ガチャ1065回目:第四層へ
クリオネを皆でしばき倒しながら海底を進み、第四層への入口へと向かう。道中はクリスを中心に戦わせ、槍の性能および扱いやすさを確認してもらう事にした。
「どうだ?」
「はい。元よりわたくしは水中で戦う際には『水』の力を用いることで、攻撃速度や威力などを増加させてきたのですが、この槍にはそれがデフォルトで備わっているようです。特に意識せずとも、水が勝手に槍をサポートしているようにも感じますわ」
「ふむ。威力の方は……敵が弱すぎて参考にならないか」
「ふふ、そうですわね。どのように攻撃しても一撃で消えて行ってしまいますから、あまり参考にはならないかと」
それはまあ、残念だが仕方ない。
最高等級の『幻想』を更に超えた『幻想+』だからな。その辺の雑魚は触れるだけで蒸発してしまうだろう。にしても、海の中だと常時真の力が解放されているようだから、そこらの武器と比べると次元が違う強さだよな。
どうにかこの状態のポセイドンの槍を俺も扱えればよかったんだが、試しに持とうとしたら、最初に感じた冷気をより強くしたかのような寒気が全身を覆ったんだよな……。
これは、完全に俺は資格なしと言われているような感じだった。にしても、『神器』はどいつもこいつもクセがあるよなぁ。そういうコンセプトなんだろうけど、何らかのデメリットを常に抱えている。逆にミスティやシャルの持つナンバー付きの『幻想武器』は、一定の強ささえあれば簡単に尻尾を振るチョロさがある。その上持ち主の成長値にもプラスの影響を与えるし……。やっぱ、ナンバー付きの方が格上っぽい感じがするんだよな。
「ショウタ様、着きましたわ」
「お」
そんな事を考えていると、目的の場所へと到着した。そこは文字通り海に沈んだ階段であり、その光景は海底ダンジョンの入り口を彷彿とさせた。1097や1099に比べれば、全然浅いけどな。
「んじゃいくか。ルミナスもゆっくり着いてくるんだぞ」
『キュー!』
そうして俺達は海の中の階段をゆっくりと降りていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「ここが第四層……やっぱりまた水中スタートか」
水中を通って来たんだからそりゃそうなんだけど、ダンジョンだしな。いきなり変な所に飛ばされてもおかしくはない。
けど、第二層のように洞窟の中という訳でもなさそうだった。視界を動かせば、真上に太陽の存在が視認できたからだ。ってことは、上に泳げば呼吸はできるということか。そして周囲を見渡せば、この階層は第三層のような広大な海とも違うことが見て取れた。
背後には地上まで続いている壁があり、水質も『解析の魔眼』で見る限り構成されている魔力の量が明らかに異なる。
「内海……いや」
試しに指先だけ膜の外側に出し、指を引き戻して舐めてみる。……うん、しょっぱくない。けどがぶ飲みしたくなるような水質でもない。
「湖か?」
「その通りですわ」
果て無き海の次は湖か。海以上に視界の通りが悪いから、何が潜んでいるのか分かり辛いな。地上から視界を飛ばすだけじゃモンスターの影も見えないだろうし、この湖底を通る時は十分に注意しておかないと。
「このままここにいてもらちが明かないし、一旦地上に登ってみるか」
そうして全員で海面にまで上がると、この階層がどういった様相なのか理解出来る光景が広がっていた。
「……密林か?」
『キュ~』
地上には鬱蒼とした原生林が立ち並び、それが湖を囲うよう生い茂っていた。この分だと、大地全体がこうなってるかもしれないな。
分かりやすい地形だからか、これだけでもマップは結構な広範囲で生成されたが、やはりというか俺が目視できていない以上モンスターの赤点はどこにも存在しなかった。となれば、やるべきことはただ一つ。視界を飛ばしてこの階層の情報を得る事、なんだが……。
「……」
「「「「「……」」」」」
目の前の地上でキャンプをしていたであろう冒険者達と目が合った。このダンジョンで他の冒険者と鉢合わせするのは久々ではあるが、居る事は知っていたしさほど驚くことではなかったのだが、彼らのその驚きっぷりは俺の比ではなかった。まるでいるはずのない存在が目の前にいて、固まっているかのような感じだ。
彼らが黙りこくっている理由は当然俺ではなく、見目麗しい色取り取りの嫁達でもなかった。
『キュ~?』
「「「「「……!!!?」」」」」
彼らはルミナスが鳴くと居座りなおし、各々の方法で祈りをささげ始めた。十字を切ったりロウソクを付けたりお香を焚いたり。そういやアイドル扱いされているとはいえ、ルミナスはこの都市の人々から見ればダンジョンの中に舞い降りた救世主のような存在だ。神格化されていてもおかしくはないかもな。
『キュ? キュキュ~??』
まあ当の本人は何のことか分からずに困惑してるみたいだが。
とりあえずルミナスの害にはなら無さそうだし、放っておくか。
読者の皆様へ
この作品が、面白かった!続きが気になる!と思っていただけた方は、
ブックマーク登録や、下にある☆☆☆☆☆を★★★★★へと評価して下さると励みになります。
よろしくお願いします!










