ガチャ756回目:暴露会②
自分のスキルや武器の入手経路の暴露会は、シャル、マリーが話し終え、3番手はテレサが前に出た。
「マリーのお次は私ですね。といっても、私は他の皆さんのように特殊なスキルはほとんど持っていません。バチカンが特別視している『聖印』のスキルを賜りましたが、それ以外は至って普通だと思います」
「まあ、『聖印』は俺も持ってるしなー。と言っても取得してる訳じゃなくて、在庫として抱えているだけではあるんだが」
だからテレサと出会った時の俺は、何を持ってして彼女をSランクたらしめているのか不思議で仕方がなかった。だが、『豊壌ダンジョン』で彼女と行動した今なら、彼女の優秀さをよくわかっているつもりだ。
「さすが主様。貴重な『聖印』を個人で複数お持ちなのですね」
「ああ。ちなみに在庫は風と水と光と天と神の5属性だ。特に水なんて無印からⅣまで揃ってるし、被っているのがなければあげようか?」
「お心遣い痛み入ります。ですけど大丈夫です。恐れながら、全ての『聖印』を取得しておりますので」
「お、そうなのか」
「ふふふ。テレサが『聖印騎士』と呼ばれているのは伊達ではないのです」
マリーが自分のことのように嬉しそうに言う。本当に仲良しだな、この2人は。……イリーナとレンカの『仲良し』とは違って、ごく一般的な方の『仲良し』だけど。
「ちなみに全部無印?」
「いいえ。全部Ⅱです」
「おおー。もしかして、バチカンが主導でテレサに全部の『聖印』を集めた感じなの?」
「はい。教皇猊下はバチカンに現れたダンジョン攻略には、全てⅡにする事は必須だと判断されたようです」
「なるほどなー」
『聖印』って、俺ですらまだ5属性しか見つけていないのに、それをガチャ無しに全属性集められるとは、バチカンの力ってすげーんだな。資金力もそうだけど、情報収集能力も高そうだ。今の所テレサとの関係で、あちらさんとは良好な関係を築けていると思いたいけど、アズの件がどう響くかだな。最悪鬼門というか、アズの存在で一気に関係悪化からの敵対も有り得るか。
けど、俺の『運』が仕事をしてくれれば、ワンチャン……あるかな?
「ああ、そうだテレサ。そのスキルだけど強化できるか試して良いか?」
「勿論ですっ。どうぞ!」
まだ何も説明してないのに、彼女は両手を広げて目を閉じた。信頼されてるなぁ俺。
その感情を空気で感じ取ったのか、そのままの姿勢でテレサは口を開く。
「主様には身も心も捧げておりますので」
恥ずかしげもなく笑顔でそう言われると、胸がときめくな。
「ありがとな。でも、目は開けて良いし両手を広げる必要もないぞ」
「そうなのですか?」
「ああ。じゃあ行くぞ……『スキル進化』を使用する!」
【使用者の意志を確認】
【対象の進化可能スキルを一括で進化させますか?】
「当然、進化だ」
【該当のスキルを確認】
【該当のスキルを進化成功】
【URスキル『破壊の叡智Ⅴ』、『魔導の叡智Ⅴ』を併合。EXRスキル『破魔の叡智Ⅴ』へ進化しました】
【URスキル『炎の聖印Ⅱ』、『風の聖印Ⅱ』、『水の聖印Ⅱ』、『土の聖印Ⅱ』、『雷の聖印Ⅱ』、『氷の聖印Ⅱ』、『光の聖印Ⅱ』、『闇の聖印Ⅱ』、『空の聖印Ⅱ』、『天の聖印Ⅱ』、『地の聖印Ⅱ』、『人の聖印Ⅱ』、『神の聖印Ⅱ』を併合。EXRスキル『万象の聖印Ⅱ』へ進化しました】
【SSRスキル『炎耐性LvMAX』、『風耐性LvMAX』、『土耐性LvMAX』、『水耐性LvMAX』、『光耐性LvMAX』、『闇耐性LvMAX』を併合】
【EXRスキル『全属性耐性LvMAX』へ進化しました】
【SSRスキル『体術LvMAX』、SURスキル『剣聖LvMAX』、『神盾術LvMAX』を併合】
【EXRスキル『守護者』へ進化しました】
【一部スキルレベルが不足している為、処理が実行できませんでした】
以前はただの『圧縮』でできていた『破魔の叡智』も、進化扱いになるようだな。まあ、特に効果は変わっていないようだけど。
「これは……!」
「期待してるぞ、テレサ」
「はい、お任せを!!」
正直言って、テレサの強みは『聖印』などではなく、持ち前の精神性とチームの守護者としての覚悟だろう。だから今回のコレが、彼女の主要な構成に影響を与えるとは思えなかったが、文字通り『守護者』なんてスキルが誕生するとはな。素材となったスキルの構成的に、『剣帝』と対を成すスキルだろう。図らずとも、彼女の他者を護るスキルがより強力になってくれたわけだ。
彼女の忠義に報いるくらいの事はしてやりたくて、特に彼女のスキル構成を見ずに『スキル進化』を使った訳だが、思わぬ成果が出たな。
あと、予想外のことではあったが、『聖印』はURだったか。となると、SURだった『刻印』の方が格上になる訳だ。俺的には『聖印』の方が上かとも思っていたんだがな……。となれば、俺も手元の聖印を全種類集められた時、2種の万象を得る事になるのか、獲得できず失敗に終わるか、試してみたいところだよな。
バチカンに、無印の在庫とか残ってたりしないかな……。
なんてことを考えていると、テレサのスキル進化を目の当たりにしたマリーが興奮した様子で駆け寄って来た。
「勇者様! テレサの強化、ありがとうございます!! それにしても、今のは一体……」
「さっき話した『レベルガチャ』で手に入れた特殊スキルの1つ、『スキル進化』だ。自分や他者問わず、条件を満たしたスキルを次の位階に引き上げたり、複合させて新種のスキルへと生まれ変わらせられるスキルだ。皆もついでに引き上げられる物は上げておくぞ」
で、テレサみたく特異スキルはなかったものの、全員『破魔の叡智Ⅴ』と『全属性耐性LvMAX』の条件は満たしていたらしく、ちゃんと進化というか、圧縮できたらしい。
「ああそうだ、テレサ」
「はい、主様」
「『体術』は併合後も再取得できるみたいだから、在庫から渡しておくな」
「感謝いたしますっ!」
スキル獲得の暴露大会が思わぬ結果を得られたが、残るは1人か。
エスの『風』と同格のクリスの『水』。果たして、どんな形で入手できたのやら。聞くのが楽しみなような、ちょっと怖いような。
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