ガチャ040回目:それは脅しって言うんだよ
12/25の投稿開始からちょうど半月。この度、ローファンタジー月間1位の栄誉を賜りました。
今日から3日連続3話です(1/3)
「おっと」
ダンジョンを出た瞬間バランスを崩した。急に、彼女達2人を抱える事に負担を感じたのだ。重みが増したわけではなく、俺の力が弱まったような感じだ。
『金剛力』の力が切れたのか? いや、それだけじゃ、どうにも腑に落ちない。
「あ、降りますね」
「素敵な時間だったわ」
2人は俺の変化に気付いたようで、さっと飛び降りた。彼女達が離れても、俺は違和感が拭いきれずにいた。
「ショウタさん、体調が悪いのですか?」
「あれだけ暴れたらねー。でも、本当にしんどそう。どこかで休む?」
「……いや、恐らく『金剛力』の影響かもしれない。力の上昇量は『怪力Ⅱ』とそう変わらなかったのに、効果時間はとんでもなく長かった。どうやら、その反動らしい。リスク有のスキルみたいだ」
長時間パワーアップ出来るメリットはあるが、その反面効果が切れるとパワーダウンする。これは中々、使いどころが限られるスキルだな。少なくとも常用は出来そうにない。
「ふうん……って、それ使ってあたし達を抱えてたって事よね!? そんなに重かったってこと!?」
「ショウタさん……」
「ああーいやいや、試しに使ってみたくて。2人には大量の素材を持ってもらってたし、それに剣や金のアイテムも」
「「ぷっ」」
しどろもどろに答えると、2人が吹き出した。
「冗談よ、じょーだん」
「ふふ。報告に帰りましょう」
「やれやれ……」
すっかり騙された。
ご機嫌な2人を追って、協会の扉をくぐった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
2人は今朝並んでいた窓口を無視して、壁際にいた職員さんに何か話しかけていた。最初は普通に応対していた職員さんも、顔を白黒させて慌てて奥の部屋へと案内してくれた。
そのやり取りの最中で、抜けていた力が元に戻った感触があった。……パワーダウンは5分の間、約80%ほどになる感じか。やっぱり、戦闘中に起きると困るな……。時間を測りながら使う感じにするか。
案内された応接室のような場所で、3人横並びで座り、ここの支部長を待つ。
「さっきの職員さんに何て言ったのさ」
「支部長を呼んでって言ったのよ」
「それだけであんな顔する訳ないだろ」
「本当は穏便に済ませたかったんですよ? なのでまず、私と姉さんの『協会ランク』を提示しました。本来ならそれで通してくれるのですが、どうやら本当に外せない用事らしくて……」
「だからこう耳打ちしてあげたの。第一層に未確認のレアモンスターが出現した。安全安心を謳うデートスポットに、そんなものが出現したと知られたらパニックになるわね~? って」
「……エグイ事をするなぁ」
まあ、もしもそんな噂が広がりでもしたら、ここのアトラクションは閉鎖になりかねない。あれはマップの隅からは動けそうにない奴だったが、それでも未知のレアモンスターというのは恐怖の象徴だ。ありもしない偽情報に、カップル達の足は遠のくだろう。
……てか俺、そんな事になりかねない奴を、必死に呼ぼうとしてたってことか?
……考えないようにしよう。
それよりもまずは、今後のアレの対処法を考案したほうが建設的だ。
それから3人でのんびりするも、支部長はまだ来なかった。
「本当に忙しいらしいわね。まあ、何で忙しいかは知ってるけど……」
「そうなのか?」
てか、知った上で無理やり呼ぼうとしてるのか。
「でも、この情報の価値はそれくらいあると思います。どれだけ忙しくても、耳に入れて頂かないと。今回はショウタさんが狙って出しましたが、不意の事故で呼ばれる可能性もあるということなんですから」
「ところで、時間があるようだし気になったんだけど、さっきの『協会ランク』ってなに?」
冒険者にも『冒険者ランク』ってのがあるみたいだけど、興味なかったから詳しく知らないんだよね。
「あ、はい。簡単に言えば、協会内に所属する人たちの、役職や地位を数値化したものです」
「マキがランク3であたしが4。お母さんが6で最大7よ。ざっと説明すると1が見習いで2が中級。3が上級で4が特級。5、6で幹部クラスで7がトップね」
「受付嬢は1~3です。4から6は支部長職で、7が局長になります。まあこちらは、冒険者達のシステムをお借りした物なので、協会関係者以外ではあまり役に立ちませんけどね」
そう言って、2人が普段職員として身に付けている名札を見せてくれた。よく見れば、マキのには3つ、アキのには4つの★マークが小さく入っている。これがランクを表すのか。
「ふうん。よくわからないけど、2人が優秀なのはわかったよ」
「えっへん」
「えへへ」
3人でじゃれ合っていると、ようやく部屋にノックの音が響き渡る。入って来たのは若い女性と先ほどの受付嬢。名札の★は、4個と2個だった。となると、アキさんと同格……つまり彼女がここの支部長というわけだ。
「遅れてしまい申し訳ありません。会議の最中だったもので」
「ヨウコ先輩おひさー!」
「だ、誰かと思えばアキちゃん!? 支部長会議にいないと思ったらこんな所に……」
「え、知り合い……てか会議?」
アキの知り合いという事も驚きだが、それよりも聞き捨てならない単語が聞こえた。
アキを見ると、彼女は可愛らしく舌を出した。
「あ、さっきアプリに、緊急で会議を開くって通知が来てたのよ。でもあたし達ダンジョンにいたわけだし? 丁度良い所だったのと、専属の仕事が優先だから休むって返事したのよー」
「元はと言えば貴女の発案書が会議の発端なのに、当の本人が休んでどうするのよ」
「いやー、ごめんね先輩」
「ほんっと貴女ってば昔から……!」
ダンジョン協会第810支部の支部長……ヨウコさんの口ぶりから察するに、アキは学生時代からこんなだったようだ。当時はこの先輩をさぞ振り回したことだろう。そんな情景がありありと浮かぶ。
「それで、何の用? この子は顔を真っ青にしてるし、会議中にはとてもじゃないけど言えない事みたいだったから、途中で許可をもらって抜けて来たけど……」
「あ、ここからは私が」
「貴女は……妹のマキちゃんよね。アキから聞いているわ。とっても優秀なんですってね」
マキはにこりと微笑むが、すぐさま真面目な表情に切り替えた。
「本日はお時間を頂き感謝いたします。単刀直入にお伝えします。第一層にレアモンスターを発見。これを討伐しました。証拠はこちらに」
そう言って彼女は、青ざめるヨウコさんの前に、3つのドロップアイテムと、記録した端末を置いた。
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