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ガチャ026回目:またもや新発見した

今日もまた3話です。(2/3)

 『怪力』スキルの二重使用をしても何の効果も得られなかった俺は、しばらく落ち込んだ。


「くそー、勿体ない事をー! でも、もう取得してるにもかかわらず、スキルオーブを使用できるってのは変だよな。これは、他のレベル制のスキルが存在してる弊害か? それとも……」


 俺の中に、またしても危険な考えが渦巻いた。


「……とりあえず、もう100匹追加で狩るか」



◇◇◇◇◇◇◇◇



「『怪力』使用。おりゃっ」


【レベルアップ】

【レベルが18から22に上昇しました】


 本日()()()の『ホブゴブリン』を、また出オチさせた俺はソレを拾い上げる。


「もしかしたら、2回の重ね掛けでダメでも、3回重ねる事で効果を発揮する可能性が……。いやしかし……」


 スキルオーブを握りしめ、本日3度目の苦悩をする。そう、3体目の『ホブゴブリン』のドロップで、2個目のスキルオーブまでも無駄にした俺は、新たにもう1匹追加で倒したのだ。

 レベル上げのついでに取れるからと判断しての事だった。


「これも無駄にしたら、9000万もの大金を無駄に……。いや、この数時間何もドロップしなかっただけと考えればまだダメージは少ない」


 まあ、雑魚のドロップを全スルーしてる以上、大剣と『中魔石』以外、手元には何も残らないんだが。

 色々と言い訳を考えつつ、結局使う事にした。


「『怪力』を……使用する!!」


 スキルオーブが消え、効果が発揮されたのを確認した俺は、若干諦めつつもステータスを確認した。


*****

名前:天地 翔太

年齢:21

レベル:22

腕力:140(+115)

器用:104(+79)

頑丈:135(+110)

俊敏:145(+120)

魔力:98(+75)

知力:118(+95)

運:282


スキル:レベルガチャ、鑑定Lv2、鑑定妨害Lv4、自動マッピング、身体強化Lv4、怪力Ⅱ、迅速、予知、投擲Lv1、炎魔法Lv1、水魔法Lv1

*****


「……よっしゃ!! ここまでの努力は無駄じゃなかったんだ。重ね掛けには、意味がある!」


 Ⅱになったってことは、重ね掛け次第でⅢになることも……。

 あれ、てことは、レベルガチャも……?


 いや、しかしそれは危険だ。またあの地獄をやり直すだけだ。しかも1回じゃない。最低でも3回は必要になるんだ。

 今の『運』はあの時の4倍以上だ。けど、この程度ではまだまだ途方もない時間がかかるだろう。せめて……そうだな。『運』が1000は欲しい。いつになるかは分からないけど、それくらいないと再戦は厳しいだろう。

 なぜなら、スライムのレアモンスター枠は確認できただけでも7段階はあるんだ。1000もあれば、今までの傾向からしてレア枠4体目の『紫』までは確定で出るはず。そこからなら……うん、現実的に『虹』を出せそうだ。


「あ、やば。約束の時間までもうあまりないな。ガチャは後回しにして、戻りながら『怪力Ⅱ』の検証をしよう」



◇◇◇◇◇◇◇◇



 協会へと戻ると、2人ともエントランスで待っててくれていた。


「おかえりなさい、ショウタさん!」

「ただいま、マキ。アキさんも」

「あたしはついでかー! でもやっぱり、あたしの言った通りだったでしょ」

「そうね、本当に5分前に戻って来るなんて……」

「あはは、流石アキさん……」


 俺の行動を完全に把握されてるな。


「それにしてもショウタ君、嬉しそうな顔してるわね。そんなにマキの手作り弁当を楽しみにしてたの?」


 アキさんの発言に周囲が騒めいた。相変わらずこの人は爆弾を投下するなぁ。ここに居続けてはアキさんが何を言い出すか分からないし、さっさと離れよう。


「まあそれもありますけど、とりあえず奥行きません?」

「そうですね、行きましょうショウタさん」

「もー、2人とも待ってよー」



◇◇◇◇◇◇◇◇



 ガチャンッ!

 いくら『腕力』と『頑丈』が高くなったとは言え、この荷物はちょっと嵩張るし、密度もある分、重すぎたな。


 刀身部分は防刃対策が施されたリュックの中だが、長すぎて柄が飛び出てしまっている。バラけないよう柄は縛ってるから、見方によっては1本に見えるかもしれないが、しっかりと見れば4本あることが分かるだろう。


「ショウタ君、それってやっぱり……」

「あー、精算を先に済ませたほうが良いかな?」

「気になるからお願い~」

「私も、ちょっと信じられないので……」

「あはは、ならしょうがないね」


 俺としてはあの並べられたお弁当が気になるんだけど……。多数決で負けてる以上は俺が折れるしかないか。端に避けられていくお弁当を眺めていると、マキが申し訳なさそうにした。


「ごめんなさいショウタさん、今日はいっぱい作ってきましたから、あとでゆっくり食べましょう?」

「……わかった」

「よしよし、食いしん坊な子ねー」

「ふふ」


 朝の仕返しか? アキさんが頭を撫でてきた。それにマキも。


「……戦利品、置きますね」

「照れてるー?」

「もう撫でてあげませんよ」

「じょ、冗談だからっ」

「……はぁ、わかりましたよ。はい、今朝の戦利品の『鋼鉄の大剣』4本と、『中魔石』4個です」


 アキさんとマキはごくりと喉を鳴らして4組のソレを見る。そして続きを促す様にリュックを見たが、今日の戦利品はそれだけだ。もう終わりだよとジェスチャーをするが、彼女達は信じられなかったのかリュックの中を直接確認しだした。

 いやだから、何も入ってないってば。


「え、これだけ!?」

「ショウタさん。『極小魔石』は、どこに……?」

「あ、面倒だったので拾ってないよ」

「捨てたの!?」

「いや、倒してすぐ次へ向かったから。そもそも拾ってない」

「「ええ……」」


 2人が信じられないものを見るかのような目で見てくる。そんなに……?


「大量の魔石を持ってこないなんて、ショウタ君のアイデンティティが……」

「ちょっと、俺の存在意義ソレ!?」

「ふふ、冗談ですよショウタさん」

「なんだ冗談か……」

「大物を倒すのに忙しかったんですよね。ただ、それ以外何もないって言うのは衝撃的でしたけど……」

「……」

「あはは、ごめんショウタ君。ちょっとあたし達、これが4つも並んでいる現実を直視できなくて……。でも魔石がないなんて」

「……いいんです。俺なんて大量に魔石を取るくらいしか能がありませんから。報告終わったんで食べて良いですか」


 まさかここまで魔石がない事をいじられるとは。

 俺はもう投げやり気味に弁当へと視線を動かした。食べるまで視線は弁当から離さないからな!


「ご、ごめんなさいショウタさんっ」

「じょ、冗談だってば。もー、機嫌直してよ~!」

読者の皆様へ


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― 新着の感想 ―
[一言] アキさんマキさんとの会話は発言者が分かり辛いです。わざわざ3人の会話でなくてもいいような。
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