ガチャ786回目:化身
神社の参道を正面から進み、本堂の手前10メートル辺りで足を止めた。本来なら賽銭箱辺りが置かれていそうな場所には20個の祭壇が設置されており、どこからどう考えても勾玉を設置するであろう雰囲気が見て取れた。
この神社がある区画にはモンスターの姿は一切なく、今まで散々見て来たキツネの彫像もいなかった。一見するとこの階層の安全エリアのようにも見えるが、やたらと厳かで重苦しい雰囲気のせいで、ここで休もうとする者は居なさそうだな。あとでキョウシロウさんに、その辺りの実情を聞いてみるのも有りか。
「んじゃ、湧かせてくる」
そう言って1人前に出て、それぞれの祭壇に勾玉を設置していく。すると設置された勾玉は徐々に光を放ち始めた。全ての勾玉が設置されると、今度は祭壇の中央に新たな台座が出現した。まるで何かを置けと言わんばかりだが……。
「まさか、これか?」
『異次元の腰巾着』から取り出したのは、彫像連中がドロップした『殺生石の欠片』。こいつら、欠片というにはあまりにも破片すぎて10個やそこらじゃ元通りには程遠かったが、20×2の40個もあれば、復活できるかもな。
そう思って40個の破片を祭壇の上に並べると、一気にギュッと集合し、刺々しい結晶体のような物質へと変化した。
名称:青の殺生石(呪)
品格:≪伝説≫レジェンダリー
種類:アーティファクト
説明:九尾の怨念が籠められた邪悪な石。近寄るだけで気分が悪くなり、手に持つと猛毒に侵される。
★無数の御使いの魂が宿り、呪われている。
うーん、これもまた危険物だな。
まあトリガーに使うみたいだし、それならさっさと消えてくれるだけマシか。
しばらく見守っていると、勾玉の輝きに呼応するように殺生石から真っ黒な煙が噴き出し、2種の輝きが混じり合った。そして陰陽玉のような形状となった白と黒の煙がゆっくりと回転しながら地面に到達。そして陰陽玉は召喚陣のように機能し、1体の怪物が出現した。
*****
名前:青き呪いの化身
レベル:150
腕力:1600
器用:1600
頑丈:1400
俊敏:1200
魔力:5000
知力:2400
運:なし
【Pスキル】物理耐性Ⅴ、魔法耐性Ⅴ、斬撃耐性Lv5、貫通耐性Lv5、打撃耐性Lv5
【Mスキル】念動力LvMAX、炎魔法LvMAX、狐魔法Lv5、魔力回復LvMAX
【Sスキル】威圧Ⅲ、強圧Ⅱ
★【Eスキル】呪狐の恨み、狐の怨念
装備:なし
ドロップ:青の殺生石(虚)、管理者の鍵454(1)
魔石:極大
*****
青い狐が出て来た。尻尾の数は2本あり、体長は2メートル、体高は1メートル50といった所か。このくらいの強さなら、『バトルアリーナ』で呼び出せるようにしておいてもいいかもな。
怨念がどんなもんかは未知数だが。
『キィ!!』
キツネが吠えるが、まあ特に恐れる要素は無い。強いて言えば、『狐魔法』の全容がまるでわかっていないことくらいだろうか?
彫像の時からの変化が『炎魔法』は1からMAXなのに対して、『狐魔法』は1から5への変化な所から見て、それなりに上位の魔法スキルに分類されそうではあるけど……。ここに来るまでに、見ようと思えばいつでもドロップから見れたけど、そうする必要も感じなかったし、まあ大丈夫だろう。多分。
「とりあえず……『一刀両断』!」
開戦の狼煙として、景気良く出の早い『武技スキル』を出す。単独技としてはもっとも破壊効果の高い物理スキルということもあり、最近では派生技など頻繁に使っているお気に入りの技だ。
『キィ!?』
「あっ」
ただまあ、想定外だったことは、この技を相手が回避することができず直撃してしまい、あまつさえ即死させてしまった所だろうか。
【管理者の鍵454(1)を獲得しました】
【レベルアップ】
【レベルが169から175に上昇しました】
「うーん、あっさり終わってしまった」
鍵持ちとはいえ、レベル150を相手にしてワンパンとは。俺も成長したもんだな。
しみじみと思っていると、ミスティとアズが率先してくっついて来た。
「ん。お疲れ様、ショウタ」
『マスター、ここの階層は終わりなのかしら?』
「んー……。勾玉とこの神社は終わりだろうけど、一応鬼火に何かあるかもしれないから、そっちを見てから次に進もうか」
と、その前にさっきのドロップを一応見ておくか。先ほどの殺生石よりも一回り小さくなって、スキルオーブくらいのサイズになってるな。
名称:青の殺生石(虚)
品格:≪伝説≫レジェンダリー
種類:アーティファクト
説明:九尾の怨念が籠められていた、かつては呪われていた石だった遺物。狐系のモンスターはこの石の存在を忌み嫌う。適した場面で使用することで毒にも薬にもなる。
★所持していると狐系モンスターのレベル・ステータスが10%上昇する。この効果は『マジックバッグ』に入っている場合機能しない。
ほおん……?
そういうことなら、常に持っておいたほうがいいな。ただ、ずっと手に持ち続けるわけにもいかないし、誰かに持たせて俺以外が恨まれるのもよろしくない。となれば、あんまり大きくは無いしポケットにでも入れとくか。
ただ、あえて『青』と書いてる以上、いつものようにカラーバリエーションがありそうだ。連絡用の『魔法の鞄』に、腰回りに着けるポシェット辺りを用意してもらうよう頼んでおくかな。
「んじゃ、鬼火狩りに行こうか」
「ん。了解」
「今回はショウタが全部狩っちゃう?」
「そうだな。この手のモンスターは初めてだから、どんな感じなのか体感しておきたい」
「悪霊や霊魂などの類の場合、私のスキルで誘き寄せることも可能ですが、如何しましょうか」
「鬼火はまあ、そっちよりではあるか……。じゃあテレサ、中央通りに出たら頼めるか?」
「お任せ下さい!」
「では私は引き続き、勇者様の勇姿を画面に収めますねー」
「ショウタ様、ドロップ品はお任せを」
『ポポ!』
「ああ、任せた」
水のない場所でもクリスのアイテム集めは、果たして捗るんだろうか? まあでも、親和結晶でパワーアップしてるからな。それによりどれくらい活躍できるか見ものだし、できなくてもエンリルがサポートしてくれるだろう。
さーて、鬼火にはレアモンスターはいるかなっと。
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