ガチャ1070回目:因縁の相手
「さーて、お次は……っと、そうだそうだ」
俺は煙との距離を変えずに立ち位置を少し変えることにした。
最初のレアから『邪眼』持ちだったんだ。次のモンスターがなんであれ、先程と同様に『邪眼』持ちの可能性があるわけで。彼女達がその視線に晒されてしまわないよう移動しておいた方がいいだろう。
彼女達も俺の意図は察したのだろう。木陰に身を隠して、手に持ったカメラだけを突き出してこちらを撮影している。これで準備は……ああ、もしもがあるし一応伝えとくか。
「あー、マリー」
「お任せください。すぐに対処しますから~」
「任せる!」
流石嫁。何も言ってないけど察してくれてるな。これで心置きなく戦える。
そうして待機する事数分、煙が膨張し中からレアモンスターが誕生した。
『……』
*****
名前:シャドウラミア
レベル:158
腕力:1300
器用:1400
頑丈:1100
俊敏:1200
魔力:3000
知力:1800
運:なし
【Bスキル】俊足Ⅲ、迅速Ⅲ、瞬迅Ⅱ
【PBスキル】魔道の叡智Ⅱ
【Aスキル】隠形Ⅲ、気配断絶Ⅲ、影操作Lv5
【Mスキル】風魔法Lv7、水魔法Lv7、土魔法Lv7、魔力回復LvMAX
★【Eスキル】石化の邪眼、魅惑の邪眼、絡みつくⅢ、影移りⅡ、オーバーライフⅢ
装備:なし
ドロップ:シャドウラミアの邪眼、シャドウラミアの抜け殻、ランダムボックス
魔石:極大
*****
「おお」
懐かしの、そして因縁の『ラミア』だ。それの『影操作』版と言ったところか。あっちと比べると強くなっているし、純粋な強化版って感じだろうか。そんな風に奴のステータスを見ていると、画面の向こう側にいる『シャドウラミア』と目が合った。
「あっ――」
急速に意識が薄れていき――。
「――ん?」
『……!?』
即座に目覚めた。だが、おかしなことに時間は経過していないようで、目の前には変わらず『シャドウラミア』がいる。奴も何が起きたのか分かっていないのか、硬直しているように思える。
俺もよくわからず、思わず嫁達の方に視線を向けると、こっそり木陰から顔を出してサムズアップをするマリーがいた。
なるほど、俺が石化した瞬間に彼女が治してくれたのか。効果が発揮された瞬間に状態異常が解除されたせいで、一瞬時間が飛んだような感覚に陥った訳だ。しかしそうか……さっきマリーに声を掛けたのは保険だった訳だが、まさか石化をレジストできないとはな。
確率論なら例え1%でも可能性があるなら俺の『運』が仕事しない訳ないし、これは100%防げないタイプとみた。そしてもう1つの頼みの綱である『状態異常耐性Ⅹ』をもってしても防げないとなると、この石化は『状態異常』とは別枠の何かって事になるのかもしれないな。もしこれがレベル参照だったとすると、完全に詰んでるし、『魔眼耐性』も機能していないとなると、『邪眼』と『魔眼』は完全に別物という事になる。
「とりあえず、見なけりゃ問題は無い訳だが……こうなっちまったか」
今の俺なら因縁の石化に対処できると思ったのに。非常に残念だ。
『……!!』
「ん?」
目を閉じ、武器を構えると突然目の前にあったはずの気配が消えてなくなった。もう石化したところですぐに治してもらえると判断した俺は、即座に目を開ける。すると、やはり目の前に敵の姿はなく、広がる光景は鬱蒼としたジャングルのみだった。
「こいつは……」
だいぶ厄介だな。目を開けていれば『邪眼』で石化させられ、目を閉じれば影に潜って姿を隠すときたもんだ。一度完全に姿を消している以上、奴のスキルである『隠形Ⅲ』と『気配断絶Ⅲ』も効果が十全に発揮されるだろうし、搦め手に特化しまくったモンスターか。
けど、対策が無い訳ではない。もっとも簡単な手段としてはマップだな。これを見れば奴がどこに潜んでいるか一目瞭然だ。けど、それで対処するというのはちょっと負けた気がするし、もっとちゃんとした戦法で勝っていきたい。となると……。
『ザザザザザ!』
「『土の鎧』」
突如として俺を中心に竜巻が発生した。それに合わせて『土の鎧』を発生させ、衝突させる。
隙を見せれば魔法を使ってくると思ったが、予想通りだったな。あとは敵の位置を把握するだけだが、影に潜まれると感知できなくても、表に出て来たら敵意から大体の位置は判明する。あとはそこに向けて……。
「『飛剣・鳳凰Ⅳ』!!」
『キェーーッ!!』
「は?」
『……ッ!!』
けたたましく鳴きながら飛翔した鳳凰は、敵意を放つ存在が隠れていた樹ごと大火で包み込み、飲みこまれた『シャドウラミア』は灰となって消えていった。
【レベルアップ】
【レベルが122から192に上昇しました】
おっと、微妙に足りないな。
にしても、今放った鳳凰……鳴いてたよな?
「……意味が分からん」
そもそも炎を『閃撃』で飛ばすなら鳳凰っぽくするか~といった安直な思い付きで作った技なのに、技の効果が高まっていく事で威力が高まるのはまだ良い。けど、それに直結して鳳凰のリアリティが増していき、Ⅳになると鳴き始める事になるとは。
……うん、改めて考えても意味が分からんな。後でアズに聞いてみるか。んで、肝心の煙は……燃え上がる業火のせいで、どれが煙か判別つかんな。嫁と一緒に消火活動に勤しむか。
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