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ガチャ035回目:花畑デート

今日は2話です(2/2)

 俺達は電車に乗り、四駅離れたところにある、ダンジョン協会第810支部。通称『ハートダンジョン』へとやってきていた。


 駅から出た瞬間思ったが、この場所はどこを見渡してもカップルカップル。お一人様で来たら、きっと目立つし、肩身が狭い思いをする事だっただろう。でも今は、美人姉妹に挟まれていて、それはそれで目立っていた。

 これはこれで気まずいというか、気恥ずかしいな。


 協会の内部を見てみると、そこもやはり、ダンジョン慣れしていない人達で溢れており、ほとんどが一般のカップルなんだろう。受付ではそんな彼らに対し、デートコースの案内がされていたり、ボディーガード用の冒険者を紹介していたりしていた。

 どうやらここで選ぶボディーガードは、全員フルフェイスを着用しているようだ。これも、デートの邪魔にならないよう配慮した結果なんだろうか。デートの最中、近くにこちらを伺う他人の顔が映ったら、気になって仕方が無いからかな?


「うーん、ここは完全にアトラクションみたいだな」

「そうねぇ。ここは出現して、すぐに噂になったのよ。危険なモンスターがほとんどいなくて、景色も良い最高のダンジョンだって」

「この賑わいよう。出来て2年のダンジョンだとは思えませんよね」

「一般の人に広めるって、中々ハードルが高かっただろうに。商魂たくましいというか、なんというか」


 『安全なダンジョン』という話は聞いた事があったが、ここまでお気楽なダンジョンだとは夢にも思わなかった。


 ちなみにどこのダンジョンもそうなのだが、外からフラっとやって来て勝手に入ったりは出来ないようになっている。それは捜索届が出された際に混乱しないためであったり、協会の許可が下りていない人間が紛れ込んだりしないようにするためだ。

 当然ほとんどのダンジョンでは、入り口に検問が設置されており、協会で毎日発行される手形を見せて入場する仕組みになっている。例外は『アンラッキーホール』くらいの、完全不人気ダンジョンくらいだ。


 その為、俺達は今手形を発行してもらう為、『デートコース案内状』の看板が備え付けられた、受付カウンターに並んでいた。


「はじめて来たけど、結構いい雰囲気ね」

「皆さん笑顔で対応していますし、大きな問題は起きていないようです」

「ま、基本的な事を守る限り大事件は起きないでしょ」

「2人はここに来たことはないんだ? それなりに近場ではあるけど」

「そりゃそうでしょ。ここはカップル専用ダンジョンよ? ちなみに、ショウタ君が初めてなんだからねっ」


 アキが照れながらも腕を絡めてくる。


「ここの協会のメンバーとして働く場合、既にお付き合いされている方がいらっしゃったり、婚約もしくは婚姻されている方が、優先されて配属されますから」


 そう言いつつマキも、反対側の手を握ってきた。


「えーっと、それはどうして?」

「そりゃ、毎日こんなカップル達を眺めなきゃいけないのよ? 彼氏のいない独り身だと地獄よ。絶対心を病むわ」

「……それもそうか」


 男としても、彼女がいないのにこんなところで毎日仕事をしていたら、血の涙を流していそうだ。


「ちなみにですが、ここのダンジョンは基本的に4層以下は一般開放されていません。1~3がデートコースに指定されているんです。それぞれ上から花畑、海岸、森林浴。となっているそうです」

「へ~。より取り見取りなんだな。けど、そんなに広いのにレアモンスターの発見情報はない、と」

「はい。気になりますか?」

「そりゃとっても」

「素直でよろしい」

「ふふ、ショウタさんらしいです」


 そんなこんなで俺達の番となり、専属2名同伴という組み合わせに驚かれたが、しっかり俺は冒険者として認められ、案内人は免除して貰えた。一応彼女達は受付嬢ではあるが、専用の訓練は受けているものの、扱いとしては一般枠らしい。

 その為、彼女達を連れて4層以下へ降りることは出来ないようだった。まあ、今日は探索や狩りに来たんじゃなくて、デートだから良いんだけどさ。


 あと、どうやらここでは、装備のレンタルもさせてもらえるらしい。

 デートの為におめかししていた彼女達も、一応ダンジョンということもあり、女性用の軽装備を借りる事にしたようだった。



◇◇◇◇◇◇◇◇



「わぁ……!」

「「おおー」」


 目の前には、現実では遠出をしなければ中々お目に掛れない光景が広がっていた。辺り一面花畑。この景色は、都市部では見られないよな。

 所々鬱蒼とした森が点在しているが、その森によって分断された花畑は、それぞれ色や種類が異なるようだ。そのおかげもあってか、カップル達は一所に立ち止まることなく、あちこちでペアが歩き回っているようだった。


 それにしても、本当にカップルごとにフルフェイスの冒険者がついて回ってるなぁ。

 ここの光景としては平常運転なんだろうけど、傍から見たらシュールだよな。


「マキ、ここに所属している冒険者ってアルバイトかなんかなの?」

「そうですね。危険を冒してまで大金を求めない安定志向の方々には、こういったダンジョンでの仕事を推奨されます。モンスターは手を出さなければ安全ですし、もし手を出してしまってもそんなに強くはないようです。ゴブリンさえ倒せれば問題ないのだとか」

「スライムに飽きてたら、あたし、ここにショウタ君を推薦するつもりだったのよ」

「そうなのか? うーん、でも独り身でここに放り込まれるのはキツイだろうな……」


 仮にどれだけ『運』を伸ばしても、スライムのレアモンスターに出会えなかったとしたら……。うん、俺は最弱のままで、冒険者としての楽しみは見つけられなかっただろうな。


「何言ってるのよ。その時はマキ……は支部長が許さなかったとしても、あたしがいたでしょ」


 そんな世界線もあったんだろうか。

 でもなぁ。


「今のアキとの関係はマキの仲介ありきだと思うんだよな。だから、マキと関係を結べなかったらアキとも疎遠のままだった気がする」

「姉さん、押しが弱いから、きっとそうなっていたかも……」

「ううーっ。……いいもん、今は一緒だから!」


 そういってアキは俺の腕を取る。まったく、アキが言い出したのに。


「ふふ。ではショウタさん、どう行きますか?」

「え、俺が決めて良いの?」

「はい。今日はショウタさんの普段の冒険を間近で見させていただきます」

「あたしもマキも、ある程度のレベルはあるから心配は要らないからねー」

「それじゃあ……そうだな。マップの端を埋めたいんだけど良いかな?」


 協会で貰った地図を指し示しつつ、スキルとしてのマップを埋めようと提案した。


「お供します」

「レッツゴー!」


 そうして、探索&デートが始まった。

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― 新着の感想 ―
なるほど810(ハッテン)場ダンジョンか
[一言] 作家に真剣に聞きたいのですが。 本当にこのようなハーレム要素が小説の面白さにつながると思いますか。 むしろスキルの検証と挑戦の話の方がずっとお得ではなかったでしょうか? ありきたりな素材の量…
[一言] 野獣支部…
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