ガチャ824回目:弱体化の感想
『挑戦者よ』
「あっ」
イリスを抱き上げ頬擦りしていると、『白虎』から声がかかった。完全に忘れてた。
『プルプル』
『其方達は、試練を完全突破した。それにより、追加報酬として最後の試練に挑戦する権利を得た』
「なら、あんたの姿が見たい」
『承知した』
『白虎』の煙はふっと姿を消すと地響きと共に五芒星の頂点である各灯籠が輝きを放ち、再び天高く光を放った。そしてこの階層にいた全てのモンスターが煙となって消え去り、圧倒的な存在感を放つ一体の獣が誕生した。
『グルルルル……』
*****
名前:四神・白虎
レベル:1500
腕力:22000
器用:21000
頑丈:14600
俊敏:25000
魔力:∞
知力:12000
運:なし
【Bスキル】超防壁Ⅷ、黒装Ⅴ、魔力溜めⅦ
【Pスキル】身体超強化LvMAX、硬化Ⅶ、物理耐性Ⅸ、魔法耐性Ⅸ、斬撃耐性LvMAX、貫通耐性LvMAX、打撃耐性LvMAX、獣爪術LvMAX、暗殺神の極意Lv5、姿勢制御LvMAX、摩擦抵抗Ⅶ、重力抵抗LvMAX、空間把握LvMAX、負荷耐性LvMAX
【PBスキル】破壊神の叡智Ⅲ、魔導王の叡智Ⅲ
【Aスキル】予知Ⅲ、看破Ⅴ、隠形Ⅹ、気配断絶Ⅴ、認識阻害Ⅲ、全感知Ⅲ、毒抗体Ⅹ、暗視Ⅴ、衝撃Ⅴ、鎧通しⅤ、急所突きⅤ、衝撃拡散Ⅴ、ウェポンブレイクⅤ、アーマーブレイクⅤ、重力操作LvMAX、縮地Ⅴ、チャージアタックⅩ、ウォークライⅤ、火炎旋風Ⅴ、天鼓雷撃Ⅴ、水深圧殺Ⅴ、震天動地Ⅴ、神通力Ⅴ、弱点看破Ⅲ
【Mスキル】狭間の理Ⅴ、魔力超回復LvMAX
【Sスキル】存在圧Ⅴ、魂圧Ⅴ、獣圧Ⅲ、西方の守護神
【Dスキル】四神の加護
【Eスキル】神土、龍脈、神罰、天罰、懲罰
装備:なし
ドロップ:白虎の宝玉、白虎の王籠、ランダムボックス、四神の玉手箱
神魔石:白虎
*****
やっぱり『白虎』は土か。となれば、残る『玄武』は水が確定したな。しっかし、本当に凶悪な性能をしているな。こんなぶっ飛んだステータスをして未知のスキルが多くあると、テレサの盾ですら防げる気がしない。もっと強く……そしてもっと弱くしなきゃな。
「ギブアップします」
『良かろう。では我は、ここで眠るとしよう』
そう言って『白虎』は、猫科の動物のように丸くなって目を閉じた。そしていつまで経っても、看板に変化することはなく、そのままの状態で寝息を立て始めた。
「あれ?」
いやお前、消えないのかよ。これはちょっと想定外ではあるが、まあ挑戦しなければ問題ないという点に変わりはないか。そう判断した俺たちは、踵を返して門を潜り、平和になった第五層へと戻ってきた。
「おお、無事で何よりだ。若人よ」
「あ、お疲れ様でーす」
キョウシロウさんにフランクに挨拶をしつつ、第六層での注意事項を伝えた。
「そのような化け物が、第六層の門の外に居座っているのか……」
「まあ、嫁達にも告知を頼んでいるので大丈夫だとは思いますけどね。それに、近付かなければ害のないデカい猫だと思えば」
「一度牙を剥けば全滅は必至だな。分かった、絶対に近付かないようにしよう」
「見る分には問題ないですが、存在するだけで圧をばら撒きまくってるので、気が弱い人や低レベルの冒険者は、第六層には入らない方が無難ですね」
「うむ。徹底的に周知しよう」
「よろしくお願いします」
そうしてキョウシロウさんとは別れ、拠点に入った俺達は、ガチャの前に皆に『弱体化』の使用感のついて確認を行うことにした。
「実際どうだ? 出せる実力が1/10になった感想は」
「「「「「とっても楽!!」」」」」
だそうで。やっぱり皆苦労はしてたんだな。
特にミスティ、クリス、シャルの3人は低レベルの時に『幻想』を手にした関係で、スキルの成長値が一般と比べて2倍から4倍高くなっている。700レベルに到達した今、彼女達のステータスは最低でも4、5千。最大で2万5千くらいまではあるはずだ。
そんなステータスが1/10になるんだから、どれだけ楽になるやら。この件については特にシャルが一番恩恵を得られるかもしれない。クリスは後衛だし、ミスティは中衛ではあるが『腕力』がそこまで重要ではない銃。しかし弓を引く事が重要なシャルは、『腕力』の成長倍率が4倍となっているそうだ。その為、俺の次に『腕力』が高いのがシャルであり、やっぱりシャルもこの力を御し切れてはいないらしく、振り回されているらしい。
「『弱体化』で特に嬉しい点が、いつでもON/OFFが切り替えられる点ね。これなら、あたしもテレサやマリーみたいにお酒を飲んでみても良いかも」
ああ、そういう悩みも当然あるよな。御しきれてない力を誤って振るう事が怖くて、酒が飲めなかったのか。
「おおっ、なら飲み友になりますかー?」
「今までは力が制御できないまま飲むのは怖かったからね。けど、弱くなった今なら多少暴れてしまっても皆なら大丈夫だと思うし……」
「それでしたら今度、皆で一緒に飲みましょう」
「賛成ー! ミスティとクリスも飲もうよー」
「ん、いいよ。お酒飲むと眠くなっちゃうけど」
「大丈夫ですよー」
「はい。ではわたくしも参加させていただきますわ」
「やったー」
楽しそうで何よりだ。
「主様。微笑ましく見ていらっしゃいますが、もちろん主様も参加してくれますよね?」
「え、俺も?」
「そうよ。ショウタがいないと始まらないわ」
「ん。寝ちゃったら介抱よろしく」
「分かったよ。けど、流石にダンジョンが終わってからな」
さーて、ガチャを回すかね。
『ねーねーマスター、ガチャは明日にしない?』
「なんで?」
『だって~。力強い状態のマスターに組み伏せられたいもの。あたしも今なら弱くなれるからお得だし……♪』
その言葉を聞いて、女性陣の目が輝いた。
「ん。その発想は無かった」
「さすが夜の女王ね」
「主様に、無理やり……!?」
「私も抵抗できないまま勇者様に組み伏せられたいです……」
「ショウタ様、わたくしからもお願いしますわ……!」
どうやら皆、上位冒険者となり強くなってしまった反動で、そっち方面の興味があるらしい。これは、帰ってからも他の子達からも同じお願いがされそうではあるな。
「分かったよ。ガチャは明日な」
そうしてまたしても遅めの昼食を用意する中、一瞬アズの様子がおかしくなったのを察知した。といっても、それはほんのわずかなもので、動きが固まったくらいだが。
「アズ、どうした?」
『……そうね、マスターなら知っておく必要があるわね』
そうしてアズはこっそり耳打ちしてくれたが、これ普通に皆に共有案件だと思うぞ? まあでもそっか、そうなったか。
読者の皆様へ
この作品が、面白かった!続きが気になる!と思っていただけた方は、
ブックマーク登録や、下にある☆☆☆☆☆を★★★★★へと評価して下さると励みになります。
よろしくお願いします!










