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ガチャ804回目:お城のギミック

「……1周しちゃったな」

「ん。道らしき道はなかった」


 あの後、俺達は城内にいた全ての雑魚を殲滅。唐傘も鰐も、丁度100体目の段階でマップの中心部に向けて煙が移動していったから、間違いなくあの先に空間が存在しているはず。

 ていうかまあ、遠目に見てもここの中心部にはちょっと背の低い天守閣があったから、レアモン戦はまず間違いなくそこだろう。問題は、どうやって辿り着くかだが……。

 あんまり時間をかけすぎると、煙がロストしそうで怖いんだよな。だから時間をかけずにさっさとクリアしたいところだが……ふむ。ここでマップ機能を使うのは癪だな。


「上から行くのは……やっぱりアウトなんですよね?」

「ショウタがダメって言ってたから、多分ダメじゃない?」

「ショウタ様、確認のために水球を投げ入れても構いませんか?」

「ん? いいぞー」


 クリスが水球を作り出し、曲線状に放り投げた。

 すると水球は、城の屋根よりも高い位置に届く寸前、自壊するように崩れ落ちた。

 やっぱダメだったか。まあそりゃ、対策はしてるよなぁ。


「やはり勇者様の直感は正しかったようですね」

「けどまあ、あえてやらなかっただけでどうなるかは分からなかったから、見れて良かったぞ」

「はいっ」


 さて、あるとすれば何らかの隠し通路か、抜け穴か、空洞隠しの通り抜けられる壁か、そんなところか。

 この辺は全部エスがいれば、風の動きを読んでの力技で解決しそうではあるが、今はいないしな。エンリルも『風』はあるけど、マップ全域に『風』を飛ばして全ての情報を把握するなんて芸当はまだできないし。

 そう思っていると気持ちを察したのか、エンリルが肩に止まって頬擦りしてくる。


『ポー』

「気にすんな。まずはやれることをやろう」

『ポ、ポポ』

「そうか、ご苦労様」

『ポ!』


 一応、進捗率が70%くらいになったタイミングで、エンリルもその可能性に気付いて『風』での探査をし始めたみたいだが、この近辺の部屋や壁はいたって普通だったらしい。

 まあ、いくら城だからといって、全ての城に忍者屋敷みたいなカラクリは仕込まれていないだろう。ちょっと期待はしていたが。


『♪』


 クリス達はその後も何かできないが議論を重ねている。そしてアズは俺の判断を楽しげに待ち、ミスティは俺にほっぺをムニムニされていた。ミスティの柔らかほっぺは心が安らぐなぁ。


「ん。ショウタ、方針は決まった?」

「ああ。本当に日本の城の情報やらなんやらをそっくりそのまま吸い取ってるならって前提ではあるが、天守への道は井戸とかそういうのと繋がってる可能性がある。この城、いくつか井戸を見かけたよな」

「ん。脱出用の隠し通路だね。井戸なら全部で7個見た」

「おー。流石ミスティ、数えてたのか」

「んふ。昔の日本のお城は興味深かったから、唐傘を撃ち抜くついでに色々覚えてた」


 俺も昔の井戸とかホラー映画くらいでしか見ないから、興味深かったんだよな。なんなら鍵入手後に、隠しレアモンスターが出たりしないかチェックするつもりでいたので、俺も数えてはいたが……。とりあえず、ご褒美にムニムニをワシャワシャに変えてあげよう。


「ゴロゴロ」

「それじゃ、一番近い井戸から調べるか。クリス、手伝ってくれ」

「お任せください!」


 そうして井戸の中にある水を操作し、どこかに繋がっていないかを調べてもらう。すると、驚くべき結果が待っていた。


「深い場所で3つに枝分かれしていますわ。その内1つが堂々巡り。もう1つが外のお堀と繋がっていますが、途中で堂々巡りの方に分岐もするようです。そして最後の1つが、中央に伸びていますわ」

「ってことは、初手から当たりを引いたか」

「流石ショウタ様ですわ」

「まあ、全部の井戸が同じ作りかもしれないけどな」


 とにかく、これで目的地は見えた。早速挑むとしよう。


「じゃ、全員で『泡魔法』を使用して乗り込むぞ」

『マスター、あたし覚えてないわ』

「おっとそうか。じゃああとで渡しとくな。今回はエンキ達と一緒でいいなら、俺と一緒に行くか?」

『ええ♪』


 そうして順番に飛び込み、クリスの指示通りにプチ迷路となった地下を進む。流石にここにはモンスターはいないみたいだな。こんな暗がりの地下水路であんな。イカレた出目金と遭遇したら、耐性を貫通してビビる自信がある。

 恐怖とびっくりドッキリは別物な気がするしな。


「到着っと」


 隠し通路の先も井戸……なんてことはなく、こっちは普通の通路と登り階段だった。

 登り切ったそこは既に天守閣の内部の様だが、想定していたのとはまるで違う光景が広がっていた。中には天守閣にありがちなものなど一切なく、ただただ四方を壁に囲まれた何もない空間だった。あるとすれば、中央に今までと同じ神社があり、祭壇と2種の煙があるくらいか。そしてどうにもこの場所、日差しが差し込む隙間がないのか、真っ暗闇だった。

 暗闇の中に佇む寂れた神社。ふーむ、確かにホラーだが……。


「アグニ、灯りをつけてくれ」

『キュイ!』


 アグニによって神社の直上に巨大な太陽が生成され、全ての影が取っ払われる。これで影はほとんどなくなったな。


「そのまま維持、よろしくな」

『キュイー』


 これからのボス戦についてワクワクしながら歩を進めようとすると、静止の声をかけられた。


「勇者様」

「主様」

「ん?」


 何だろうか。このタイミングで声をかけるということは……?


「昨晩勇者様がお休みになられたあと、テレサと一緒に皆さんに相談したことがありまして」

「その件で、主様に恐れながらお伝えしたいことが……」

「お、何々?」


 2日前にミスティを褒めた影響がもう出たのか?


「えっと……あ。今監視の目が無いので、お話はしても大丈夫ですよね?」

「ああ、良いぞ」

「ほっ。良かったです……」

「では勇者様、まず確認なのですが、今のレベルはおいくつでしょうか」

「祠潰しで上昇したから、169だな」

「では丁度いいですね!」

「主様。そろそろ使えるようになっているのではないでしょうか。『弱体化』のオーブ化リキャスト」

「ああ、そっか。それがあったな」


 スキルポイントを利用しての生成は、リキャスト40時間。それを使用したのが2日前の午後2時から3時辺り。今は10時半とかその辺だから、余裕で再使用可能状態になってる。


「はい。そしてスキルオーブの生成は、『充電』やガチャ回しと違って筐体は必要ありません。この後のレアモンスター連戦でも、恐らくレベルは160を超えると思いますから、討伐するたびにオーブ化すれば『弱体化』は想定よりも速く集まりますし、その過程で220を超えたら回せばいいと思うんですー」

「なるほどな」


 ガチャを回すのはいつになるやらと、そんな事ばかり考えていたからそっちを完全に失念していたな。いやほんと、マルチタスクはダメダメだなぁ、俺。


「2人とも、よく気付いてくれたな」

「「はいっ!」」


 そうしてミスティと同じように2人ともまとめて抱きしめ全力で褒めた後、『弱体化』のスキルオーブを生成するのだった。

 これで現在の保有数は5個。第二グループのカスミ達に渡せる分は、ここで揃っちゃいそうだな。

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