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ガチャ1077回目:求めていたアイテム

「クリス、お疲れ!」

「ショウタ様! はい、ありがとうございますわ」


 ちゃんと残心をしているクリスに駆け寄り、思いっきりハグをしてあげる。いやー、たまには強敵を相手にする嫁の戦いぶりを見るのも良いものだな。第三層でも沢山見てきたが、アイツらは強敵とは言えないしな。

 なんならモンスターですらなく、狭っ苦しい生簀に入れられて、捌かれるのを待っている哀れな魚でしかなかったもんな。


「さて、煙はどうなったかなと……」


 クリスの一撃で色々と消し飛んでしまったが……どうやら、撃破後の煙も散り散りになってしまったらしい。周囲にカケラクズのようになってしまった小さな煙の塊がいくつも見える。

 そいつらはゆっくりとだが元いた場所に戻ろうと蠢いており。じっくりと観察していると数十秒かけてようやく1つの塊へと成っていった。ここからどう変化するのか――。


「……あれ?」


 煙の方にばかり注視していたが、よく見るとあるものがその場から消え失せていた。


「クリス、渦潮はどこに消えた?」

「え? あ、本当ですわね。……思い返してみれば、『水の精霊核』を撃破した時からゆっくりと消えていっていたかもしれませんわ」

「マジか」


 あの超強力ウォータージェットに意識が行ってたけど、そんな大事な変化を逃すなんてな。勿体無いことをした。


「ふふ、ですが問題ないかと。わたくしの戦闘シーンは、皆様が撮影してくださっているでしょうし」

「あ、それもそうだな。後で一緒にみようか」

「はい♡」


『バシャンッ』


「お?」


 などとイチャついていると、渦潮があった地点に宝箱と魔石、そしてドロップアイテムである精霊核が出現し落下。どれも沈む事なくプカプカと浮いていた。


「やっぱり『ユニークボス』だから続きは出ないか」

「そのようですわね。ではショウタ様、皆様のところに行きましょうか」


 そういや、皆湖岸から動いてないな。気を利かせてくれてるみたいだ。

 そうしてアイテムを持って皆の元に戻ると、嫁達はクリスの元に集まり、全力で褒め称え、俺の所にはルミナスが甘えにくるのだった。


『キュ~♪』

「よしよし」


 ヘソ天するルミナスを撫で回していると、アズがやってきた。撫でられ待ちか?


『それもあるけど』


 あるのか。


『もっと重要なことよ』

「ん?」

『マスターも流石よね。まさか、精霊核を手に入れるなんて思わなかったわ』

「ああー、これか。やっぱり特殊な物だったのか」


 アズがそこまでいうなら、視てみるか。


 名称:水の精霊核

 品格:≪伝説≫レジェンダリー

 種類:素材

 説明:水の精霊の核たりうる特殊な宝石。様々な用途に使用可能。


「ほぉ?」


 精霊が集まってくる精霊石とは違って、核になりうる存在か。品格も『伝説(レジェンダリー)』だし、素材としても上等な代物なんだろうけど、書いている事が確かなら連中の核……精霊の心臓としても使用可能という事で。

 ……あれ? とすると、もしかするともしかするのか?


『んふ、思い至ったようね♪』

「じゃあこれ、『大精霊』との再挑戦を可能にするアイテムか!」

「「「「「『『おおー!』』」」」」」

『キュ~?』

『確証はないけど、可能性はあると思うわ。アイツらが再出現しない理由は、――ザザザザザザッ――できないからだろうし』


 おっと、久しぶりのノイズだ。しかも長い。

 アズもうっかりしていたのか、口にした説明の大部分がカットさせられてムッとしている。可愛い奴め、よしよし。


『んふー♪』

「じゃ、『大精霊』の復活ができるかはまた今度試してみるとしてだ。もう1つのドロップである宝箱は……『プラチナの宝箱』か」


 700レベルの『ユニークボス』だし、当然っちゃ当然か。


「こうも高レア宝箱を毎日見てると、価値観変わっちゃいそうで怖いわ」

「ん。わかる」

「子供達にも、宝箱は当たり前の存在ではない事から教える必要がありますよね」

「私達のおうちの当たり前は、世界から見れば非常識ですからねー」

「恐らく大丈夫だと思いますわ。わたくし達の子供ですもの、どんな宝物よりも、ショウタ様の方が大事に決まっていますわ」

『どんなに価値観が揺らいでも、根底にある一番大切な存在までは揺るがない訳よね』

『ふふ、その通りですね。マスター様がいる限り安心ですっ』

『な、なるほど……!』


 ……俺が価値観の一番上にいれば安心ってこと? そういうもんなのか?

 

「……よくわからんが、とりあえずこの宝箱もお持ち帰りだな」


 メダルが入っている『青の宝箱』でもなく、欠片が入っている特殊レアの宝箱でもないからな。この階層には欠片がないのか、それとも2種類目のモンスターが担当しているのか。


「んじゃ、渦潮も消えてすっきりしたし、新ルートに行ってみますか」

「はい、ショウタ様♡」

「今度のモンスターは何が出るのかしら」

「ん、新種! ワクワク!」

『楽しみですっ!』

『あたしとしては、次の肉がなんなのか楽しみでならないわ』

『怪魚ではない事を祈るばかりです』

「モンスターではない怪魚と違って、食材としてドロップするお肉はちゃんと『鑑定』で視れるから安心感はありますけど~」

「生産元の造形次第で、評価は若干変動しそうですよね。ですが、美味しければ問題は無いと思われますが」


 ま、見た目はどうあれ美味けりゃ受け入れは早いよな。オークとかもろに人型の豚なのに、食材として浸透してるし。……まあアレは味もそうだが、滋養強壮による後押しも大きいか。

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