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ガチャ815回目:防衛戦

「ん。ショウタ、討伐担当はどうする?」

「ここでも100体討伐はあるのでしょうか?」「どうだろうな……種族だけでも7種。種類でいえば9種もいるんだ。それら全てに等しく100体討伐設定が設けられているとは想像しにくい。だが、無いわけじゃないだろうから……」


 ごちゃ混ぜの中から正確に1種だけを倒せ。というのならまだ分かる。『初心者ダンジョン』でもそれは経験してきたし、他のダンジョンでも採用はされていそうな設定だ。けど、それが7から9もいるとなれば話は違う。

 なら、考えられる内容としては……。


「五芒星の各頂点に群れているものを1種として仮定した上で討伐していこう。まずは北、一番最初に攻める通常の鬼火、骸骨戦士は俺が最優先で倒す。南東の鬼面と夜叉はミスティ。西の嘆きの座敷童子と巨眼魚はクリス。東の嘆きの甲冑は……俺がやりたいけど、北が終わるまではイクサバが対処してくれるか? 最後に南西の呵責の唐傘と鰐はシャルが頼む」

「ん。分かった」

「分かりましたわ」

『お任せを、主君』

「任せてー」


 さて、それじゃ行くとしますかね。



◇◇◇◇◇◇◇◇



 そうして雑魚を狩りつつ北端へと向かう。道中からは完全に出現モンスターが最弱の鬼火と骸骨戦士となり、2体の討伐数が合計100体になったところで、目の前に欠けた石が出現した。


「なんぞこれ」


 名称:封印石(木)の欠片

 品格:≪固有≫ユニーク

 種類:特殊アイテム

 説明:特殊な条件を達成することで獲得可能なアイテム。3つ集まる事で元に戻るが、徐々に力が失われているため、長時間は現界できない

 ★残り時間【2:59:57】


「ほう」


 北のモンスターランダム100体で『封印石(木)の欠片』か。


「ならやっぱ、読みは当たってたか。問題は3つって表記なんだよな……。このままランダムで出るか、それとも北のモンスターを個別100もセットか……」

『ここのボスは用意周到みたいだし、攻略させまいと難しくしてる可能性が高いわね』

「なあアズ、四神もそうだけど、このダンジョンやけに難易度高くないか?」

『そうねえ。ネタバレ無しで言えば、このダンジョンはアイツの隠れ蓑に選ばれたダンジョンなのよ。マスター、『タマモ』の種族はなあに?』

「なにって、狐だろ?」

『そ。だから、このダンジョンは自分の配下に支配させてるダンジョンなのよ。しかも、座標を重ねて呼び出すなんて芸当に加えて、それが400番台。多分だけど、他のエンドナンバーが管理するはずの支配権を横から掻っ攫ってるわね』

「そんなこともできるのか」

『割とイレギュラーだけどね。下手すると、ここは大規模ダンジョン2つ分のキャパシティを有しているのかもしれないわ。ただ、四神については多分アイツやここのボスが呼び寄せたんじゃなくて、ダンジョンの規模にあわせてダンジョンコアが調整したのかもしれないけど』

「ふむ……」


 元々四神の試練に近しい内容で鍵をゲットできる設定だったけど、あまり余ったキャパを埋める為にコアが気を利かせて、相応の存在を呼び寄せたってことか? その結果、四神の試練が鍵獲得ルートに組み込まれたと……?

 ううん、その辺のダンジョン運用方法はまだまだ知識不足だからなぁ。ふわっとしていてよく分からんな。


「ショウタ様、そこの6体で84体目ですわ。そして鬼火連続56体目となります」

「おう、ありがとな」


 アズと話しながらも俺は狩りを続けていた。念のため、ごちゃ混ぜ100体でダメだった時の保険も兼ねて、最初はちょろっと骸骨戦士、そのあとはひたすらに鬼火を倒し続けている。ここの鬼火は今までの脅かし役に徹したタイプとは異なり、最初から攻撃をするつもりで近付いてきているので、遠距離攻撃のために足を止めがちなんだよな。そこを俺が空中から弓で射貫き応戦を続ける。

 俺は全員分のエアウォークを用意しているので、骸骨戦士は完全に無視できているのは楽で良いな。あいつらは完全に近接型の雑魚だから、2,3メートル高い場所にいれば何もできずにウロウロとするしかないらしい。


「……ショウタ様」

「ああ。ごちゃ混ぜ100体はもう対象外らしい」


 合計100体を討伐しても変化はなかった。

 なら、鬼火はあと28体だ。その後は足元に群がり続けている骸骨戦士を纏めて吹き飛ばすか。

 そうして戦い続ける事数分、しっかりと個別100体討伐でそれぞれの100体目が石の欠片をドロップし、それを1カ所に集める。すると石は磁石のようにお互いを引き寄せ合い、カチッと小気味良い音を鳴らして1つのアイテムへと変化した。


 名称:木の刻印の封印石

 品格:≪遺産≫レガシー

 種類:特殊アイテム

 説明:『木』の字が彫られた緑の宝石。邪悪な存在を呼び覚ます為の媒体となっているが、その力に惹かれ、数多の魑魅魍魎によって狙われ続けている。また、一定期間エネルギーを蓄えられなかった場合も自壊する。

 ★残り時間【0:29:54】


 こいつも時間制限付きか。しかも短い。

 こういう時は、使う場所を調べさせてもらおうか。


「『解析の魔眼』!」


 封印石の魔力は、真っ直ぐ北端にある五芒星の頂点を目指していた。

 もうだいぶ奥地まで踏み込んだし、その中心部は目視できるくらいには近づいていた。そこには小さな灯篭があり、中に火はなく代わりに何かを設置する台座のようになっていた。


「……あそこに捧げるのかな」

『ガチガチガチ!』

『ボボボボボ!』


 今まで以上に群がってくるモンスターを蹴散らしながら接近し、俺は灯篭の中へと封印石を突っ込んだ。すると灯篭は怪しい黒と紫、そして緑色からなる3色の光を空に向かって放った。

 これでいいのか……? とりあえず灯篭も見ておくか。


 名称:木の灯篭

 品格:なし

 種類:ダンジョン構造物

 説明:『木』の字が彫られた緑の灯篭。周囲のモンスターのエネルギーを吸収し、封印石に魂を捧げ続ける舞台装置。最大までエネルギーを供給させることで封印の一部が解き放たれるが、エネルギーは常に漏れ続けている。

 ★残り時間【0:29:12】


『ガチガチガチガチ!』

『ボボボボボボ!』


 あー、明らかにこいつらの目標が、俺からこの灯篭へとシフトしたな。ってことは、エネルギーを溜めつつ、他の灯篭も同時にこの状態に持って行って、ひたすら耐え続ける必要がある訳だ。

 タワーディフェンス始まっちゃったなぁ。アキならテンション上がりそうだ。

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