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ガチャ762回目:管理者権限移譲

 彼女達4人と共に、俺はマップ機能を使ってダンジョン第一層へと転移する。するとそこでは、アズだけでなくカスミ達が集まって普通に遊んでいた。なるほど、アズの言っていた子達はカスミ達だったか。まあ、ダンジョンの中なら他人の目を気にせず遊べるしなぁ。

 元々、管理者部屋にはアズだけでなくイズミも連れて行く予定だったから、どうせならと皆で遊びに来た感じか。


『プルプル!』


 そして一緒にやって来たのは彼女達だけではなく、イリスの姿もあった。

 まあイリスの目的は分かりやすいよな。モンスターが湧いたそばからイリスの餌になってる。あのペースで食ってるなら、多分もうすでにレアモンスターも胃袋の中に入った後かもしれない。ご愁傷様だ。


「おーい。アズ、イズミー」

『あ、マスター♪』

「お兄様おかえりー☆」


 2人が両側から挟み込むようにして引っ付いてくる。


『んふ♪ 早速もうイっちゃう?』

「まあ俺としてはどっちでも良いけどな。カスミー、イズミを連れてって良いかー?」

「いいよー! ……あ、お兄ちゃん」

「ん?」

「何か楽しいことあった? なんだかすごく……ううん、なんだろ」

「闘志が漲っているようです」

「そうそう! そんな感じ!」


 言葉に迷うカスミにハヅキが補足してくれた。

 ふむ。確かに今俺は、結構な満足感を覚えてる。久々に近接型とガチンコ勝負ができたからな。そう思ってると他の子達も集まって来た。


「あー、確かにそうかも。お兄さんから熱いモノを感じるよー」

「先日、お兄様は強敵と満足行くまで戦えなかったと嘆いていましたもんね」

「お兄様には珍しく、場所とタイミングが悪かったとしか言いようがありませんわ」


 まああれは、昼間にやらかした俺が悪い。むしろ、ヨウコさんを連れて行っていたからこそ、一般客がいる事を思い出せたんだ。あの人がいなかったら、俺は長期戦を視野に動いていただろうし、そしたら一般のカップルがあのダンジョンから足が遠のく事件に発展していたかもしれない。それを思うと……うん。あれは、『運』が働いた結果だと思えるな。


「ですが、満足の行く相手と巡り合えたようですわね」

「そんなに露骨に顔に出てたか?」

「うん。私達ですら気付くレベルだもん。お姉ちゃん達なら一発で分かると思うよ」

「そんなにかー」


 ちらりと振り返れば、クリス達も頷いていた。

 まあ、恥じるような事じゃないし、別にいいか。


「じゃ、改めてコアに行ってくるよ。イズミも行けそうか?」

「ええ、大丈夫よ☆」

『マスター、あたしの事も忘れないでよね♪』

「分かってるよ。それじゃ、管理者の鍵を使用する」


【所持者の意思を確認】


【管理者キー 起動】


【管理No.825】

【ダンジョンコアへ移動します】」



◇◇◇◇◇◇◇◇



 俺達はいつもの白い部屋へとやって来ていた。

 ……うん、ここはいつものコアルームだな。特に変な感じはしない。早速操作パネルに触れると、『ダンジョンコア』が現れた。


『ようこそ、管理者様』

「うん、どう見てもチンアナゴだ」


 わかりやすいチョイスだな。


『私は当ダンジョンを管理する端末AI、ダンジョンコアです。……貴方様は9つの管理者キーをお持ちなのですね。本日はどのようなご用件でしょうか』

「まずはこのダンジョンのスタンピード設定をオフに。それから『楔システム』と連結し、それを全世界に通達」

『許可。……実行しました』


 世界地図が出現し、『楔システム』の結界が拡張。『825ダンジョン』と『1086海底ダンジョン』はその内側に包まれた。結果、結界は東京周辺と・パプアニューギニア沖にある『1098ダンジョン』と・アメリカ西海岸にある『1099ダンジョン』の3点を頂点とした巨大な三角形で形成。

 これで以後、この巨大な海の内部に、新たなダンジョンは出現しなくなったはずだ。


「海にダンジョンが出られると色々と対処が面倒だからな。世界で見ればほんの一部だけど、この一帯が調査不要になったのは大きい」

「そうね。流石お兄様☆」

『マスターは、自国の周辺を優先的に包み込みたい感じなの?』

「いや、最終的にそうなればいいかなとは思ってるけど、別にそこまで優先的じゃないぞ」

『そうなんだ?』

「……なんかあるのか?」

『ううん、別に気になっただけよ』

「ふうん?」


 ちょっと気になるが、まあ良いか。

 あとはまあ、特にこのダンジョンでやれるべき事は無いよな。フィーバーも起こしてないし、っていうか起こしたところで人が来ることも滅多に無いしな。


「……さて、本題に移りたいところだが、どうやって鍵を渡すんだろうな?」

「アズさんは知ってますか?」

『なによマスター、知らないでやろうとしてたの?』

「できるってことしか聞いてなかったからな」

『……ねぇ、マスター。本当にするの? あたしみたいな得体の知れない魔族に管理者の鍵を与えるなんてして、良いの?』

「ん? 別に構わないだろ。アズとの付き合いはまだ短いけど、その人間性と価値観は信頼できると思ってるしな」

『そ、そう……?』


 アズは不安そうな表情を浮かべる。

 再び管理者になれるのに、彼女は何を危惧しているんだろうか?


「にしても、鍵の渡し方か。こういうのは大体、単純明快な事が多いが……。よし、ダンジョンコア。ここの管理者権限をアズに渡したい、可能か?」

『確認。管理者アマチショウタの持つNo.825の管理者の鍵を、元管理者アスモデウス、個体名アズに移譲します。一度移譲した鍵は、720時間経過しなければ再移譲は不可能となります。双方、問題はありませんか?』


 お、行けそうだな。にしても720時間……ってことは約1ヵ月は戻すことはできないのか。そもそもこの前は移譲後は返却不可って話だったが……。あの時とは管理者のレベルが違うし、中枢キーを持ってるからな。色々と条件が変わったのかもしれないな。

 まあ今回鍵を渡すのは得体の知れない奴なんかじゃなくて、うちのアズだしな。何も困る事はない。


「ああ、問題ない」

『……問題ないわ』


 そう言いつつ、アズは不安そうな顔のまま抱き着いて来た。

 やっぱりその真意は読み取れなかったが、とりあえず撫でておくことにする。


『両者の確認が取れました。これよりNo.825の管理者の鍵を転送します』


 俺とアズとの間に見知らぬ魔力のパスが通り、俺の中から何かが一瞬移動していくのを感じた。今のが管理者の鍵か? あまりに一瞬すぎて認識する事はできなかったけど、何度か経験すれば自分の中の鍵の存在を知覚する事はできそうだな。


『……転送完了しました。これにより、当ダンジョンの管理者は個体名アズとなりました』

『……』


 アズは俺からそっと離れ、自分の身体を見回した。俺から見ても特に変化はないと思うが……。そして今度は、俺をじっと見つめたり、3周ほど俺の周りをグルグルとし始めた。何かの儀式か?


「どうした、アズ」

『……ううん、なんでもないわ♪』


 なにか満足の行く結果だったらしく、アズは満面の笑みを浮かべてくっついてきた。そしてイズミも、訳知ったる顔で飛びついてくる。


「良かったわね、アズさん☆」

『ええ♪』

「なんなんだ……」


 まあ、良いか。

 それよりも、共有システムのおかげで、アズのスキルをコピーできるようになったかもしれないのだ。それの検証確認をしなければ!

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