ガチャ069回目:デカすぎだろ
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「旦那様、武技スキルを習得されたのですか?」
「ああ、どうやらそうらしい」
「おめでとうございますわ!」
「おめでとうございます」
「ありがと。早速、試し打ちしてみるかな」
「ご主人様。武技スキルは『魔力』を大幅に消費します。使い過ぎにはご注意くださいませ」
「そうなんだ? 情報ありがと」
そうか、『炎魔法』や『元素魔法』の力を使うんだもんな。そりゃ持って行かれるか。
……ここまで成長したからこその悩みなんだけど、何発で気分が悪くなるのか試すのが面倒な域になって来たな。『魔力』441だろ? 通常のファイアーボールなんて150発近く撃たなきゃいけないし、『魔力回復Lv2』があるから確認するのがいちいち手間だ。
どうにかして消費魔力を確認する手段が欲しい所だな……。
「『運』よ、何とかしてくれ……」
「旦那様?」
「いや、なんでもない。……『紅蓮剣』」
そう唱えると、スキルの行使方法が頭に浮かんだ。
……なるほど、ファイアーボールを剣に重ねるように出すのか。
『ボッ!』
そうイメージすると、剣に炎が纏わりついた。
刀身に手を伸ばせば熱を感じるが、持ち手の部分までは熱量は届かないらしい。使い手が熱い思いしてたらやってられないもんな。
「わぁ……キラキラしていて綺麗ですわ!」
とりあえず近場にいたゴブリンで試し切りした。どうやら、切り口は焼け焦げ、そのまま延焼させる能力があるらしい。剣の切れ味を持ったファイアーボールみたいなものだろうか。
こりゃまた便利な能力だ。
そして使用してから10分ほどで炎は消え去った。
問題の刀身だが、どうやら熱にやられてダメになることもないらしい。よく見えなかったが、実際は刀身の外側に発生しているんだろうか? まあ何にせよ、純粋な攻撃力が上がったと見て良いだろう。
「使い心地は上々。二本とも同時発動もできるようだし、当たりスキルだな」
「おめでとうございます、ご主人様」
「旦那様がより一層強くなって、わたくしも鼻高々ですわ!」
「ああ。それじゃ、ラスト100匹。狩りにいきますか」
「はいですわ!」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「これで99っと」
100匹を目前に、俺は連れ歩いていた彼女達を見た。アヤネには多少の疲労が見えるが、アイラは変わらずの無表情だ。俺ですらちょっと疲れたかなと感じてるのに。
「2人とも、これからレアモンスターが出るけど、通常とは違う可能性がある。気を引き締めておいてくれ」
「存じておりますわ。強化体、と言う物ですわね?」
「うん。……ちなみに、どこで知ったのか教えてもらえる?」
「会議を聞いてましたの!」
「君の親は支部長か何かなの?」
「はいですわ。こっそり聞いてましたの!」
姉妹とは家の関係で知り合いって話だったし、それなら知っていてもおかしくは無いのか。それに、マキも支部長じゃないのに参加してるから、割と信頼のおける家族なら、気軽に参加できるのかもしれない。
昼食時に聞いた、例のお願いのせいで、会議は半端なところで中断されたとは聞いていたけど……。要件だけは伝えれていたのかな?
「とりあえず俺が率先して行くけど、必要と判断したら支援して欲しい」
「その判断はわたくし達でして宜しいんですの?」
「ああ。もうそのくらいには信頼してる」
そう言うとアヤネはパァっと顔を明るくした。アイラは即座に頭を下げたから表情は読み取れなかったけど。
「それじゃ行くよ」
角の近くで100匹目を討伐。するといつもの様に最寄りの角へと煙が進むが、その速度はいつもの倍近く速かった。
どうやら強化体は即沸きするらしいな。『黄金蟲』の時も、距離が離れていたとはいえ速度が尋常じゃなかった。
角に到着した煙はすぐさま膨張し、煙の中から実体を持った存在が現れる。
だが、その姿は遠目からでもハッキリと異質さが伝わってきた。
「なあ。あれ、デカくない?」
「大きいですわね。3メートルくらいはあるのではありませんこと?」
「お嬢様の推察通りかと。武器も鎧も、奴の体躯に合わせて巨大化しております」
「『鑑定』」
*****
名前:ホブゴブリン
レベル:30
腕力:300
器用:200
頑丈:280
俊敏:150
魔力:500
知力:40
運:なし
装備:魔鉄の大剣、魔鉄の全身鎧
スキル:怪力Ⅱ、限界突破
ドロップ:ランダムな魔鉄装備、ホブゴブリンのトロフィー
魔石:大
*****
『黄金蟲』の時はサイズアップしなかったのに、こっちは随分と違うんだな。
「……なるほど、これは苦労しそうだ。2人とも、手伝ってくれ」
「はいですわ!」
「お任せください」
「行くぞ、『紅蓮剣』、『迅速Ⅱ』!」
抜剣し、両方に炎を纏わせた俺が吶喊する。
その距離が半分ほどに縮まったころ、奴はようやく俺を視界に捉えた。
『グオオオオオッ!!』
デカくなった分、叫び声も5割増しだ。
「うるせえな!」
顔をしかめつつ切りかかろうとするが、その巨体だ。目の前には巨大な『魔鉄』製の鎧。一見攻撃するところは無いように思える。だが、デカくなった分、繋ぎ目はしっかりと見えている。
「おらっ!」
ズパッ!
『ホブゴブリン』の脇腹を切り裂くと同時に焼く。どうやら『紅蓮剣』は、『魔鉄』の上からでもある程度の効果があるらしい。
『グオオオッ!?』
「さっきから喧しいですわ! ビッグファイアーボール!」
『炎魔法Lv3』から扱える、超巨大な炎の球が放たれた。球の直径はアヤネの身長と同じくらいの巨大さで、魔力消費も30と重い。
そんな球が『ホブゴブリン』の顔面に直撃した。
『グオアアァッッ!!』
武器を取り落とし、『ホブゴブリン』は必死になって爆炎に飲まれた顔を庇う。
「隙ありですね」
姿を隠していたアイラが奴の背後に現れ、両足のアキレス健を刺し貫く。それにより、自重を支えられなくなった『ホブゴブリン』は膝を付き、丁度良い所に奴の首筋がやって来た。
「旦那様!」
「ご主人様」
「ああ! 『怪力Ⅲ』『金剛力Ⅱ』!! おりゃっ!!」
2本の剣をハサミに見立て、挟み込むようにしてぶった切る。剣閃だけでは奴の首を断つことは叶わなかったが、追加効果の爆炎で、奴の首から上が空高く吹き飛んだ。
『ホブゴブリン』の巨大な頭は、残された胴体と同じく、煙となって霧散した。
「ふぅー……」
【ホブゴブリンのトロフィーを獲得しました】
【レベルアップ】
【レベルが5から46に上昇しました】
はは、一気に40アップとか。低レベル補正掛かり過ぎだろ。
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