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ガチャ149回目:元素魔法の力

「旦那様、それが新しい装備ですの?」


 指に嵌めた3つ目の装備を、アヤネが興味津々といった様子で見つめている。


「お星さまが回ってますわ~」

「ああ、『眩暈』に対する防止の指輪らしい。ということはつまり、『ワーウルフ』の叫びは『眩暈』だったという訳だな。……多分だけど」

「いえ、『眩暈』で間違いないと思いますわ。以前に状態異常の講習で見聞きした内容と、同じような感覚を受けましたもの」

「状態異常の講習? そんなものもあるんだ」

「はいですわ。『回復魔法』で治せるものと治せないものを把握するためには、勉強も必要ですの」


 勉強か。

 最近よく思う事だが、力だけあってもそれを使いこなす知識がないと役に立たないもんな。


「それで旦那様、他には何が得られたのですの?」

「ああ、『暗殺術LvMAX』になって、『元素魔法Lv3』。それから新規で『魔石操作』ってやつだな」

「凄いですわ。ではまずは『圧縮』ですわね!」

「そうだな。よし」


【スキル圧縮を使用しますか?】


「使用する」


【該当のスキルを確認中……】


【該当するスキルはありませんでした】


「ありゃ……。どうやら、『暗殺術』は『圧縮』の対象外らしい」

「そうなのですわね……」


 うーん、今のところこのスキル、相手を()()()()()()()()()が向上するだけなんだよな。いや、実際のところ生物としての急所を狙ったり、無力化するための知識が頭にインプットされる感じで、助かってはいるんだけど。

 なんというか、これで終わる気がしないんだよな……。他にも必要なスキルや条件があるのか?


「では『魔石操作』は未知のスキルですのでまた今度にして、注目すべきは『元素魔法』ですわ! これで旦那様も、巨大魔法と専用魔法が使えるのですわね!!」

「そういえば、そんな話だったか」


 アヤネの言うようにスキルに意識を回すと、確かに使える魔法が増えていた。従来の『ビッグ』シリーズに加えて、見慣れない名称の魔法が1つ。

 どうにも、名前からして4属性とは別系統の魔法な気がするな。


「それと旦那様。わたくし、あれから『元素魔法』について色々と調べてみたのですわ。まず入手方法としては、難易度の高いダンジョンで、宝箱からしか発見報告がありませんの。そしてご存知かと思いますが、取得すると今まで覚えていた4属性の魔法は、すべて消失するリスクを抱えていますわ」

「ああ、やっぱり他でもそうなんだ」

「そしてレベルが3の倍数に上昇する度、専用の魔法が得られるそうなのですわ。ですが、その専用魔法の内容は個人差があるようで、何が得られるかはランダムらしいのですわ」

「ほぉー」


 それでアヤネは、俺がどんな魔法を使えるようになったのかが知りたくて、さっきからワクワクしてる訳だ。まあでも、名前からして破壊力のある魔法ではなさそうだが……。まあ、そこは使ってからの判断だな。


「よし……『マジックミサイル』」


 目の前に、不可視の物体が現れた。

 その魔法が知覚出来ているのは、魔法があると思われるその空間が、蜃気楼のように歪んで見えているからだろう。形としては……球体なのだろうか?

 試しに動かしてみると、どうやら今まで使用していたファイアーボールなどの初期魔法と違って、自在に動かすことが出来るらしい。

 初期魔法は、一度動かすとその方向にまっすぐ飛んで行って、その後の調整は出来なかったからな。こいつなら、やろうと思えば回り込ませて敵の後ろからズドン。なんて真似も出来るかもしれない。


「この魔法、知っていますわ! とっても珍しい魔法なのだそうですわ! それに使い勝手が良い魔法らしく、当たりとされていますの。旦那様なら、詳細が見えるのではなくて?」

「ああそっか、『真鑑定』」


 名前:マジックミサイル

 品格:『最高(エピック)

 種別:元素魔法Lv3

 説明:魔力を30消費し、生み出されたエネルギー弾。術者の意思に沿って自在に動き、性能を操作することも可能。威力や大きさに応じて消費魔力が増加するが、限界値は魔法のレベルに準ずる。


「滅茶苦茶強い事が書いてるな」

「流石旦那様ですわ!」


 試しに限界である威力3倍、大きさ3倍をイメージすると、目の前の空間の歪みが広がり、そこから感じられる圧力が増したのを感じた。だが、それと同時に消費魔力も飛躍的に増加したのを肌で感じた。

 念のためもう一度視てみると、そこにはしっかりと答えが乗っていた。


 名前:マジックミサイル

 品格:『最高(エピック)

 種別:元素魔法Lv3

 説明:魔力を270消費し、生み出されたエネルギー弾。術者の意思に沿って自在に動き、性能を操作することも可能。威力や大きさに応じて消費魔力が増加するが、限界値は魔法のレベルに準ずる。


「……どうやら、掛け算で『魔力』を馬鹿喰いするらしいな」

「ふわあ、ヤバイですわ……。あとは、この魔法がどれくらいの威力を持っているのかですわね」


 試しに遠くの視界に映ったヒルズウルフを狙ってみると、マジックミサイルはとんでもない速さで飛来していき、対象は木っ端微塵に消し飛んだ。


「「……」」


 オーバーキルすぎる。

 ヒルズウルフの『頑丈』は、たしか50しかなかったよな。『魔力』を270使ったことを考えると釣り合いが取れてるのかもしれない。『紫電の矢』ですら200消費だからな。


「この威力に加えてほぼ不可視の攻撃。速度は『紫電の矢』に劣るものの、微調整が効く上に避けられたとしてもこちらの操作次第で背後からの強襲も可能で、範囲も拡大可能と来たか。使い勝手が良いってレベルじゃないぞ」

「そうですわね。あと試すべきは、標準のマジックミサイルがどうなるか、ですわね」

「そうだな。そこは追々試していくか」


 そう思った矢先、アイラが戻ってきた。どうやら俺の魔法を目撃したらしい。


「ご主人様、今のは?」

「新しい『元素魔法』」

「なるほど」


 うーん、納得が早い。


「周囲の偵察をしてきたところ、徐々にモンスターが復活を始めているようです。また、『ワーウルフ』の鳴き声が周囲に響いていたらしく、先程ご挨拶をされていた冒険者達が心配そうにしておりましたので、無事をお伝えしてまいりました」

「あらま。向こうには『目眩』効果は響いてなかった?」

「はい、そこは問題なかったようです」

「わかった、ありがと」


 そう話している内に、周囲をヒルズウルフが囲み始めた。どうやら、他の検証は後回しにした方が良さそうだ。


「よし、ラストスパート行くか!」

「はいですわ!」

「ご随意に」

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