルプル』


 そうしてエンキ達は、順番待ちをするように彼女達の後ろで待機し始めた。今の時点でもキュビラは大変な目に遭ってるが、解放される頃には虫の息かもしれないな。

 んで、この騒ぎに参加しなかったのはアズと、イクサバの2人だけだった。イクサバはまあそういうのに関心がないのは見て分かるが、アズの場合は事情が異なる気がする。


「さて、アズ」

『はーい♪』

「あれ、お前の顔見知りだよな?」

『ええ、そうね♪』

「だよな。タマモの親衛隊なんて称号もあるくらいだし、知ってなきゃおかしいレベルだ。タマモはお前の配下らしいし……。んで、アズは一度も口を挟まなかったってことは、キュビラが言ってた情報は全部真実ってことで良いのか?」

『そうね。元々、『001ダンジョン』には希少種である狐族の子達をまとめて連れて来るって予定だったの。だから、このダンジョンの奥に隠されたあっち側に、キュビラの弟妹達がいるはずよ』

「へー。それって何人くらい?」

『ざっと100人ってところね』

「……え?」


 一桁くらい多くないか?


『狐族は希少種だけど、多産だもの。兄弟が沢山いるのはよくあることよ』

「そうなのか……。じゃあ、001には他にも大勢の狐族がいるのか?」

『いいえ。100あるダンジョンのうち、意識や自我を保ったまま移動できる存在の数は限られているの。だから、あたしの侵略計画の中に参加できたのは、キュビラの氏族だけね』

「……ふうん?」


 今の言葉には万感の思いが込められているのを感じた。アズがこの世界に来る折、置いていくことになってしまった者達も結構いるのかもしれないな。そんな彼らを置いて行ってまで、侵略して来る必要があったって事か。その理由も気になるが、どうせノイズになるだろうし、今は後回しだな。


「それでアズ、001にいるその子達は意識や自我を保ってるって話だが、その子達はある意味で、向こうからの避難民って認識で良いのか?」

『そうね、その認識で良いと思うわ。けど、戦闘ができない訳ではないわよ。そうねえ、弱体化して大体……レベル100から200くらいかしら』


 向こうの一般人はこっちの一般人とはレベルが違いすぎるな。立派な兵隊じゃんそれ。

 とにかく、第七層もボス部屋もあっさりと終わってしまったし、もうこのまま『No.001』まで乗り込むか。


「キュビラー」

『はぇ……? ひゃいっ?!』


 あー、彼女達に揉みくちゃにされて、軽く意識が飛んでたな。そしてしっかり堪能した彼女達は満足そうにしていた。エンキ達は挨拶しようとしてたが、彼女がぼんやり気味だったので保留になったらしく手持ち無沙汰になってた。

 しかし、俺の嫁はあと10人いるんだが、果たして彼女は耐えられるだろうか?


「001に行きたいんだけど、どうすりゃ良い訳?」

『は、はい。私は権限で移動できるようにしているのですが、マスター様や他の方々もとなると、一旦このダンジョンを支配した上で改造する他ないかと……』

「ああ、やっぱそのパターンか。物理的に接続はされてないんだな」

『はい。安全のためにもそうするしかない状態でして……』

「分かった。じゃあコアルームに行くから、ひとまず……。アズ、キュビラ、おいで」

『はーい♪』

『は、はいっ!』


 アズがウキウキで俺の片腕に抱き着き、キュビラもおずおずと反対側に立った。腰が抜けているはずなのにその動きは機敏だった。今までのが演技って訳でもなさそうだし、立ち直りが早そうだな。

 ……あ、脚が若干プルプルしてる。無理してるだけか。


「エンキ達は、これが終わるまでちょっと待っててな」

『ゴゴ!』

「それから、ちょっと()()()()かもしれないから、皆は拠点建ててのんびりしてて」

「ん。分かった」

「「行ってらっしゃいませ」」

「「行ってらっしゃいー」」

「おう、行って来ます! んじゃ、管理者の鍵を使用する」


【所持者の意思を確認】


【管理者キー 起動】


【管理No.454】

【ダンジョンコアへ移動します】



◇◇◇◇◇◇◇◇



 いつも通りの真っ白な空間。

 とりあえずパネルに手を伸ばしてみると、現れたのは鬼火のような、『ウィルオウィスプ』のような、燃え上がる炎のような姿のダンジョンコアだった。まあ『玄武』の言葉を基にこのダンジョンの成り立ちを思えば、ここは狐と四神のダンジョンではなく、本当に妖怪系統だけの別ダンジョンだったんだろうな。

 それを思えば鬼火系のコアでも特段おかしな話ではないか。


『ようこそ、管理者様』

「おう」

『私は当ダンジョンを管理する端末AI、ダンジョンコアです。……貴方様は中枢キーを1つ、末端キーを9つお持ちなのですね。本日はどのようなご用件でしょうか』

「まずはこのダンジョンのスタンピード設定をオフに。通知はあとで纏めて行うから保留で」

『許可。……実行しました。現在ダンジョンNo.454のスタンピード設定はオフです。通知は以前までの設定で準備中。現在保留中です』

「『楔システム』による連結は……001が邪魔でできないか?」

『肯定。ダンジョンNo.001とNo.454は位相が同じ位置にあるため実行不可』

「やっぱりか」


 なら……そうだな。001と物理的にパスを繋げるならダンジョンの改造が必須だし、このダンジョンはまとめてリフォームしちまうか。

 キョウシロウさんは通知が来たら外に出るって言ってたし、先に通知を流してしまおう。


「んじゃ、重圧の消去とドロップアップを各階層に反映の上、永続化してくれ。そしてそれも含めて、さっきの通知を今まで通りの設定で実行だ」

『許可。……実行しました』


 これでキョウシロウさんは外に出ていくはずだ。あと、重圧が消えた影響か、第一層には他の冒険者が結構な数いるみたいだな。

 まあ、改造予定なのは第三層以降だし、彼らに影響が出ることはまずないだろう。あ、でも第一層でやりたい事があったな。よーし、それも含めて改造を始めていくぞー。

読者の皆様へ


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― 新着の感想 ―
不快で危険なダンジョンが、なんということでしょう…!
ナニで遅くなりそうなんですかなぁ…
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