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ガチャ262回目:新キャンプ

 ちょっと頑張ればこのまま『充電』が終わらせられそうであることを告げるが、彼女達からはストップをかけられた。


「ショウタさんの気持ちもわかりますが、強化体を倒すまでに想定以上に時間が経過してしまいました。これ以上の戦いは、集中力の低下を招きますから危険です」

「そうそう。いくら道中の雑魚も、レアモンスターも作業で倒せるからと言って、不意の事故が起こらないとは言えないんだからね。もし何か起きても、その時のパフォーマンスが落ちてたら事故に繋がりかねないの。だからあんまり無茶な行動は、専属権限でストップさせて貰うわ。良いわね?」

「ハイ……」


 もどかしい気持ちもあるが、2人の言ってる事も正しい。けど、目標が近いにも関わらずお預けを食らったような気持ちになり、項垂れてしまう。


「旦那様、焦る必要はありませんわ。最初の目標であるトロフィーの獲得は出来たんですもの。ここでリセットしても何も問題ありませんわっ」

「そうです。気になるスキルやアイテムも得られましたし、ひとまず帰還しましょう」

「……そうか、そうだな。得られる物は間違いなくあったんだし、落ち込む必要はないよな。アキもマキも、ごめんね」

「いえ。気にしないで下さい」

「そうそう、焦ったっていいこと無いわ。ショウタ君は、追加で得られた『ラミア』の宝箱が2つだったのを気にしてるんでしょうけど、今の『運』で確実に出現させられる保証もないもの。あと1匹、あと1匹って追い続けると、沼る可能性があるわ」

「……ふむ」


 何事も深追いは禁物か。アキの言う通りだな。



◇◇◇◇◇◇◇◇



 そうして第二層の出口付近へと戻ると、少し離れた所にアイラが家を取り出した。

 ……うん、言葉にするととんでもない事だが、事実なんだよな。アイラの腰巾着から家がにゅっと飛び出したんだから。


「……すっごい光景ね」

「なあ。俺、コンテナハウスって聞いて真四角の豆腐ハウスをイメージしてたんだけど、街中にあっても違和感ない出来だぞコレ」

「外装にもこだわらせていただきました。ここは『A+』ランクの冒険者が寝泊まりするところなのですから、チンケな掘立て小屋など用意できる訳がありません」


 ドヤ顔で胸を張るアイラを尻目に改めて外観に目を向けると、そこかしこに監視カメラらしきものや外灯が見えるし、玄関口にはエンキが門番をするための台座のようなものまで見える。多分内部には発電機もあるんだろうし、警備体制はバッチリのようだな。

 そうして肝心の中に入ってみれば、皆が十分に休める寝室に、広々としたキッチン。家よりも広い浴室とトイレまで。うーん、5人+3人と考えると少し手狭かもしれないけど、普通に住めるぞ? これ。


「いかがでしょう、ご主人様」

「普通に有り」

「それはようございました。それと、BDレコーダーも持って来ていますので、エンキ達もここでアニメが見られますよ」

『ゴ? ゴゴ!』

『ポポー!』

『プルル』


 そうなのだ。

 ここ最近、彼らは子供向けのアニメに嵌っていて、アヤネも混ざって4人でいろんなジャンルの物を視て楽しんでいる。俺もたまにちらっと見てるが、エンキのイチオシは確か、変形式のロボット物だったかな? 自分がそうだから親近感を覚えているのかもしれない。


「では、早速戦利品の精算をしましょう」


 そうして皆でリビングのテーブルに集まり、アイラがドロップ品を並べてくれる。

 まずスキルが……。


 『震天動地』3個。

 『震天動地Ⅱ』1個。

 『水流操作Lv1』3個。

 『水流操作Lv3』1個。

 『風魔法Lv3』2個。

 『水魔法Lv4』2個。

 『土魔法Lv4』2個。

 『魔導の叡智』2個。

 『魔力回復Lv2』2個。

 『酒耐性Lv2』1個。


 そして……。


 『金の宝箱』3個。

 内訳は『ラミア』2の『オロチ』強化体1個だ。


「そういえば、在庫に『破壊の叡智』のスキルが1個だけあったよな」

「はい。ございますね」

「じゃあそれの『圧縮』実験からやってみようか」


 そうして誕生した『破魔の叡智』を『真鑑定』で確認してみる。


 名前:破魔の叡智

 品格:『固有(ユニーク)

 種別:スキル

 説明:破壊と魔導に通じた力を得るスキル。


 うーん、詳細は見えずか。ついでに『魔道の叡智』も見ておくか


 名前:魔導の叡智

 品格:『最高(エピック)

 種別:スキル

 説明:魔導に通じた力を得るスキル。


 こっちもか。となると、ただ単に『真鑑定』のレベル不足だな。


「アキー」

「はいはい、取得すれば良いんでしょ」

「よろしくー」

「……うん、ちゃんと『破壊の叡智』が消えて『破魔の叡智』に塗り変わったわ」

「了解。確認ありがと」


 アキの機嫌を損ねないよう頭を撫でておく。嬉しそうに目を細めてるけど、最近アキはこんな役回りばかりかもしれないな。

 あ、そうだ。


「アキ、この『酒耐性』ってどんなのかわかる?」

「なんでも悪酔いしなくなったり、二日酔いが軽減される上に、酔いの度合いも耐性Lvに応じてある程度調節する事も出来るらしいわ。お酒好きとしては、好きなタイミングで酔えて、純粋に味を楽しめるスキルって事でとってもありがたがられてるらしいわよ。ちなみに、すっごく珍しいスキルで、市場にも全然出回っていないの」


 いつになく饒舌にアキが語る。


「へぇ。それじゃ、お酒好きなアキにあげようか。俺はそんなに飲まないし、アイラも自分から飲んでるところはみないからね」

「いいの!?」

「うん」


 皆も頷いてくれた。


「姉さんにぴったりのスキルだね」

「旦那様、悪酔いってなんですの?」

「酔いが回り過ぎて、気持ち悪くなったり、それが原因で暴れたりすることかなー」

「美味しく飲めるのは良い事ですわね!」

「ではアキ様、こちらを」

「皆ありがと!」


 そして残ったスキルも配って行き……。

 アヤネは『水魔法Lv4』1つ取得し『水魔法LvMAX』に。『土魔法Lv4』2つ取得し『土魔法LvMAX』に。

 マキは『水魔法Lv4』1つ取得し『水魔法Lv6』に。

 エンキは『震天動地』3つ取得し『震天動地Ⅱ』に。

 エンリルは『風魔法Lv3』2つ取得し『風魔法Lv9』に。

 イリスは『魔導の叡智』を取得し、『圧縮』して『破魔の叡智』に。

 

 『魔力回復』は『魔力超回復』の検証の為にキープし、『水流操作』はゴーレム用に保管だ。

 しかし、もし『水流操作LvMAX』分が集まったとしても、しばらくは様子見しようと思う。イリスが俺の『魔力』に与えてる影響が未知数だからな。

 次のゴーレム作製は、『魔力超回復』のレベルがせめてあと1増えてから、かな。

読者の皆様へ


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