ガチャ1071回目:彼女達が欲しかったもの
「ほんと、よく燃えたわねー」
「真上から水を降り注がせても燃えているんですものね」
「消化するよりも、切り倒した方が速かったですねー」
「ん。変な鳥のせい」
「ショウタ様、あれは一体なんだったのでしょう?」
結局、燃え続ける樹を根っこから切り飛ばす事で樹そのものを煙に変え、力技で消火することになってしまった。それだけあの鳳凰の力は強かったということだろう。『灰燼剣』とはまた別ベクトルの炎みたいなんだよな。
そうしてチリと消えた樹の跡地には煙は残っておらず、ドロップアイテムが散らばっていたところからしてレアⅢはいないのかもしれない。すんなりと宝箱2種類がドロップしてたしな。
「いやー、その辺俺自身よく分からんのよな。アズなら知ってそうだけど」
皆の視線がアズに注がれる。
『んー。マスターがどうしても知りたいって言うなら教えてあげるけど?』
どうしても? どうしてもかー……。どうしてもってほどではないんだけど、エンキやエンリルみたいな感じで生み出したつもりでもないのに、技に命が宿るのはちょっと気になるというか正直怖い部分もあるからな。
なあなあで先送りにはしたくないところだ。
「んー……。気になるから教えて」
『良いわよ♪』
俺の葛藤を察したのか、アズは笑顔で答える。
『まず大前提に、マスターの技に命が宿ったと捉えるのは半分正解で半分間違いね』
「ふむ?」
『マスターの技の完成度が高まると威力は当然上がるとして、鳳凰なんて存在を象っている以上、当然その元となった存在の力を引き出そうとするわけよ』
「ん?」
『普通なら技名に伝説上の存在の名を使ったところで箔がつくくらいしか効果はないけど、マスターのステータスは天井知らずで、種族も『ハイ・ヒューマン』。いくつもの条件が重なった結果、そういう事象が起きても不思議ではないのよ』
「てことはつまり、あの鳳凰が鳴いたのは俺の力から誕生した生命体とかじゃなくて……」
『そ。マスターの技に引っ張られて現界した鳳凰の一鳴きってところね♪』
なるほど。ある意味『武技スキル』で召喚の真似事をしたようなものか。
「なら、鳳凰じゃなくて『朱雀』ってつけてたら四神の『朱雀』が来てた可能性があるってこと?」
『どうかしら? 格で言えば鳳凰よりは上だけど、マスターの場合ないとも言えないのよねー。この際改名してみる?』
「……やめとく」
『んふ、賢明ね♪』
どう変化するか予想できないし、この手のスキルの場合俺の『直感』が機能しない気がするからな。
「んじゃ気を取り直して宝箱だな」
まずはメダルからだ。
名前:青の宝箱【バイパー】Lv3
品格:≪最高≫エピック
種別:モンスタードロップ
説明:190ダンジョンでのみ出現する特殊な宝箱。
★最高位の報酬しか入っていない最高レベルの宝箱。
いつものだな。ちょっとレベル低いけど、これはそもそもの難易度の問題かな?
この『シャドウラミア』、レベルの割に面倒な技を使ってくるからな。
名前:メダル【バイパー】
品格:≪最高≫エピック
種類:トリガーアイテム
説明:シャドウラミアを討伐した証。
★しかるべき場所に奉納することで道が開ける。
こちらも変わらずと。
んでもう1つは……。
「『エメラルドの宝箱』か……。まあ、今までの流れで言えば順当だな。これも持ち帰って――」
「ん。ショウタ、私としては今すぐ開けて欲しいかも」
「ん?」
珍しいな、ミスティがねだってくるなんて。
「理由を聞いても良いか?」
「ん。この中身に興味がある。もしかしたら、1個だけじゃ満足できない内容になる可能性すらある」
『あ、そっか、そうよね! マスター、おねがーい。今すぐ開けて♪』
アズの猫撫で声を聞いて、他の嫁達もハッとなった。理由に察しがつかないのは俺とリリスくらいのものだ。
「まあいいか。んじゃ開けるぞっと」
宝箱に触れると選択肢が出てくる
【衣装】
【アイテム】
ん? 衣装……?
「ああ、なるほど」
俺もその内容に思い至り、衣装をタッチした。そして宝箱を開けると……黒い布が2枚入っていた。
名前:欲望のブラ
品格:≪遺産≫レガシー
種別:衣服
説明:特殊な製法で作られたフリル付きのブラ。好意のある相手に装着した状態を見せると、相手を欲情させる特殊なフェロモンを発生させる。自動補正機能付き。
名前:劣情のパンツ
品格:≪遺産≫レガシー
種別:衣服
説明:特殊な製法で作られたフリル付きのパンツ。好意のある相手に装着した状態を見せると、相手を欲情させる特殊なフェロモンを発生させる。自動補正機能付き。
「「「「「『『『おおー!!』』』」」」」」
「……ああ、うん。これは確かに1個だけじゃ足りないわ」
そういや、『初心者ダンジョン』の『ラミア』もこの手の衣装を落としたっけ。あっちは魅惑のブラと誘惑のパンツだったっけな。あの時はアキ、マキ、アヤネ、アイラの4人と、サクヤさんの手に渡ったんだよな。
「……全員分確保するかぁ」
「ご英断ですわ、ショウタ様」
「ん! 手分けする!」
「となると、効率面で考えて2人1組でしょうか」
『持ち運びが面倒な相手ですから、全員で99体討伐して、最後の1体をマスター様の前で倒しましょうか』
「お、良いわねそれ!」
「採用ですねっ」
『お姉さま、行きましょう!』
『マスター、待っててね~♪』
「おう」
そうして俺はその場にポツンと残されたのだった。ちょうど俺が今いる場所は、東西にある湖のちょうど中間地点。そこから方々に散れば、分布数の少ないマムシも大量に狩って来れるだろう。
……んじゃ、俺は戦いやすいようにこの辺の樹を伐採しておくかな。湖の方に出たら他の人を巻き込みかねないし。
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