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ガチャ798回目:素顔拝見

『兄者、姉者。これからよろしくお願いしまする』

『ゴ~』

『ポッポポ』

『~♪』

『プル~ン』

『キュイ!』

『ふん、よろしくしてあげるわ』


 その後、俺達はモンスターの気配がなくなった武家屋敷を歩き、青龍の門へと向かっていた。道中イクサバに家族を紹介すると、エンキ達を兄、アズを姉と呼び始めた。最初はエンキ達を俺の子供という意味で「若様」や「若旦那」と呼ぼうかと悩んでいたようだが、エンキ達に断られ普通に末っ子という立場に落ち着いたようだった。

 ちなみにミスティ達を11番目から15番目の嫁だと紹介すると、特に驚かれたりはしなかった。向こうでもそんな人がいたのかもしれないな。


「ねえねえ、イクサバってその鎧の下どうなってるの?」

「シャルさんいきなり核心を突いちゃいますねー」

「確かに、鎧や兜は装備として反映されていましたからね。面頬は顔の一部のようですけど、中身はあるのでしょうか?」

「ん。雑魚モンスターは空っぽだったけど、イクサバは存在する。空気の振動は誤魔化せない」

「イクサバは男性なのでしょうか? それとも女性……?」

『あたしは男だと思うけど~』


 イクサバの中身か。まあ俺も気になってはいたが……。

 俺に挨拶する時でさえずっと兜をつけっぱなしだったし、外せない理由とかありそうだけどな。


『おお、これですか。我のような醜い風貌を晒しては逆に失礼かと思い装着したままでしたが……。未来の奥方様がお望みであれば、外しましょうか』


 なんだよ、外せるのかよ。

 と思ってそのやり取りを見守っていると、まずは兜から取り外すようだ。そこから飛び出してきたのは短く切りそろえられた黒い髪だった。

 十数年前まではこの国では当たり前だったこの髪も、最近では割と珍しい方になったよなぁ。

 ステータス発現後の髪の毛は、『変化する』か『変化しない』かの2択で、変化先に黒髪が存在しないのか、人種的に黒髪である人達が変化しなかった場合にのみ黒髪が残る形となる。そのため、昔はそれなりにいた黒髪も、今では割と希少性が高かったりするのだ。

 俺の周りでも黒髪は、俺と、カスミと、父さんと、ミキ義母さんと、サクヤさんと、ハヅキと、ハヅキの両親くらいのもので、そこにイクサバが参戦した感じだな。

 黒髪の美男子の可能性に、彼女達からも期待の視線が送られる中、イクサバは気にも留めず面頬へと手を伸ばした。


「いや、それ顔じゃなか――!?」

「「「「「!?」」」」」


 面頬を外したそこには、中性的な美少年がそこにいた。アレ、君モンスターだったよね……? それに、声もだいぶ野太かった気がするけど……。

 え? その顔であんな声出してたの?


『……イクサバ、あんたもしかして妖精族?』

『おお、流石は姉者。博識でありますな』

『そして中性的な顔立ちとそのサイズ……レプラコーン族ね』


 レプラコーン……妖精の一種だっけ。アズのいた世界ではそういう名の種族がいたのかな。


「アズ、具体的にどういう種族なんだ?」

『簡単に言えば、男でも女でもないわ。どっちも無いの。あと、身体の大きさなんかを変えて人を化かすこともあるけど、基本的に温和な種族ね。戦い好きのレプラコーンは初めて見たわ』

『お恥ずかしい限りで』

「てかイクサバ。今お前の声、結構な高音だけど、面頬は変声機か何かなのか?」

『はい、主君。戦場で舐められぬよう、物作りが趣味のドワーフにお願いした次第であります』


 ドワーフもいるんだ。

 やっぱ、向こうの世界はだいぶファンタジーみたいだな。ダンジョンが世界を埋め尽くすほど溢れかえりすぎてる点を除けば、ぜひとも行ってみたくはある。

 しかし、見た目美少年のイクサバか。こう見るとまあ可愛いし、アリではあるな。流石にアズみたくホイホイと手は出さんが。個人的にはイケおじを想像してたんだが、まさかこうなるとは。


「でも、その顔を晒すのはうちの家族だけにしておいてくれるか? 今のお前も好きだが、俺的には武者姿のイクサバも好きなんだ」

『主君……! しかと心得ました!』


 絶対素面で外をうろつかせたら新しい嫁だのなんだの言われるからな。俺はイクサバとは修行仲間としていたいのだ。そうこうしているうちに、俺達は青龍の門まで戻ってくることができた。条件を満たしているはずだが、特に今まで何のアナウンスも発生していない。


「……ほいっと」


 試しに看板に触れてみると、看板は光り輝き煙となって消失。そして煙からは、門を通る時と同じ声が聞こえてきた。


『挑戦者よ、よくぞ我が試練を制覇した』


 あー、コレが青龍か。にしても、モンスターとは違った気配の感じ方だな。まるで脅威を感じない。ただそこにあるだけの存在みたいだ。

 あと、試練の対象モンスターであるイクサバは捕まえちゃったけど、どういう判定になるだろうか。まあアズの時は鍵もしっかり手に入れてたし、実質撃破と同等の扱いであるはずなんだが……。


『定められた試練のうち、最も難易度の高いものを短時間で終わらせた挑戦者には、褒美として望むものを授けよう。挑戦者よ、何を望む』


 お、合格か?

 それにしても望むもの、ねえ。てか、何をもらえるのか提示されないと困るんだが…。剣をくれって言えば剣をくれるのかな?

 あ、そうだ。


「なら、このイクサバがこの世界に来るときに持っていた愛刀をくれ」

『承知した』


 おっと、割と適当に言ってみただけなんだが、イケちゃうのか。まあでも、コレでもらえるイクサバの愛刀次第ではあるが、褒美の上限が見れるかもしれないわけだし、下手な選択でも無かったかな。

 残る3つの試練でも、相応の存在がもらえる可能性があるわけだし。


『主君……!』


 感動に打ち震える様子のイクサバの頭をポンポンしていると、青龍の煙が2つに分たれ、片方が地面に墜落。そこから、まるで地面から生えてくるような形で鞘に収まった刀が出てきた。


 名称:妖刀 獄炎蝶

 品格:≪伝説≫レジェンダリー

 種別:刀

 武器レベル:68

 説明:煉獄の世界で不死身の存在として恐れられる獄炎蝶の力が宿った特殊武装。使用者の魔力を500消費して派生武技スキル『煉獄』が使用可能。

 ★条件:炎に強い耐性が無ければ、持ち主でさえ獄炎蝶に焼き尽くされる。


『おお、我が妖刀よ! もう出会えぬかと思ったぞ……』

「にしてもこれ、危なっかしい武器だなぁ。耐性なければ持つだけでアウトかよ。……あれ、イクサバって、耐性持ってたっけ?」


 妖刀を前に涙を流しそうになっていたイクサバだったが、ピタリと動きを止めた。


『……どうやらこの世界に来る折、そちらも失ってしまったようでありまする』

「ダメじゃん。……ちなみにそれ、『炎耐性LvMAX』で事足りるか?」

『否。我が持っていたのは『完全耐性【炎】』。『炎耐性』の上位スキルでありまする』

「そんなのがあるのか」


 けど、進化しても『全属性耐性』になるだけで、『完全耐性【炎】』とやらにはなった試しがないな。スキルの進化に関しては、知らなかったからだとかはあまり関係がないはずだ。

 なら、他にも条件があるんじゃないか?


「イクサバ、『完全耐性【炎】』は、『炎耐性』以外の要素が組み込まれてるか?」

『そうですな……。要素としては『灼熱耐性』がそれに該当したかと』

「……なるほど。『炎耐性』と『灼熱耐性』のハイブリッドか」


 そりゃ無理だ。俺たちの場合『全属性耐性』にしちゃってるから、『灼熱耐性』に類するスキルを6属性分全て集めて、更にはMAX化してからでないと、上位には進化できそうにない。


「とりあえず手元に『炎耐性LvMAX』があるから、これで多少緩和されるか?」

『そうですな。専用の武技スキルを撃つことは叶いませぬが、鞘から出すくらいなら問題ないかと』

「じゃ、悪いがしばらくそれで我慢してくれな」

『滅相もない! 主君の寛大な御心に、我は感動しておりまする!』

「おう」


 しっかし完全耐性か。物理や魔法の完全耐性は見たことあるけど、属性にソレがあるなら、いつか取得できるのかね……。

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― 新着の感想 ―
内容は聞けたし、今までの流れなら炎マックスと灼熱マックスがあれば進化できそうな気がするけど。
イクサバ殿、大塚○夫氏の声が似合いそうな武人かと思ったらまさかのイクサバくんちゃんだったで御座る…!?
 女でも男でもない、つまり雌雄同一体ということですね!そして主君の餌食になるイクサバが今後あり得ると。
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