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ガチャ054回目:新たなる出会い

(2/2)

1/16と1/17に3話ずつ差し込み入れます。しおりがズレてしまった方申し訳ありません!

 そして翌朝。

 朝食を食べ、改めて必要な物をチェックしていると、不意にスマホが鳴った。


 この着信音は、マキだ。


「もしもし」

「おはようございます、ショウタさん」

「おはよう。どうしたの?」

「えへへ、昨日のお返しです」


 昨日の? ……ああ、そういうことか。

 くそ、可愛いな。


「もうすぐ会えるってのに、我慢できなかったの?」

「はい。それに、一度やってみたかったんです。モーニングコール……」

「なるほど。じゃあ日替わりでお願いしようかな。アキも聞こえてるよね?」

「うん、やるやるー!」


 朝から元気の良い事で。


「それじゃ、またあとで」

「はい。また」

「またねー!」


 電話を切り、晴れやかな気分で用事を再開する。

 必要なものはリュックへと詰め込み、掃除をしてゴミを出す。


 そして最後に、1度部屋を見回し、見納める。


「……3年間、お世話になりました」



◇◇◇◇◇◇◇◇



 いつものように電車に乗り、いつものように協会への道を進む。

 『黄金の種』などの私物は、リュックに入れて持ってきたけど、一度協会に預けてしまうか。利用したことは無かったが、冒険者ならだれでも使えるロッカーがあったはず。


 そんな事を考えつつ、あと数分で協会……といった所で、小さな影が道を遮った。

 視線を下ろして見ると、そこには上質な服を纏った少女がいた。その少女に見覚えは無かったが、相手の視線は明らかにこちらを捉えており、俺に用があるのは間違いないようだった。


「あなたが、アマチ、ショウタ様であってるかしら」

「そうだけど……君は?」


 不遜な物言いと、その態度から滲み出る自信の表れ。ツインテールを風に靡かせた金髪の少女は、ドヤ顔で言ってのけた。


「わたくし、冒険者ですの。あなた様と同じですわね」

「ふぅん?」


 金髪ツインテールという、いかにも生意気そうな見た目だが、言葉遣いと所作は、思いのほか丁寧だった。低身長も相まって、随分と幼く見えるが……学生さんか?

 今日は平日だし、学生なら学生服を着てるはずなんだが……。冒険者だっていうし、免除されてるのかな。


 一応ダンジョン関係のお仕事は、男女問わず中学卒業後から就業する事が出来る。その際、ダンジョンの協会員として、受付や調査員の仕事に就くか、自らダンジョンへと潜る冒険者になるかが選べるわけだ。

 まあほとんどは、直接就業せずに、専門の学校に通って知識やトレーニングを積み重ねて、ようやく本番入りするわけだけど。特に冒険者業は、何の準備もなしに行っては死亡率が高いからな。


 少女をよく見ると、その胸には冒険者の等級を表すバッジが装着されていた。バッジの色合い的に、恐らく学業よりも冒険を優先している子なのかもしれない。

 そこに輝くのは、俺より2つ上のDランク。一応目上ということになる。

 年下だろうと下手な扱いは出来ない。この服も、普段着に見えて上等な防具なのかもしれないな。若いのに頑張ってるんだなー。


 俺も一応、胸にはバッジを身に付けてはいるが、最下級の1個上の物だ。

 『アンラッキーホール』で大量に魔石を稼いでいた時に、アキから「昇格したよー」と言われて受け取った、年季の入った物だけど……。あれも、かなり前の事だよな……。

 今日のオークションの後に更新する予定だと言うけど、それまでは俺のランクはこの通りFのままだ。


「それで、こんな低ランクの俺に、何の用かな?」

「あなたに会いに来ましたの。お話、宜しいかしら」


 そう言って少女は、近くの喫茶店を指さした。

 これがただのファン、というなら全然よかったんだが。そんな筈はない。スキルオーブの大量確保などの活躍をしているが、それはまだ協会内部で秘密になっているし、一般の冒険者には知らされていないのだ。俺個人が話題に上がるとしたら『スライムハンター』かマキの専属絡みかのどちらかだけだろう。

 ……だというのに、俺の『直感』がどちらでもないと警鐘を鳴らしている。どうにも不穏な空気だ。


 そう思って、『直感』の命ずるままに『鷹の目』を使用した。

 すると、俺はそこで、ようやく今の状況を把握した。


 ……仮にこの少女1人が相手だったとしたら、どうとでも出来たんだろう。

 けど、『鷹の目』がもう1人の存在を捉えてしまった。


「……」


 俺の背後、約2メートルくらいの位置に、メイド服姿の女性がいた。この気配、明らかに手練れだ。()()()()()と思わなければ、見失ってしまいそうな不思議な感覚。こんな近距離にいるのに、『鷹の目』で見るまで、その存在にまるで気付かなかった時点で異常だ。

 『金剛外装』を使えば逃げ切れるかもしれないが、俺の『直感』が、それでも止めておけと告げている。そもそも街中で戦闘スキルを使うのはマナー違反だ。大事な彼女達にも迷惑が掛かるだろう。


 一体、いつの間にマークされていたのやら。

 少女に呼び止められるまで、気付かずにのんびり歩いていたんだから、俺もまだまだってことだよな。

 

「……時間はかかるかな?」

「すぐに済みますわ。あなたの、返答次第ですけれど」


 少女は挑発的に微笑む。こうなる理由にまるで心当たりが無いが、仕方がない。

 ここは素直に受けるとしよう。


「それじゃ、専属に連絡だけさせてくれ。1時間ほど遅れると」

「まあ。正解ですわね。あなたの専属なら、30分程度なら当然のようにエントランスで待ち続けますもの。まるで忠犬ですわ」


 少女がくすりと笑う。


「……うちの専属と、知り合いなのか?」

「ええ、それはもう」


 ああ……。これは、本当に面倒ごとの予感がする。

これにて2章終了です。ここまでのご愛読、ありがとうございました。

引き続き毎日投稿の予定ですが、1/16及び1/17は閑話を3話ずつ投下予定です。

内容はローファン定番の掲示板ネタですが、位置づけとしましては1日目~6日目までの物ですので、該当する日の間に差し込む予定です。本編再開は1/18予定。


それでは、今後ともよろしくお願いします!


読者の皆様へ


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― 新着の感想 ―
[一言] 更新ありがとうございます。 途中に差し込むと更新日付見ないとどれかわからなくなるので、最新話に入れて時間軸だけ最初か最後に記載すればいいと思います。
[良い点] ひたすらにダンジョンの謎?を追ってるのが、面白いです。主人公にとって、富や名声は副次的な感覚なのがいい。 [気になる点] 差し込みとっても分かり辛かったです。毎日更新されてるようだったのに…
[気になる点] 全体的に良作だけど、ただ数ページ同じページがあるのでそれを編集してほしいです
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