ガチャ814回目:百鬼夜行
翌朝、俺達は朝食を摂りいつものように準備をする。昨日は一昨日とは違って夜のハッスルは程々にしておいた。そんなことをしなくても心は落ち着いていたし、あんまりやりすぎると彼女たちのパフォーマンスに影響が出るからな。今日挑戦する第六層がどれくらい俺達に牙を剥いてくるかは未知数だが、警戒するに越したことはないだろう。
拠点の外に出ると、そこにはキョウシロウさんの姿があった。
「おはようございます」
「おはよう。今日も休まず挑戦するのだな」
「疲労も昨日のうちに彼女達が癒やしてくれましたから」
「ふ、そうか。……だが気を付けろ、若人よ。昨日の内に第六、第七と調査をしてきたが、モンスターの数が急増していた。あんなもの、今まで見たことがない。その上レベルも上がって手強くなっていたし、昨日の通告に偽りは無さそうだったぞ」
「お、そうなんですね。楽しみです」
「ははっ! そうだったな。若人にとっては、その程度の問題は楽しみに感じるのだったな」
「じゃ、行ってきますね」
「うむ」
キョウシロウさんに別れを告げ、第六層に到着する。今まではマップの真南や南東に繋がっていたはずだが、どこかの広場の中心部に現れたようだった。そして目の前にはこのダンジョンでも幾度となく見かけた社と祭壇。まさか、入ってすぐコレが出迎えてくれるとは思いもしなかった。
それにしても……。
「祭壇の数が思っていたより少ないな。たったの5個だと? それに、この階層に来てからというもの、視線をまるで感じないな」
重圧は想定通り5つに増えているようだったが。
「皆は知ってたんだよね? この階層に視線がないことは」
彼女達がこくりと頷く。
「んじゃ、昨日の変化で変わったわけではないと……。なら、とりあえずマッピングから始めるか。エンリル」
「ポ!」
そうしていつものように皆でマッピングをしたところ、この階層の構成がハッキリとした。まず中心部には社と祭壇。それを挟み込むようにして第五層へと繋がる上り階段と、第七層に繋がる下り階段。そしてその3つを囲うように壁と、4方向に門が存在し、その外側を多種多様なモンスターが跋扈していた。フィールドも今までは美しい五目状の京都の街並みだったのに対し、この階層では下草も生えない不毛の平原が広がっていた。
そしてモンスター平原と化したマップの外側は、ダンジョン壁によって丸い形で囲まれており、怪しげな祭儀場のような場所が全部で五ヶ所存在していた。配置的には五角形、見ようによっては五芒星の様な配置になっていた。十中八九狐はここ関係だろうけど、重圧の数も5個だし、もしかしたらそっちも関係あるかもな。
「ミスティ、3つ目は西の白虎だったな」
「ん」
「んじゃ行こうか」
そうして西の門へと近づくと虎の絵が輝き声が聞こえてくる。
『汝、試練に挑む者か』
「ああ、試練を受けに来た」
『良かろう。我が関門、見事越えてみせよ』
門を通って今度は外側へとやってくると、無数のモンスターの姿と共に看板が出迎えてくれた。
【白虎の試練】
・このエリアに存在するモンスターを、制限時間以内に可能な限り撃滅せよ
・制限時間:4時間
・上記ミッションをクリアした際、レアリティが高い存在が多く含まれるほどにボーナスが与えられる
・開始しますか? はい/いいえ
今度は対象指定はなく、質と量が求められるわけか。つまりは、狐のトリガーや狐そのもの。あとは重圧関係のモンスターかな。
「とりあえず五芒星から攻めようか。何処を始点としたらいいかな?」
こういうのはテレサやマリーかな、やっぱり。それとも陰陽系だから、ミスティか? そう思って彼女達に視線を送ると、待ってましたと言わんばかりに待ち構えていた。
「勇者様、まず星の書き方ですけれど、諸説はありますが特にはないんです」
「性格診断のようなものならありますが、あちらもどれが良いとか、決まりはありません」
「そうなのか。なら五芒星は?」
「ん! まず上から始まる。けど、次は左下じゃなくて右下になるの。そこからはぐるっと回って終わりだよ」
「ほほー」
俺は普通に星を描く時は上から始まって左下に進むものだとばかり思ってたけど、五行は逆なのか。面白いな。
「ちなみにどれがどれを指すんだ?」
「ん。上が木、続いて右下が土で、あとは順番通りで水・火・金だね」
「なるほどなるほど。参考になったよ、ありがとな」
まずはミスティ。続けてテレサとマリーも撫でておく。しかしまあ、場所によって属性が決まってるのか。何がどう影響するやら楽しみだな。
まあそれはそれとして、問題はここの雑魚モンスターだ。
「沢山いますわね」
「多種多様なモンスターのバーゲンセールね」
『今まで倒してきたモンスター大集合ね』
『主君、いかがされますか』
そう、このフィールドに出現するモンスターは、第一層から第四層まで出現した雑魚のオンパレードだった。鬼火3種、嘆きの座敷童子、嘆きの甲冑、骸骨戦士、巨眼魚、呵責の唐傘、鰐。これが俗に言う百鬼夜行か?
ただまあ、デタラメに配置されているわけではないようで、ある程度法則が決まっているようだった。まず五芒星の頂点周辺には以下のようなルールがあるようだった。
北:通常の鬼火、骸骨戦士。
南東:鬼面、夜叉。
西:嘆きの座敷童子、巨眼魚。
東:嘆きの甲冑
南西:呵責の唐傘、鰐。
そして五芒星の内側かつ、中央の門周辺には全てのモンスターが入り乱れて存在していた。その上見たところ、全てのモンスターのレベル及びステータスが1.5倍くらいになっているようだった。これが昨日の告知内容かな?
スキルはそのままなのが残念だが、多少は歯応えがあるだろうか? けど元が元だから、大差ないかもしれないが。
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