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ガチャ1090回目:新種スライム

 この階層のゴールであろう大瀑布、そして目の前に広がる新種スライムゾーンを順に見てワクワクを抑えきれないでいると、水中からルミナスが飛び出しじゃれついてくる。


『キュ~!』

「おっと」

『キュ~キュキュ♪』


 後ろから負いかぶさり甘えてくるルミナスを撫で回していると、嫁達が次々と浮かび上がってくる。

 

「ん。追いついた」

「ショウタ様、目的地が見えましたか?」

「私達にも見せてくださいよー」

「ああ」


 メダルをマリーの手に乗せると各々が魔力の先を見て納得の表情を見せた。


「クリスは、あの中に入った事があるな?」

「はい。後にも先にも1回だけですが」

「それはやっぱり、もう何もないと判断して?」

「お恥ずかしながら……」


 ふむ、なるほどな。


「アズ、今更だが向こうの世界にもあんな不可思議な光景はあったのか?」

『無い事はないわよ? 数は限られてたけど』


 ということは、この光景はこのダンジョン専用のギミックという訳ではないという訳か。それはそれで楽しみが増えて良いな。


「じゃ、早速第二ラウンドに行こうか」


 そうして正面の海へと飛び込み、進み続ける。すると、海中に揺蕩うクラゲのような何かを発見した。あれがそうか!


*****

名前:コバルトスライムゼリー

レベル:55

腕力:320

器用:400

頑丈:400

俊敏:300

魔力:200

知力:2

運:なし


(パッシブ)スキル】水泳Lv1

(アーツ)スキル】毒生成、麻痺毒生成、毒抗体

★【(エクス)スキル】液体還元、伸縮自在


装備:なし

ドロップ:コバルトスライムゼリーの身

魔石:中

*****


 ほぉ。これが例のスライムか。姿形は本当にクラゲそっくりであり、スライムのまんまるボディに10本ほど触手が下部に生えていて、ユラユラと海の中を流されている。個体によって触手の数や長さ、それからステータスが若干違うのもまた面白い要素だな。

 まあ、スキル構成は全て同じみたいだが。


「んじゃ早速、味見しますかね」


 そのまま俺が水を蹴って接近しても敵意らしきものは感じることはなく、暢気に揺蕩い続けるところは俺の知るスライムにそっくりだったが、このレベルのモンスターなのだ。敵対しないはずがない。

 そうして奴との距離が10メートルを切った辺りで、突然奴が行動を開始した。何の前触れもなく、触手を動かし攻撃を仕掛けて来たのだ。おかしなことにそんな行動を取ってもなお、奴からは敵意らしきものはなかった。となると、こいつらは近づくものに見境なく攻撃を仕掛けるタイプらしい。

 だって『知力』……2しかないもんな。


「よっと」


 そんな奴の触手を素手で掴み上げる。するとチクチクとする何かを感じた。恐らくこれが毒で間違いないな。俺には効果がなかったが。

 そうして握られて初めて奴は俺を明確に認識したらしい。今度は意思を持って2本の触手を仕掛けてきた。


「初撃は無意識の攻撃だったから驚いたが、意思の乗った攻撃ほど感知しやすいものはないな」


 2本とも回避した俺は握っていた触手を引っ張り近寄らせる。あとは、そのまま本体を斬り捨て終わらせた。


「中々面白い生態だな」


 クラゲのようにプカプカと浮いているなと思ったが、その攻撃能力はセレンに近しいように見えて、どちらかというとイリスの捕食行為が近いかもしれないな。本能で生きてる感じが特に。

 『知力』、2だし。

 正直言うとこいつらが普段どんな風に生きてるのか観察したいところではあるし、なんなら『テイム』しても良いんじゃないかという考えが浮かんだが、それでもこのダンジョンには攻略をしに来てるんだ。優先順位を間違えちゃいけないし、これを捕まえて喜ぶ嫁は誰もいないだろ、たぶん。ルミナスに全部持っていかれるのがオチだ。

 ここは我慢すべきだな。

 どうしても欲しかったら休みの日にでも来ればいいし。

 んでドロップは……奴のスライムボディーの一部みたいだが、ゼラチンか?


 名称:コバルトスライムゼリーの身

 品格:≪希少≫レア

 種別:食材

 説明:海の甘味として知られるゲル状の食材。独特の歯ごたえを持ち、港町に住む子供達のオヤツとしても人気を博している。


「ふむ……」


 ぐにぐにしてみるが、感触もそうだが見た目からして、ナタデココなんだよなぁ。っていうか、『アンラッキーホール』のボスも似たようなの落としてたし、向こうの世界でスライムって食材扱いされてたのかも。

 にしてもデカイな、このナタデココ。一般的にナタデココはサイコロみたいに小さなサイズだと思うんだが、目の前にあるのは30cm四方の巨大サイズだ。まあ、あのスライムクラゲを思えばこれくらいのサイズが取れてもおかしくはないんだが。


「とりあえず食ってみるか」


 折角の新種のスライムが落としたアイテムなのだ。味わってみるべきだろう。

 そう思っておもむろにかぶりついてみたのだが……。


「甘じょっぱい……」


 たぶん、海中でドロップしたせいで海水を吸っちゃったのかもしれない。なんとも悲しい味がした。砂糖と塩を同時に口に入れたような感覚に、思わず顔をしかめる。

 齧っちゃった以上捨てる気にもなれなかったので、一思いに口に放り込み食べきった。


「クリス、次から水上で戦うようにするよ」


 直接戦闘で得られる物もなさそうだしな。狩りとドロップを優先させてもらおう。


「畏まりましたわ」

「んじゃ、このまま100体狩るぞー」



◇◇◇◇◇◇◇◇



 目的の数を撃破すると、煙が発生した。


「さて、何が来るかな」


 ここでもレアモンスターはこの場で出現する様だ。100体目も空中で撃破したんだが、海の中に還ったりもしないらしい。それはエビも同じだったな。

 このダンジョンのレアモンスターは、どいつもこいつもその場出現なんだよなぁ。特定の出現位置というのは存在しないみたいだけど、魚が主体だからかな? 分かりやすい固定の巣というものが無いのかもしれない。


*****

名前:スパイラルスライムゼリー

レベル:120

腕力:1000

器用:1000

頑丈:1200

俊敏:300

魔力:800

知力:50

運:なし


(パッシブ)スキル】物理耐性Ⅲ、魔法耐性Ⅲ、斬撃耐性LvMAX、貫通耐性LvMAX、打撃耐性LvMAX、弁天術Lv2、水泳Lv5

(アーツ)スキル】毒生成Ⅳ、麻痺毒生成Ⅳ、毒抗体Ⅳ

★【(エクス)スキル】液体還元Ⅲ、伸縮自在Ⅲ


装備:なし

ドロップ:スパイラルスライムゼリーの身

魔石:特大

*****


 クリスの用意した氷の足場に降り立ったそれは、体高3メートル、横幅2メートルの巨大クラゲだった。といってもボディ本体はスライムそのままだし、触手の長さを除けば高さは1メートルを切るんだが。

 ちょっとは強くなってるが、まあそれだけだな。この様子だとレアⅡも存在するだろうし、軽く遊んで次を拝むとするか。

12/15よりコミカライズ2巻が発売されました

https://tobooks.shop-pro.jp/?pid=188675392

よろしくお願いしまーす!!

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ホイ○ンを想像したのはオイラだけじゃ無いよね?
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