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ガチャ757回目:暴露会③

「んじゃ、最後はクリスだな」

「はい、ショウタ様。ですが、申し訳ありません。ショウタ様はダンジョンに対して、なるべく情報を得ずに初見で挑まれるのがお好きな方ですし、入手した経緯を話すとなると、まずわたくしが『水』を手にしたダンジョンの構成を全てお伝えしなければならず……。それを省いた状態では、ご理解いただくのは難しいかと思われますわ」

「あー、なるほどね」


 エスの場合は、まあアイツもハッキリとは言わずに割と濁しながら教えてくれたから、正直『風』の入手経緯は3割くらいしか分かってないんだよな。今の関係値なら聞けば教えてくれそうだけど、アイツにとっても黒歴史っぽいし、改めて聞くのは酷だろう。

 そして四大元素系の魔法スキルが産出されるダンジョンとなれば、696並の高難易度ダンジョンであることは間違いないし、というか以前にクリスから、そのダンジョンは696と同系統のスタンピードダンジョンだとは聞いているしな。

 そんなところなら、いずれ赴くことになるのは間違いない。だから俺に気を遣って率直にそう言ってくれる点は高評価だ。

 まあ評価も何も、この4人は迎え入れる方向で何の問題もないよな。……嫁達も納得してるし、俺も手を出しちゃったし。


「んー、じゃあ俺が聞いてくことにだけ答えてくれる?」

「畏まりましたわ」

「まず入手手段は宝箱? それとも試練形式?」

「どちらかといえば後者ですわね」

「ふむふむ。じゃあ『水』ってんだから、水中戦闘やら深海ダイブとか、スキル無しでの遠泳とか、そういう類の試練だった?」

「その通りですわ」

「クリスの言ってるダンジョンって、こういう海型?」

「はい。……ショウタ様、本当にご存じないんですよね?」

「はは、無いよ」


 今聞いたのは、誰にでも思いつきそうな当たり障りのないものだったしな。


「クリスがそれを手にしたのは、たまたま? それとも狙ってたり探したりした結果?」

「それも後者ですわね」

「ふむ……。じゃあ、ダンジョン内に何かしらのヒントがあって、宝探しみたいに色々探索してたら知らぬ間に試練を達成していて、結果『水』を得た感じか」

「……ほ、本当の本当に、ご存じないのですわよね??」

「あれ、当たってた?」

「はい……。完璧なくらいに」

「まあ、エスの『風』のヒントがあったしなぁ……あとはそこからダンジョンがやってきそうなギミックを想定してみただけなんだけど」


 まあでも、言うだけなら簡単だけど、ぶっちゃけどの試練も殺意が高そうだよな。クリスの海試練もそうだけど、シャルのトラップだってそうだ。引っかかりすぎてたら幸運にも手にすることができたって話だが、その引っ掛かった誘導の罠の他にも、殺意マシマシの悪意の塊のようなトラップだってあったはず。その引っ掛からなかった本命ではないトラップに、簡単に人を殺せる類のものが一体いくつ紛れ込んでいたやら。

 俺もまだトラップらしいトラップは経験したことがないから、全部想像でしかないんだが。騙す系のものはあれど、攻撃的なやつは未経験だ。ここにもそれらしいものはなさそうだし、いつかそのうちお目にかかりたいものだな。

 ……ああでも、トラップだしマップに映りそうではあるか。嫌な予感がしない限り、俺だけカンニングは無しで行こう。


「ちなみにショウタ様、そのエルキネスのお話は聞いても良いのでしょうか?」

「良いと思うぞ、うちの嫁達は皆知ってるし。近々嫁になる皆にも知る権利はあるだろ」


 そう聞くと彼女達は嬉しそうにするのだった。



◇◇◇◇◇◇◇◇



 さて、暴露大会も終わった事だし、探索の続きと行こうか。

 といっても、暴露会の後、俺達は腰を下ろして『鷹の目』で全域をマップに映し出し、このエリアの情報はある程度得ることに成功していた。聞いていた通りこの階層は最下層で間違いないようで、次層へと続く階段は発見できなかったものの、いくつかの宝箱の存在を感知出来た。

 その数、約80個。

 そのほとんどが銀箱で、中には金箱も隠されているようだった。そしてその全てが海の底に沈んでいるようで、モンスターを蹴散らしながらサルベージをするとなると、敵のレベルは低くともそれだけで難易度は跳ね上がる。

 第一層が緩かったからと言って、第二層も緩いとは限らない訳だな。そういう意味では『ハートダンジョン』も似たような構成ではあったな。第一層は近付かなければ無害な連中がたむろする平和な場所で、第二層はひとたび安全エリアを踏み外せば、数の暴力に襲われるステージであった。

 また、宝箱の中には巧妙に隠されているパターンもあるようで『鷹の目』だけでは目視する事ができないものもいくつかあるようだった。恐らくそれが、先程手に入れた鍵を使う宝箱なのだろう。

 一応詳細を見ておくか。


 名称:黒のマーマンの鍵

 品格:≪遺産≫レガシー

 種類:アイテム

 説明:ブラックマーマンが落とした真っ黒な鍵。825ダンジョンにしか存在できないモノであり、対応する宝箱にしか反応せず、使用せずに持ち帰ろうとしても崩壊してしまう。また、非常に脆く12時間ほど経過する事でも灰になる。

 ★残り時間【10:58:04】


 わぉ。持ち出し厳禁と来たか。しかも時間制限付き。

 マッピングシステムで宝箱の位置を把握してなかったら、かなりシビアすぎる制限だな。てか、把握した状態でもほとんどがダミーの宝箱だし、その上――。


 名称:緑のマーマンの鍵

 品格:≪遺産≫レガシー

 種類:アイテム

 説明:グリーンマーマンが落とした緑色の鍵。825ダンジョンにしか存在できないモノであり、対応する宝箱にしか反応せず、使用せずに持ち帰ろうとしても崩壊してしまう。また、非常に脆く4時間ほど経過する事でも灰になる。

 ★残り時間【2:46:33】


 緑は滅茶苦茶短いし。改めて調べてみるとこんな感じだった


・緑のマーマンの鍵:消失まで4時間

・赤のマーマンの鍵:消失まで6時間

・紫のマーマンの鍵:消失まで8時間

・白のマーマンの鍵:消失まで10時間

・黒のマーマンの鍵:消失まで12時間


 しかもまぁ、雑談したりのんびり『鷹の目』で探索してたから、戦い終わってから1時間は経過しちゃってるし……。

 これは、気合入れて探索しなきゃな。

読者の皆様へ


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― 新着の感想 ―
>「良いと思うぞ、うちの嫁達は皆知ってるし。近々嫁になる皆にも知る権利はあるだろ」 ずっと気になってたんですが、 「嫁」って息子の配偶者って意味ですよね?
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