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ガチャ1087回目:冥府の魚

『『『……!』』』


 三方から同時に水中を走る風刃が展開されるが、特に防御の必要もなく俺達は無傷で済んだ。やっぱ、品格の差ってのは大きいんだな。


「クリス」

「はいっ!」


 即座にクリスの力で連中は生簀のような空間に捕えられ、身動きができなくなった。


「んじゃ、タイミングを合わせてやってみるぞー」

「ん」

「OK」


 俺が倒しても嫁達が倒しても、俺の『運』を参照してるけど、それぞれが同時に倒した場合判定はどうなるのか検証したかったんだよな。モンスターの数が限られてる他のダンジョンじゃなかなか検証しづらい内容ではあるんだけど、ここならモンスターも有り余っているしな。折角だからやってみたかったんだよな。


『斬ッ!』

『パァンッ!』

『ドパッ!』


【レベルアップ】

【レベルが48から136に上昇しました】


 三者三様の手段でレアを蹴散らすと、煙はそのままモクモクと噴き上がり、別々の塊として時間をかけて膨らみ始めた。


「あー、こりゃレアⅡがいるパターンか」

「ん。でもきっと余裕」

「魚だしねー」

「油断は禁物ではありますけど、三層のレアⅡがああでしたし、そうなるのも分かります……」

「あれは弱すぎたというより、慣れてしまうほど狩りすぎただけだと思いますけどねー」

「ショウタ様が作業になってしまわない内に、早めに突破してしまいましょう」


 なんだかもう皆、レアⅡのことが眼中にないというか、倒した気になってるけど、まあ気持ちは分からんでもないか。

 そうして待っている間も雑魚敵は集まってしまったので、そいつらの討伐はアズとリリスの2人組に任せる事にした。このままではそう遠くない内に2人からもレアが出現しそうだなと思いながら眺めていると、煙から3体の怪魚が誕生した。

 そいつは頭部に第三の目を持ちながらにして、漆黒のオーラを纏っていた。


*****

名前:アケロン

レベル:180

腕力:1300

器用:1100

頑丈:1500

俊敏:2000

魔力:3000

知力:2000

運:なし


(ブースト)スキル】俊足Ⅳ、迅速Ⅳ、瞬迅Ⅲ

(パッシブ)スキル】身体強化LvMAX、水泳LvMAX

(マジック)スキル】水魔法LvMAX、外典魔法Lv5、濁流操作LvMAX、宵闇魔法Lv5、混沌魔法Lv5

(スペシャル)スキル】恐慌の魔眼

★【(エクス)スキル】冥魚毒


装備:なし

ドロップ:冥魚の牙、冥魚の灼熱骨

魔石:極大

*****


「これは、食えたもんじゃないな」

『キュ~……』


 ルミナスが残念そうに鳴いた。まあでもイリスなら、こんなんでもとりあえず食べてみようとはしそうだけど。


「ん、きもい」

「それに、弱くはないわね」

「むしろ魔法型になって厄介ですわ。わたくしの檻でも封じ込められるかどうか……」

『『『ジュアアアッ!!』』』


 そう言う彼女達の言葉に反応するかのように、奴らは攻撃を開始した。

 それはまるで黒く濁った地獄の釜を引っくり返したかのようなどす黒い塊で、放っておけば周囲の海水を汚染してしまいそうな酷く嫌な予感がした。


「「「浄化!!」」」


 それを察知したんだろう。俺だけでなくマリーとテレサが魔法を行使し、闇を光の奔流で討ち祓った。


『『『ジュアアアッ!?』』』


【レベルアップ】

【レベルが136から212に上昇しました】


 まあ、勢い余ってその奔流は連中そのものを浄化してしまったようで、『アケロン』の群れも一緒に消え去ってしまったが。


「思いがけず、同時にやっちゃったな」

「あはは、やっちゃいましたねー」

「ですが、これで良かったような気がします」

『そうね。『アケロン』は疫病を撒き散らす厄介な魚よ。その判断は正しいわ』


 お、アズが割とガチ目にそう評するなんて、相当厄介な魚らしいな。


「奴のスキルにあった『冥魚毒』ってやつか? あの真っ黒な攻撃が正にそれかなと思ったんだが」

『ええ。致死性の猛毒でね、拡散力が高い上に、薄まるにも時間がかかるから本当に厄介なのよ。あれが生息する海域では、極力刺激しないようにするか、毒を出される前に狩るのが得策とされてるわ。あれを吐き出されると周辺の海域は文字通り終わるもの』

「あんなんが普通にいんのかよ……」


 異世界の海こわ。


『流石にどこにでもいるわけじゃないわよ。超限定的な海域にいるってだけ』


 そこまで魔境ではなかったか。

 まあでも、一部には『クラーケン』とか『千年亀』とかいる事が分かっている以上、十分に魔境だが。


「……でも待てよ? そんな奴がレアⅡに選定されてるって事は、この海大丈夫か?? この10年で1度も出現しなかったなんてことはないはずだし……」

『それは平気よ。だってここ、ダンジョンだもの。自浄作用や修復機能が働いてるから、そういう()()はすぐ除去されるわ。……まあ、それが当たり前に存在するくらい『アケロン』が暴れ散らかしてたら話は変わるけどね』

「となりゃ、汚染される前に即時討伐が望ましいな」


 咄嗟に動いた俺とマリーとテレサの判断は正しかったわけだ。

 褒める為にも2人を呼びよせ、抱きしめる。


「2人とも、よくやった」

「えへへー」

「咄嗟の事でしたが、上手くいって良かったです」


 んで、問題の煙だが……未だに『アケロン』がいた場所にモクモクと残り続けている以上、次がある事は確定だな。問題は3体で足りるかどうかだが、どうなる?

12/15よりコミカライズ2巻が発売されました

https://tobooks.shop-pro.jp/?pid=188675392

よろしくお願いしまーす!!

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