ガチャ819回目:乱戦①
「って訳でイクサバ、ミスティ。そいつらのターゲットは貰うな」
『どうぞ!』
「ん、分かった」
ちょっと強めの攻撃……2倍マジックミサイルをガシャドクロの眉間とウィルオウィスプにぶち込む。派手な爆発音と共に奴らの身体が大きく揺れるが、次の瞬間にはどちらも俺に対して強い敵愾心を抱いて来た。どうやら釣れたようだし、大したダメージにはなってないらしい。低レベルのレアならこれだけでワンパンなんだが……うん、ちゃんと強敵だな。
そのまま中央広場の反対側にやってくると、ちょうどそこに西の座敷童子、巨眼魚を担当したクリスとセレンがやって来ていた。
「ショウタ様、お待たせしましたか?」
『♪』
「大丈夫だ、問題ない」
2人の背後には、やっぱりホラー映画バリに恐怖心を煽ってくる怪魚が居た。いや、人の頭と髪の毛らしきものがあるし、人面魚系かもしれない。なんにしろ、子供が見たら泣くレベルだな。
そいつは足が遅い……というか空中を泳いできてるようで、まだ50メートルの『鑑定』の射程外にいたため、詳細は不明だった。けど、この距離感であの大きさなら、コイツもだいぶデカいな?
しばらく3体のレアモンスターの猛攻を回避していると、ようやく最後の面々が姿を現した。
「勇者様ー!」
「やっぱりあたし達が最後だったみたいね」
『キュイー』
南西の呵責の唐傘、鰐を担当していたマリーとシャル、それからアグニが帰ってきた。その背後にはだいぶボロボロになった天狗が、力無く飛翔している。
どうやらこっちは、それなりの戦いをしてたみたいだな。だから遅れたのか。
「ごめんねショウタ。本当は無傷で連れてきたかったんだけど、コイツがしつこくて……」
「そうなんですよー! 行く手を遮るだけならまだしも、鰐と連携して襲い掛かってくるんです! これじゃあいつまで経っても合流できそうになかったので、弱らせるしかありませんでした……」
『キュイキュイ!』
「そっか。でも安心してくれ、別に怒ってないからなー」
そりゃ見知らぬ強敵とは戦いたいが、皆の安全が第一だ。それに、ボロボロでも直接視れるかどうかも重要だったりする。
やっぱりステータスだけで、『こんなモンスターがいた』。それだけの情報ではわからないことが多すぎるんだよな。ステータスなんかは、実際に動くモンスターの姿を視ることで初めて得られる情報ってのもあるわけで。その辺の情報は、今後戦いを続けていく上でかなり重要なファクターだ。
ここ以外のダンジョンでも、似たような能力を持った相手なんてごまんといるのだ。そんな時に参考にできる事前情報があるかないかは、安全性にも大きく関わってくる。
「さて、5体のレアが揃った訳だが……」
この階層の中央にある社からは、相変わらず強い気配が感じられるし、このままコイツらを連れていく意味は薄いな。となれば、ここからは順番に倒すべきか。
うーん……。
「イクサバ、この『夜叉武者』はお前は倒していいぞ」
『良いのですか?』
「ああ。コイツはお前より攻撃的ではあるけどそれだけだ。俺的にはイクサバとの戦いで満足しているし、お前に譲るよ。それに戦いたいって顔に書いてあるしな」
『感謝しますぞ、主君!』
5体のレアモンスターが入り乱れる中、イクサバはうまいこと攻撃を『夜叉武者』にぶち当て、ヘイトを稼いで少し離れたところへと持っていく。
「クリス、マリー。悪いけどイクサバの方に行って撮影だけ頼めるか? それと、言うの忘れていたから、倒しきるのは俺の合図を待つように伝えてくれ」
「「はいっ!」」
『魔煌石』持ちだから、今のところ再挑戦はできないけど、呼び出せる格が上がった時に挑戦できるようになっていれば、その時また遊ぶ事にしよう。
「んじゃまずは、弱ってるアイツから行くか」
最初に落とすのは、シャルとマリーにボコられ息も絶え絶えの天狗だ。
*****
名前:烏丸天狗
レベル:288
腕力:2800
器用:2900
頑丈:2500
俊敏:3000
魔力:12000
知力:4000
運:なし
【Pスキル】身体超強化LvMAX、物理耐性Ⅲ、魔法耐性Ⅲ、体術LvMAX、狩人の極意LvMAX、暗殺の極意LvMAX、投擲の極意LvMAX、射手の極意LvMAX、姿勢制御Lv5、摩擦抵抗Ⅲ、重力抵抗Lv5、空間把握Lv5、曲芸Lv3
【PBスキル】魔導の叡智Ⅲ
【Aスキル】暗視Ⅲ、衝撃Ⅲ、鎧通しⅢ、急所突きⅢ、チャージアタックⅤ、空間殺法Lv5、天鼓雷撃Ⅲ
【Mスキル】浮遊術LvMAX、風魔法LvMAX、魔力超回復LvMAX
【Sスキル】威圧Ⅱ、強圧Ⅱ
★【Eスキル】影法師
装備:烏丸天狗の芭蕉扇、狒々獅子の作務衣
ドロップ:五輪の書(風)、ランダムボックス
魔煌石:中
*****
話を聞く限りではコイツは色々と厄介な能力を持っているらしいのだが、ボコられた結果全力を発揮できないようで、この乱戦においてもまるで活躍できていない様子だった。
鰐と協力してたって話だし、『影法師』辺りだろうか? とりあえず、さっさと楽にしてやるか。
跳躍してそのまま奴の目の前へと移動をする。
『!?』
「ハーフブースト。おりゃっ!」
『烏丸天狗』が驚いている隙に、攻撃の瞬間にだけブーストを起動し、袈裟斬りに切り裂く。『追影刃Ⅲ』の効果で、俺の攻撃に追従する形で3つの刃が出現。何度か使ってみて分かったけど、このスキルって通常攻撃にしか乗らないみたいなんだよな。
流石に『武技』スキルにまで乗ったらチートが過ぎるが。
切り裂かれた『烏丸天狗』は何が起きたのか理解できないという表情のまま煙に変わって行った。
【レベルアップ】
【レベルが82から324に上昇しました】
おっ、ちょうどいいレベル。
んじゃ、ささっと『弱体化』を2個生成してっと。これで在庫は5個。今この場にいる嫁達5人の分が揃ったわけだな。渡すのは後になるだろうけど。
しっかし、『魔煌石』持ちとの戦いはやっぱり楽しいな。『バトルアリーナ』でもさっさと呼べるようにしたいところだ。……さーて。
「次はどいつから倒してやろうか」
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